不幸な令嬢に転生しましたが修道院には行きません。

しゃーりん

文字の大きさ
59 / 76

59.

 
 
屋敷に到着し、執事のジョージが出迎えてくれた。


「ようこそお越しくださいました。」


ブランシュは王族であるディオルの婚約者であるため、ジョージも丁重に挨拶を述べた後、ルティアとリカルドに『おかえりなさいませ』と言った。 
 

「応接室への案内は私がするわ。リカルドは休んでいてね。」


ルティアはついてこようとするリカルドを制し、ブランシュと応接室へと向かった。

侍女がお茶を入れた後、ルティアはブランシュと二人きりにしてもらった。
 

「あなたの弟、まるでどっちが年上かわからなくなるわね。」

「父に似た弟は小さい頃から大柄でして。リカルドにとって私は庇護対象のようで友人をつくる機会を失うほどでしたわ。」
 

思わず遠い目をしてしまった。
リカルドはルティアの防波堤のように立ちはだかり、声をかけようとする令息令嬢を蹴散らしてきたのだ。

一足先に学園に入学し、これで友人をつくれるかと思ったが、侯爵令嬢という立場と外見のせいで声をかけにくい存在だと思われてしまい、親しくなれる友人はできなかった。

そこに、留学生のカイロスがよく話しかけてくれるようになり、好意を抱いたのだ。

その後にディオルが教室に来て話しかけてくるようになった。


「ルティア様はご自分の将来をどうお考えなのかしら?」


雑談を打ち切り、ブランシュは本題に入ってきた。
要は、ルティアがどういうつもりでいるのかを確認しに来たのだろう。

王都からルティアは馬車で、ブランシュは騎馬でここまでやってきた。
ルティアが出発した次の日にブランシュは王都を出たのだろう。

彼女が知っているのは、おそらくディオルがルティアに手紙を出したということと、それから逃げるようにルティアが王都を去ったという情報だけで、留学と婚約はまだ知らないはずである。


「実は私、気になっていた方から求婚されたんです。」

「……求婚?」
 
「ええ。とても嬉しくて。婚約は今からなんですけど、彼の国に留学することになったんです。」

「留学!?どこに?」

「隣国のハバネス王国です。彼は留学生でしたが留学を切り上げて国に帰るから一緒にハバネス王国の学園に通わないかと誘われて。結婚すれば住むことになる国ですので留学することにしたんです。
彼のことをもっと知りたいし、一緒にいたいので。」
 

驚いているブランシュに気づかないフリをして、続けた。 


「領地の本邸で両親を待って、それから隣国に婚約と留学の手続きをしに行きます。今度この国に帰って来るのは、弟が結婚する時になるかもしれませんね。」


少なくとも三年は帰って来ないだろう。
そしてその頃にはカイロスと結婚しているはず。

ルティアの祖父母はロングストン公爵家の元父しか生きていないが、まだまだ元気であるため、葬儀で呼び戻される可能性は低い。

ディオルがブランシュと結婚するまでは、極力戻るべきではないと母からは言われているから。


「そう、なのね。」 


ブランシュはホッとした表情になった。
 
ルティアがディオルの前から消え、他国の男と婚約するとなると、ディオルはもうどうすることもできなくなると安心したのだ。

強制力がどうとか説明する必要もなく納得してくれたようで、ルティアもホッとした。


 

あなたにおすすめの小説

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。 2/26 番外編を投稿しました。 読んでいただけると嬉しいです。 思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。 とてもとてもありがとうございます!! 3/31 恋愛小説大賞に参加しておりました。最終順位27位です!嬉しすぎですっ!100位に入るのが目標でした。投票してくださった方、読んでくださった方、本当にありがとうございました!!本当に本当に感謝しております!!は~、やめないでよかった~いいこともあった~よかった~~ ありがとうございました!!!   

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています

もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。 ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。 庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。 全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。 なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。

【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!