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娘のルティアは、女神から教わった復讐物語はもう終わったと思っているらしい。
しかし、ミアーナはまだ終わっていないと感じた。
「ルティア、ディオル殿下と接触しないように気をつけなさい。」
「わかっているけれど、話しかけられたら無視もできないでしょう?」
「強制力が働いている気がするわ。このままだとブランシュ様との婚約を解消してあなたと婚約したいって言ってくるかもしれない。」
「それは困るわ。王族の婚約者なんてもう嫌だもの。」
ディオルはブランシュよりもルティアがタイプなのだろう。
物語のルティアはディオルの好意を利用した後、婚約を受けた。
その間、ブランシュはディオルがルティアに構っていても婚約者は自分なのだと悲痛な思いで耐えていたのに、婚約を解消されたことになって怒りと憎しみを抱いたのではないか。
物語と違って、ネヴィルたちは既に亡くなっているし、彼らのしたことは公になっていないため、王家に対する反感はブース侯爵家にはまだないはず。
物語の最後の侵入者がブース侯爵家の総意なのか、ブランシュの独断かはわからない。
いずれにせよ、ディオルとの婚約解消は国を滅ぼすことになりかねないのだ。
「他学年の学生は教室に入らないように学園にお願いしておくわ。」
ディオルはルティアの一つ上の学年になる。
婚約者でもない先輩が教室に来るのはクラスメイトたちも気を遣う。ましてや王族なのだから。
トラブル回避と言えば学園も納得するだろう。
「それは助かるかも。どう対応していいか困っていたの。」
でも、待ち伏せをされるかもしれないと思うと気が気でない。
強制力があるとすれば、ディオルはルティアに会いたくて無茶をしそうに思える。
「ルティア、あなた婚約したいと思える人はいないの?」
ルティアに婚約者ができれば、牽制になるかもしれない。
気休めかもしれないけれど。
「婚約したいっていうか、……気になっている人はいるけど。」
「あら。その人に婚約者はいないの?」
「わからない。」
「わからない?誰なの?調べてあげるわよ?」
爵位の低い令息なのだろうか。
少なくとも、公爵家と侯爵家の令息であれば、ルティアでも婚約者の有無は知っているだろうから。
できれば高位貴族が望ましいところである。
「留学生なの。」
「あぁ、そうなのね。それは簡単にはわからないわね。」
本人の口から婚約者の有無を確認することはできても、それが本当かどうかは調べなければわからない。
留学先の女性を弄んで自国に戻ってしまい、責任を取らないという事例もある。
「留学、ね。その手があったわ。ルティア、留学すればディオル殿下と離れられるわよ。」
「私が留学するの?」
「そう。あなたが目の前からいなくなれば、強制力は働かないと思うの。」
ネヴィルたちの処罰はできたのだから、先手を打てば強制力から逃れられるはず。
ディオルがブランシュと結婚してしまえば、国が滅びるバッドエンドにならずに済んで、女神の願い通りになるのではないかと思った。
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