不幸な令嬢に転生しましたが修道院には行きません。

しゃーりん

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実在する者を夢で見る。 
 
このハバネス王国ではいくつかそういう事例があるらしい。
グローリー侯爵が話し始めた。


「実は私たちはカイロスの夢の話を物語か何かで読んだ影響だろうと気に留めていなかったのです。ですが、私の妹、カイロスの叔母が少々夢見がちなところがありまして、カイロスの夢は”女神様のお導き”に違いないと言い出しまして。調べた結果、そういう事例があることを知ったのです。」


”女神様のお導き”
ミアーナが想像したそのままではないかと笑いが込み上げてきそうだった。 


「眉唾物ではありますが、”女神様のお導き”によって結ばれた者たちは当人だけでなく周りにも幸運をもたらすとも密かに言われているらしく、そういうことならとカイロスに探させてみるとルティア嬢を見つけたというわけです。」
 

グローリー侯爵たちが誠実そうだと判断できるのは、そこでルティアに婚約を申し込まなかったところだと言えるだろう。

”女神様のお導き”とは言え、何の関わりもない隣国の貴族家から婚約の打診が来れば警戒する。
幸運をもたらすからと言われても、ルティア本人の中身はどうでもいいと言っているようなものだ。

しかし、カイロスを留学させ、ルティアと関わりを持たせて好意を抱いた上で求婚してきたのだし、ルティアもカイロスを気になっていたからこそ、ミアーナたちは婚約を認めたのだから。
 
まぁ、夢の話を聞いて、女神が関係していると気づいたから大丈夫だと思ったのも確かだが。


「娘はこの国に知り合いはいない。彼だけが頼りになるだろう。任せられないと判断したら婚約を解消して国に連れ帰ることもあり得ると思ってほしい。」


フェルナンドの言葉に、グローリー侯爵夫妻は声を出さずに頷いていた。

そんなに圧をかけなくても……とミアーナはまたフェルナンドの腕に触れて空気を和らげた。


「ごめんなさいね、大切な娘と離れるのが寂しくて厳しいことを言っていますが、私たち夫婦は娘の幸せを願っているだけなのです。
カイロス様だけでなくグローリー侯爵夫妻がおられるのですもの。大丈夫だとわかっていますわ。」
 

グローリー侯爵夫妻が社交界で根回ししていれば、ルティアはカイロスと楽しい学園生活を送り、結婚してからも受け入れられるだろう。

そう期待してミアーナは言ったのだが、フェルナンドと同様、脅したように聞こえたのかグローリー侯爵夫妻は顔が引きつっていた。

この国は我が国よりも足の引っ張り合いや婚約者を奪うなどの諍いが少ないのかもしれない。
平和であるに越したことはない。

 
この後、無事にルティアとカイロスの婚約が結ばれた。
 


ルティアは学園の寮に入ることになっている。

婚約を結んだ翌日、留学生として手続きを済ませ、寮に案内された。
国を通じて伝わっているため、部屋の準備は整っていた。

侯爵令嬢であるルティアよりも爵位の上の者が寮にはおらず、ルティアには広い部屋が用意されていた。


「明るい部屋ね。過ごしやすそうだわ。」 


ルティアは気に入ったらしい。
侍女も連れて来れるため、仲が良かったルティア付の侍女エマも一緒に来ている。

エマには事細かに報告を送るよう指示していた。
 
 

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