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フェルナンドは、胸のざわつきは一先ず無視し、後処理をしなければならなかった。
ミアーナはフェルナンドとの婚姻届にサインをし、ロングストン公爵と共に帰宅した。
ロングストン公爵からは、奴ら四人が襲った他の令嬢の資料も渡された。
騎士によって牢に入れられた四人は、まさか本当に処罰を受けることはないだろう、ミアーナの手前、形だけそう言っただけではないかと、少し希望を抱いていたようだった。
「叔父上、俺たち、本当に処罰されるわけじゃないよな?」
姿を見せたフェルナンドに、ブラッドが代表してそう聞いてきた。
「……お前たちがしたことは公にはできない。裁判にかけてしまうとミアーナ嬢が傷つくことになるからな。」
「じゃあっ!助けてくれるってことだよな?」
四人が期待したような顔でフェルナンドを見ていた。
「まさか。罪は罪だ。女性たちの人生を壊しておいて罪にならないわけがないだろう?女性を苦しめた局部を切断し、服役することは決定だ。」
「そんな……無期懲役なら、女性を襲うことは二度とないから、せめて切断は、嫌だ。」
「嫌だ、やめてくれという女性を襲ったんだろう?貴族令嬢として純潔を失うのはある意味、死ぬことと同じだ。襲われた令嬢のほとんどは俗世から離れ修道院で祈りながら死を待つのだからな。
子供を産んで次代に繋げるという大切な役割を担っている女性とお前たちなら、女性の方が尊いんだ。」
「お、俺たちは跡継ぎなのに。」
「跡継ぎなんて誰でもいいんだ。お前たちも女性から生まれたんだぞ?それに、テオドールとアレスは妹がいるのによくこんなことができたな。妹が襲われて許せるか?殺してやりたいと思わないのか?」
身内が被害者になった時のことを考えたこともなかったのだろう。悲痛な顔になった。
彼らはようやく罪の重さを自覚したのかもしれない。
「四人でつるんだから一人ではできないことができたんだろうが、罪は1/4にならないからな。卑怯者だよ、お前らは。」
フェルナンドは、騎士団長時代に信頼していた部下の一部隊に彼ら四人を密かに連れ出す指示と、処罰の内容を伝えた。
局部を切断した後は、感染症を起こしやすいため、しばらく経過観察が必要になる。
それによりブラッドが死んだと後で聞いたが、悲しい気持ちにもならず、むしろホッとした。
彼らのことはもうフェルナンドの手を離れており、コーネル侯爵家にミアーナを迎え入れる準備で忙しくなった。
侍女長エルマからミアーナの好みを聞かれたが、答えられなかった。
だが、清楚で少し柔らかいイメージで、と伝えた。
凛としていて、微笑みが可愛く見えたミアーナを思い出して、また胸がざわついた。
そして迎えに行った馬車の中。
”惹かれ合った”とか、”お慕いしています”とか、設定であるはずの言葉にドキッとさせられたというのに、先ほどの部屋では、別々に寝ることを不思議そうに言い、”今は”妊娠中だから諦めるけど、出産後は閨を共にしようと言われた気がした。
フェルナンドとの歳の差も気にせず、夫婦になろうとしてくれている彼女に抱いてしまったこのざわざわする気持ちを、恋と呼ぶのだろうか。
まさか、この歳で初恋とは……
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