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ちょうどその時、外出していたフェルナンドが帰宅したと知らせが入り、ここに呼んでもらった。
応接室に入ってきたフェルナンドは一直線にミアーナを抱きしめてきた。
「ただいま、ミア。」
「おかえりなさい。ちょうどよかったわ。ルティアのお客様が来ているの。」
客がいることをわかっているだろうにとミアーナは苦笑した。
抱擁をとき、フェルナンドは客に向き合い、見定めるような視線を送っていた。
「ルティアの父、フェルナンド・コーネルだ。君は?」
「初めまして。カイロス・グローリーと申します。ハバネス王国からこちらの学園に留学しております。
ルティア嬢とはクラスメイトという関係ですが、先ほど求婚させていただきました。
婚約をお許しいただきたく申し上げます。」
「は……?婚約?」
フェルナンドは驚いてミアーナを見てきたので頷いた。
その後、恥ずかしそうで嬉しそうなルティアの顔を見て、ため息をついた。
「妻と娘が認めたなら異論はない。だが娘につらい思いをさせたら取り返しに行くぞ。いいな?」
フェルナンドに凄まれて、カイロスは少しビビったようだった。
「は、はい。大切にします!」
こうなる可能性も二人で考えていたため、フェルナンドは渋ることもなかった。
ルティアはこの国から離れたほうがいいように思えたからだ。
近くにいないのは寂しくなるが、ルティアが幸せに暮らせる方がいい。
そう思っていると、フェルナンドが封書を手にしていた。
「さっき、執事のジョンから受け取った。……ディオル殿下からルティアへの手紙だ。」
「え!?」
ディオルからと聞いた途端、その封書が禍々しく見えてきた。
「どうして私に?読まなきゃ駄目かしら。」
ルティアは先ほどまでの嬉しそうな顔から一転、顔を曇らせた。
わかる。読みたくない気持ちが。
「読まないと判断ができないからな。内容によって対応せざるを得ない。」
ルティアは恐々と手紙を読み始めた。
内容は、休んでいるルティアを気遣うもので、見舞いに行きたいとあるらしい。
「……なんで婚約者でもないディオル殿下が見舞いに来る必要があるんだ。」
「そもそも、病気じゃないわ。」
強制力とは恐ろしい。
返事をしなければ、明日にでもここに乗り込んで来そうな怖さがあった。
「ルティア、明日の朝、ひとまず領地に向けて出発しなさい。ここにいてはいけない。
留学はカイロス君のハバネス王国にするんだろう?その手続きと婚約に必要な書類が揃ったら我々も領地へ向かい、それからハバネス王国に向かおう。
カイロス君はご両親に、我々が顔合わせに伺うことを知らせておいてくれるか?」
「はい!わかりました。」
婚約と留学の手続きを兼ねて、どのみちハバネス王国に行かねばならない。
同じ方角に領地があり、ルティアを避難させても遠回りにならずに済む。
「私はこのことを国王陛下に報告し、ディオル殿下の足止めをしてもらうつもりだ。」
あぁ。フェルナンドは怒っている。
婚約者のブランシュを大切にするよう、国王陛下からディオルに伝えてもらったはずが、ルティアにこんな手紙を送ってくるのだから。
ディオルは当分、謹慎になるだろう。
その間に、ルティアを国から出してしまえばいい。
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