恋人の婚約パーティーに乗り込んできた令嬢を、招待客は面白がって見守る

しゃーりん

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22.<フィオナ1>

 
 
マーティン公爵家のフィオナは、兄が一人、姉が二人、弟が一人いる。 

祖母は元王女で王家との関わりも近く、家は裕福で手に入らないものは少ない。

両親は幼い頃に婚約して仲を深め、結婚後もずっと相思相愛。
同じく早く婚約して婚約者と楽しそうに過ごしている兄と姉たち同様、フィオナも早くに婚約者が決まるはずだった。 


家格のつり合いと、兄姉の相手とのバランスを考え、父が選んだドリステル侯爵家には二人の男の子がいた。

長男のルミナスはフィオナの2つ上。
次男のセオドアはフィオナと同い年。 
 
長男のルミナスがフィオナの婚約者候補だった。
フィオナもそのつもりでいた。 
 
しかし、ドリステル侯爵からは、今すぐ婚約させたくはないと言われたらしい。
というのも、長男だからとルミナスを跡継ぎに決めず、適性を見定めたいからということだった。 
 
父はドリステル侯爵のその慎重さを受け入れ、フィオナは跡継ぎとなる方の婚約者になることが決まった。
  

ルミナスは年上ということもあって自分よりも賢く、フィオナが知らないことをいっぱい話してくれた。
セオドアは明るくて優しく、ルミナスをとても慕っていた。

ルミナスへは憧れ、セオドアには親しみを抱いていた。


アマーリエ・スコッティ伯爵令嬢の存在は、そんなフィオナたちの関係を壊し始めた。

ルミナスはアマーリエから逃げ、セオドアがアマーリエの相手をする。
セオドアの優しさにつけ込むアマーリエを放ってはおけず、フィオナも側にいた。
 
そんなことを繰り返すうちに、フィオナはセオドアに惹かれていった。

でも、誰にも言えなかった。
言えば、セオドアとの婚約が決まり、彼が跡継ぎに決まってしまうから。

セオドアに、慕っている兄を押しのけて自分が跡継ぎになったのはフィオナのせいだと思われたくなかった。
 
 
そんな中、ルミナスが留学すると聞いた。
しかも、彼はセオドアを跡継ぎとに望んだらしい。

フィオナはルミナスに、セオドアへの気持ちを気づかれて彼は身を引いたのではないかと思ったが、研究者になりたいということを知り、ルミナスには合っていると応援したいと思った。 

 
セオドアとの婚約が結ばれ、フィオナは嬉しかった。
 
留学したルミナスのことを考えてすぐに婚約を公表できなかったため、秘密の関係がしばらく続いた。

一緒に勉強をしたり、ボードゲームをしたり、同じ本を読んで感想を言い合ったり、演奏をしたり。
手を繋いで庭を散歩したり、隣同士に座ってお菓子を食べさせ合ったり。

屋敷の中で過ごす時間は、二人の距離をとても縮めてくれた。

 
 

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