不幸な令嬢に転生しましたが修道院には行きません。

しゃーりん

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ミアーナはお茶の準備をしてくれた侍女エルマに、コーネル侯爵家の話を聞いていた。 
 
 
「まあっ!先代侯爵夫人は女主人として屋敷内の管理を任されていなかったのね。」


先代侯爵夫人、つまりブラッドの母は、嫁いだ頃から散財が激しくとても女主人の役割は任せられないと、先々代の侯爵夫人は家令を置いて特に金の管理を任せたらしい。

そのため、先代侯爵夫人が屋敷中を模様替えしようと商人を呼んでも家令によって止められ、夫人が購入すると言った宝飾品なども家令を通さなければ購入できないと商人たちの間でも暗黙の了解となっていたのだという。
 
それはそうだ。
侯爵夫人といえども、月々の予算があるのは当たり前。
もちろん、その額は決して少なくはないのだが、先代侯爵夫人が望む物を買い与えていれば蓄財まで減っていくのは明らか。 

蓄財は、災害などの非常時や屋敷の建て替え、あるいは大規模改装の場合、もしくは今回みたいなブラッドの不始末のための慰謝料に充てられるためのものであり、決して散財の補填に充てられるべきものではないのだから。

妻の散財で財産が目減りしたなどという記録が残れば、当主の恥が記録されるようなものである。
 

「ブラッド様は残念なことになりましたが、正直申し上げますと、あの方が当主になられることにも不安がございました。
婚約者のナンシー様とも仲がいいとは言えず、ドレスや宝飾品はナンシー様が自分で選んで請求書だけこちらに回されておりました。しかも、その額はとんでもなく高いものでしたが、本来であればブラッド様が贈られる物ですので支払わないわけにもいかず、ブラッド様にもそれとなく上限額をナンシー様にお伝えしてくださるようお願いしても効果はございませんでした。」
 
「そういうことだったのね。」 


ナンシーが豪華なドレスを身に着けている記憶がミアーナにもある。 

彼女はブラッドに何かしらのサインを送っていたのかもしれない。
もっと自分に興味を持ってほしかったのか、婚約解消を望んでいたのか。
 
しかしそれは、婚約者にあまり関心のなかったブラッドには効果がなかったのだろう。

ブラッドが亡くなり、ナンシーはどんな気持ちなのか。
まぁ、娼婦と遊んでいた時に火事で亡くなったことになっているため、悲しんでいない気がする。
 

「ですので、私共使用人はフェルナンド様が引き続き侯爵でおられることも、ミアーナ様が奥様になってくださったことも、とても嬉しく思っております。」
 
「ありがとう。」


侍女長エルマには、不敬には問わないから思っていたことを吐き出してほしいと頼んだ結果、こうして先代侯爵夫人とブラッド、そしてナンシーのことを教えてもらった。

フェルナンドに妻がいなかったことで侯爵夫人の予算までナンシーに回せており、フェルナンドも自分は代理なのだからとあまりブラッドに注意をしなかったらしい。
 
フェルナンドも急に侯爵になることになって、余裕がなかったのだろう。


 

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