恋人の婚約パーティーに乗り込んできた令嬢を、招待客は面白がって見守る

しゃーりん

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11.<アマーリエ1>

 
 
アマーリエは7歳になった頃から、母のお茶会に連れて行かれることがあった。

しかし、子連れは母だけだったのか、たいていはその屋敷の子供と一緒に過ごしていたが、何度か行くうちに一人で待たされることもあった。
しかし、ドリステル侯爵家だけは違った。

子供が多く招かれて、毎回お菓子もたくさんあって、行くのが楽しみな屋敷だった。

やがて母が言った。

『アマーリエはドリステル侯爵家に嫁ぐのよ。ルミナス様と仲良くしなさい』

ルミナスはアマーリエの3歳上、セオドアはアマーリエの1歳上で、アマーリエはルミナスよりもセオドアの方がよかった。
 
『セオドア様じゃダメなの?』

『ルミナス様じゃなきゃダメよ。ドリステル侯爵家の跡継ぎはルミナス様なのだから』 
 
アマーリエはルミナスに話しかけることにした。
しかし、彼はアマーリエを見ると不機嫌そうな顔になる。

母にそう言うと、

『体調が悪いフリをしなさい。そうすれば心配で側にいてくれるわ』

と言われた。

男の子たちが外に遊びに行こうとすると、外が嫌いなアマーリエは彼らを引き留めるために病弱なフリをした。

医者を呼ばれたこともある。
そうなると母も呼ばれるため、母に怒られた。

成長するにつれ、適度な加減を覚えた。 



ルミナスは話しかけても難しいことを言うし笑わない。
他の女の子とは普通に話しているのに。

それでもルミナスと話しなさいと母に言われた。

『私、ルミナス様に嫌われてるのかな』

そうセオドアに聞くと、

『兄上はドレスやお菓子の話に興味はないからね』

と苦笑して言われた。
でも、アマーリエが好きな話はそれだった。

『セオドア様もアマーリエのこと、嫌い?』

『……嫌いではないよ』

『嫌いじゃないなら、好きだよね?』

『うーん。まあ、そうなるのかな?ここにいるみんなと同じくらいになら。』 

アマーリエはセオドアに好かれているだけで嬉しかった。



やがて母のお茶会にアマーリエは一緒に行けなくなった。

でも、アマーリエ自身がお茶会に招かれ、そこにはルミナスとセオドアもいた。

アマーリエは毎回二人の近くにいた。


招かれていないのに、母に言われてドリステル侯爵家を訪問し、お茶をいただいていた。

『それでいいのよ』

母はそう言った。
ルミナスに会えなくても、セオドアが会ってくれる時もあった。

母の言う通りにしてよかったと思っていた。



しかし、ルミナスが隣国に留学してしまい、ドリステル侯爵家を訪れても約束がなければ入れてもらえなくなった。
 
セオドアと会えるのは誰かのお茶会に招かれた時だけになった。

彼はお茶会で、よくフィオナと一緒にいた。   
アマーリエはセオドアに話しかけ、フィオナとも話すようになった。

 

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