不幸な令嬢に転生しましたが修道院には行きません。

しゃーりん

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呼ばれた医師、クラーク先生は集まったメンバーを見て顔色を悪くした。


「クラークよ。そなたがミアーナを診察したのは、彼女が純潔ではないという確認のためだな?彼女は襲われたわけではなく、奔放に遊んでいた可能性がある。そうではないか?」

「殴られた跡や押さえつけられた跡なんて、なかったよな?」


国王陛下とネヴィルが必死の形相で医師を脅すようにそう言っていた。


「え!?……あの、ミアーナ様は……」


医師はチラッとミアーナを見た。


「クラーク先生、医師の矜持はございますよね?」


ミアーナはそう言ったが、医師は震えながら苦悶の顔で答えた。


「……ミアーナ様は純潔ではございませんでした。殴られた跡、押さえつけられた跡など、ございませんでした。」


国王陛下とネヴィルは笑顔を浮かべ、ミアーナと父は呆れてため息をついた。

国王陛下には逆らえば王宮医師ではいられなくなる。
その気持ちはわかるが、診断を偽ることは医師として、していけないことである。


「クラーク先生の診断は、もう信用するに値しないものとなってしまいましたね。」


偽証してしまったことは彼の心に残り続ける。
王家に利用されて医師としての矜持を捨ててしまったことは、いずれ知られて名声をも失うだろう。

王宮医師を解雇されることになったとしても、正しい証言をしていれば、医師であり続けられただろうに。 
 

「あっ……ああぁ……」


ミアーナの言葉に、医師は頭を抱えた。
焦った様子のないミアーナたちに、自分の証言が意味のないことだと悟ったのだ。

それに、ロングストン公爵家の医師が診察していないわけがないということに気づいたのだろう。
今更後悔しても遅い。

そのまま医師は、追い出されるように部屋を出て行った。


「ほら、聞いただろう?ミアーナは襲われたわけじゃないって。俺たちが襲った証拠もないのに何が処罰だ。逆に名誉棄損で訴えてやろうか?」


医師の様子に気づかなかったネヴィルは形勢逆転したというように、ニヤニヤとしながらそう言ってきた。


「証拠は他にもありますが。」

「え……?」

「あの日、私は記録水晶のピアスをつけていました。殿下に殴られたところも、四人に襲われたところも、しっかりと映っています。もちろん、クラーク先生が診察していた様子も、診断書も映っています。」
 

アレスが持ってきた記録水晶は手のひらサイズで、少し離れたところからでも部屋全体が映せるもの。
ミアーナのつけていたピアスはそこまで広くは映せず、2m以内でないとはっきりと顔は映らない。
しかし、2mあれば十分だった。
 
ネヴィルの顔が真っ青になっていく。


「記録水晶を観てもらばわかりますが、ネヴィル殿下が終えた後、ブラッド様が『三巡目だから俺から』と言いました。つまり二巡はしているということで、殿下以外の三人の順番だと思いました。ブラッド様、テオドール様、アレス様、それぞれが二度ずつ殿下の次に襲ったことがある。つまり、私の前に六人の女性が被害にあっているとわかりました。違いますか?」


その言葉があったから、ミアーナは他にも被害者がいるのだとわかったのだ。

 


 

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