婚約破棄を、あなたの有責で

しゃーりん

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無事に入学式も終わり、不安だらけの最終学年。

新たな教室に踏み入れると、メーティリアは注目を浴びた。

それは何故か。

ザッカルドと一緒ではないから。
メーティリアが学園内でザッカルドと離れることはほぼなかったから。

しかし、今日からは違う。

ご丁寧にも、ザッカルドがメーティリアを頼ることがないようにクラスまで別になったのだ。

メーティリアは思う。
同じクラスで手助けできないことをもどかしく思うのと、ザッカルドの言動を目の当たりにしなくて済むことと、どちらが精神安定上、よいのだろうか、と。 

答えはすぐに出た。

目の当たりにしなくて済む方がいいのだと。


きっかけは、例の転入生エリーゼ。

彼女はザッカルドのクラスだったので、メーティリアが彼女の姿を目にしたのは昼休憩時だった。 

彼女はとても可愛い女性だった。
転入生ということもあり、彼女はクラスメイトからも注目を浴びていた。


そしてザッカルドはというと、蕩けるような目でエリーゼを見ていたのだ。

…………一目惚れしたのね。 
 
ザッカルドの好みが可愛い女性だということは知っていた。
メーティリアはどちらかと言うと、美人顔で、年齢よりも年上に見られることが多かった。

王族や高位貴族が、容姿で結婚相手を選ぶことは少ない。
『この中から選べ』と言われたら、自分の好みの容姿を選ぶことはあっても。

ザッカルドは同じクラスの生徒会メンバーに声をかけられてようやく、昼食をとるために立ち上がっていた。


 
生徒会メンバーは、昼食を生徒会室で食べている。
これは放課後ではメンバーが揃わないこともあって、昼休憩時に打ち合わせも兼ねているから。
過去の生徒会メンバーもそうであり、そしてここに昼食を運んで貰えるのは、生徒会特権の一つでもある。


「メーティリア、この世には妖精というものが実在したのか?」


ザッカルドから聞かれたらメーティリアは答えてもいい。
だけど、この質問は何?


「ザッカルド様、妖精というものは空想上の産物だと思われます。手のひらに乗るような、羽のある生き物と言えば、蝶や小鳥などでしょうか。それを擬人化して物語に登場させたのが妖精だと言われていますわ。」
 
「だが、普通の大きさの人間だった。」

「……ならば妖精ではなく、人間なのでしょう。」


なんなの?この不毛な会話は。
もしかしなくても、妖精ってエリーゼのことよね。
ここまで頭が沸いているとは思っていなかったわ。

他の生徒会メンバーも、気づいているのか無言になっていた。 


最終学年初日からこれでは、先が思いやられる。

 
 


 
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