恋人の婚約パーティーに乗り込んできた令嬢を、招待客は面白がって見守る

しゃーりん

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5.

 
 
ドリステル侯爵の言葉をアマーリエは受け入れなかった。


「後ほど話し合うのでは遅いのです。私は今この場でセオドアを取り戻したい。婚約が成立してしまっては意味がありません。」


アマーリエの悲痛な訴えに、招待客たちはその通りだと頷く。


「君は、今この場で決着をつけるという意味がわかっているのか?」


ドリステル侯爵の問いに、アマーリエは頷いた。


「わかっています。セオドアが私を選んでもマーティン公爵様は認めてくださいますよね?」


アマーリエはドリステル侯爵ではなく、フィオナの父であるマーティン公爵に問いかけた。


「ああ、認めよう。その場合、ドリステル侯爵家を咎めることも慰謝料を要求することはない。」

 
マーティン公爵の言葉に、招待客から感嘆の声が上がった。
娘のフィオナが傷つくことになるかもしれないというのに、寛大だと。


「では、セオドア。お前はフィオナ嬢とアマーリエ嬢のどちらを選ぶ?家のことなど気にせずに正直な気持ちを答えろ。」


ドリステル侯爵が息子セオドアにそう問いかけた。
セオドアは逡巡することなく答えた。

 
「私は、フィオナ嬢を選びます。」


やっぱりそうなるか。
招待客たちは、ここで恋人のアマーリエを選べば面白いと思いながらも、セオドアはフィオナを選ぶだろうと思っていた。

咎められなくとも、公爵令嬢との婚約を白紙にしたという事実は消えない。
フィオナに傷をつけたということはドリステル侯爵家の評判を落とすことにもなる。

結局、体面が大事なのだ。


「セ、セオドア?どうして……」


ひどくショックを受けた様子のアマーリエが、震えながらセオドアに聞いた。


「どうしてって、そもそも私は君の恋人になった覚えはないが。」


はあ!?
招待客たちはセオドアの言葉に混乱した。

セオドアもフィオナ同様、アマーリエとの関係を否定するつもりか。

しかし、ふと気づく。

アマーリエの言葉を信じる根拠もなかったことに。


「だって、私のこと好きって言ってくれたわ。」

「それは子供の頃のことだ。君は母の友人の娘だから無下にはできなかった。それに、好きかと聞かれたら嫌いじゃない限り頷くのが子供だろう?」 


確かにそういうものかもしれない。


「しかも、君が追いかけていたのは兄で私ではなかった。次男だから興味なかったのだろう?」


セオドアの言葉に、招待客はどよめいた。
次男のセオドアがドリステル侯爵家の跡継ぎになったのは、最近の話だった。


「それは、お母様に言われていたから仕方なかったの。でも、私はセオドアがずっと好きだったの。」


誰が聞いてもアマーリエの言葉に説得力はない。

彼女はドリステル侯爵家の跡継ぎを狙っていただけで、セオドアと恋人だというのも怪しくなった。
 

 

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