不幸な令嬢に転生しましたが修道院には行きません。

しゃーりん

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ブランシュは帰り際、リカルドをじっと見てから言った。


「あなたならいいかも。」

「……なにがでしょう?」


リカルドは眉間にしわを寄せてブランシュの言葉の意味を探った。


「妹の婚約者よ。あなたなら父も認めるんじゃないかと思ったの。」

「……ブース侯爵令嬢の妹はまだ年齢が一桁では?」


ブース侯爵家にはブランシュと妹の間に男が三人の五人の子供がいる。


「そうよ?8歳。どうかしら。」 
 
「お断りします。」

「何故?」

「……はあ。うちは父が高齢ですので十年も待ってられません。早く後継を望まれていますので。」


そんな話、聞いたことはない。
でも、断る理由としては最適かもしれないとルティアは思った。


「確かにそうね。残念だけど諦めるわ。じゃあ、私の従妹はどうかしら?あなたより2歳年上よ。」

「……二年待たせるのも申し訳ないのでお断りします。」


ブランシュはクスクスと笑っている。
本気なのか、リカルドをからかっているのか。
 

「じゃあ、ここで失礼するわ。ルティア様、お幸せにね。」

「ブランシュ様も。お話できてよかったです。」 

「私もよ。……なんでも確認するべきよね。」
 

ぜひともそうしてほしい。
思い込みで襲われたらたまったものではないから。

あるいはあの茶番の際、こちらの護衛騎士が弱く、リカルドもいなければ、ルティアは賊に襲われたように見せかけて手っ取り早く暗殺されていたのかもしれない。 


ブランシュが馬で去って行くのを見届けた。

到着時よりも明らかに増えている護衛を引き連れていたのには、リカルドと苦笑いをしたが。 


ともかく、危機は一つ去ったという気がした。 


 
「彼女は僕にブース侯爵家の仕事を手伝わせるつもりなのか?無茶言うよ。」

「リカルドの鍛えた体に目を付けただけよ。本気じゃないわ。……多分。」
 

ブース侯爵家は王都の治安警備や災害時の人材派遣などを請け負っているため騎士や兵を所有している。
民衆の暴動を止めるのも、彼らの役割だ。

隣国に接している領地を持つ貴族家とブース侯爵家は、多くの騎士・私兵を持つことが国から認められているため、国から費用が出ている。

各貴族家にも騎士はいるが、それは各々が給金を支払い雇っているのだ。
 
 
「あなたもそろそろ婚約者を決めないとね。」

「学園に入学してからでいいよ。第三王子殿下の婚約者も決まってないし。」

「そうね。」


王族優先という決まりはないが、近い年頃の王子・王女がいれば、彼らの婚約が決まってからという空気になる。

第二王子であるディオルがブランシュと婚約したのは早かったが、リカルドより一つ下の第三王子であるリオネルにはまだいない。 

確か、物語ではリオネルは病弱だったが、それでも最期は殺されてしまったのだなと悲しくなった。 
しかし、現実では王族皆殺しはもう起こらないはずである。
 
隣国に留学し、結婚するとブランシュに伝えられてよかった。

あとは、王都にいるディオルの強制力がいつなくなるか。
ルティアの姿を見なくなれば大丈夫なのか、ブランシュと結婚すれば大丈夫なのか。

物語の破綻を待つしかなかった。

 

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