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ルティアはカイロスと結婚し、子供が二人生まれて隣国で幸せに暮らしている。
この国に帰ってくる時は、何年経とうが極秘行動となっている。
それはいつまでか。
ディオルが死ぬまで続けるしかない。
そう思っていたら、ディオルは33歳という若さでこの世を去った。
愛人がディオルと心中を図り、ディオルだけ亡くなった。
愛人の存在を妻のブランシュは知らなかった。
その男爵家が貴族ではなくなったのはその後すぐのこと。
愛人だった女とその両親の行方はブース侯爵家しかしらないだろう。
それはともかく、ルティアは気軽に里帰りできるようになった。
リカルドは伯爵令嬢アンジェリカと結婚した。
継母と異母妹に虐げられていた令嬢で、後に継母と異母妹は修道院に入れられた。
リカルドがそう仕向けたのだ。
我が息子ながら、笑顔ですることが恐ろしい。
ロングストン公爵家に一時預けられ、アンジェリカは礼儀作法などを学びなおしてから嫁いできた。
リカルドとアンジェリカにも子供が二人生まれてコーネル侯爵家は賑やかになった。
そしてひ孫まで生まれて数年後、ミアーナ65歳、フェルナンド80歳。
天に召されようとしているのはミアーナだった。
「どうしてミアが先なんだ!」
「女神様が願いを叶えてくれたからよ。」
「願い?」
「ええ。あなたが私を残して先立つと心残りができてしまうから、私が先にってお願いしたの。」
フェルナンドより15歳下のミアーナが未亡人になる可能性は高かった。
ミアーナのSEX好きを知っているフェルナンドは、若くしてミアーナが未亡人になれば確実に恋人ができると思っていた。
仕方がないことだとわかっていても、その日が来ることが嫌で死にたくなかった。
そのため、一日でも長く健康に生きようと思っていたら、80歳にまでなっていたのだ。
「フェルナンド様とひ孫まで見れたら嬉しいわって女神様とお別れする時にお願いしてみたら叶っちゃったわ。」
もう思い残すことはない。
「大丈夫よ。フェルナンド様もすぐだから。」
そう言うと、フェルナンドは嬉しそうな顔になった。
「一緒に逝けるんだな。」
自分が死ぬというのにここまで喜ぶ人は珍しいだろう。
フェルナンドはベッドの中に入り、ミアーナを抱きしめてきた。
「来世も共に。愛しているよ。」
「ええ。私も愛しているわ。また会いましょう。」
ミアーナはフェルナンドの目を見ながらキスをして目を閉じ、逝った。
その少し後、見届けたフェルナンドがミアーナの額にキスをして目を閉じ、逝った。
寿命を全うした二人が女神の手によって転生することはないが、新たな命で誕生した二人が惹かれ合うのは女神の采配である。
相思相愛の二人が来世で再び巡り合い恋に落ちる。
それは、誰にも気づかれない女神の楽しみであった。
うっかり、離れた場所で生まれてしまったなら、”女神様のお導き”によって出会えることもある。
……では、カイロスとルティアは相思相愛で生まれ変わった魂の持ち主ということになる。
ルティアはミアーナだった。
では、カイロスは?
実は、ネヴィルである。
婚約者だったネヴィルとミアーナは相思相愛で生まれ変わった魂だったのだ。
それなのに、物語の強制力でネヴィルは早くから影響を受けてしまい、どうすることもできなくなった。
ネヴィルが王族だったせいで、女神が干渉できなかったのだ。
そして、ミアーナはルティアになり、ネヴィルはカイロスとして生まれ変わった。
前世が影響することなく、彼らの魂は再び惹かれ合ったことに女神はホッとした。
「美愛とフェルナンドという新たな相思相愛の魂のお陰で今後の楽しみが増えたわ。」
今度は15歳差ではなく、近い歳で生まれ変わるはず。
美愛が書いた、閨の指南書と恋愛小説の恩恵を受け、相思相愛の魂が増えていることも嬉しい。
女神が理想とする愛に溢れた国になるのも、そう遠くはない。……かもしれない。
<終わり>
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