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夕食の時間になり、フェルナンドがミアーナを迎えに来た。
夫婦としての初めての晩餐である。
「とても、綺麗だ。」
「ありがとうございます。フェルナンド様も素敵ですわ。」
ミアーナが妊娠していることは侍女長エルマにも伝わっており、まだ妊娠初期ではあるが、締め付けの少ないドレスを用意してくれていた。
初日だということもあり、エルマは楽し気にミアーナを飾り立ててくれたのだ。
屋敷に女主人がいるのはその存在ももちろんだが、ドレスや宝飾品を身にまとうことで一層華やかな空気を感じられるのだという。
フェルナンドが差し伸べた手を取り、初めてのエスコートで食堂へと向かった。
「その、悪阻とかは大丈夫なのか?」
「今はまだ。いえ、あるいは食べ悪阻の可能性があります。」
「食べ悪阻?」
「ええ。ここ最近、空腹になると少し気分が優れないように感じます。何かお腹に入れるとましになるのです。」
「そうなのか。ではいつでも何かつまめる物を準備しておくよう伝えなくてはな。」
「ふふ。ありがとうございます。太らないようにしないといけませんね。」
「太っても構わない。君が不快な思いをしないことが大事だ。」
「コロコロに丸くなってしまっても?」
「そんな君もかわ……んん、どんな君でも問題ない。抱き上げて走ることだってできる。」
可愛いと言いかけた?
フェルナンドに何度も笑顔を見せた効果はバッチリらしい。
ミアーナは無表情だと美人で、笑うととても可愛いから。
それにしても、この世界でこんなに妻を思いやってくれる夫がどれだけいるだろうか。
前の世界でも、妊娠を機に体重が戻らない妻に対し、『詐欺だ』とか『女として見れなくなった』という夫がいるという話は聞いたことがあった。
妻の方は、夫のお腹が出ても頭がハゲてもオナラが不快でも文句を言う女性は少ないというのに。
妊娠・出産は体質が変わることもあり、どうしても元の体形に戻らない女性もいる。
妻を貶す前に、十年後の自分が今と同じ体形でいられるかを考えてから口にするべきだと、夫に浮気をされた会社の先輩が言っていたことを思い出した。
「ふふ。頼もしい旦那様に嫁ぐことができて、私は幸せですね。」
心から、そう思う。
食堂に着き、フェルナンドはシャンパンで、ミアーナは果実水で乾杯をした。
「前にも言ったが、君は思い通りに過ごしてくれればいい。結婚してくれて感謝している。」
「こちらこそ、フェルナンド様の妻になれたこと、とても嬉しく思っています。末永く、よろしくお願いいたします。」
そう、末永く、ね。
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