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しおりを挟む卒業パーティーの前に、ザッカルドは国王陛下の側近たちにいろいろと説明を受けた。
領地のこと。
管理者から学ぶこと。ザッカルドは不在が多いためエリーゼの役割になる。
使用人の給金の相場。一人増やすと毎月の支出が増えて赤字が積算されるらしい。
使用人は平民しかいないこと。貴族を雇う余裕はないらしい。
そして、子のこと。
一代伯爵とは、たとえ子がいても伯爵家の跡継ぎにはなれない。平民になる。
それを不満に思い、継承権争いに発展した過去もある。
そのため、子を作らないことが望まれるのだ。
側近たちが危惧したのは、ザッカルドの子ではないのにザッカルドの子だとエリーゼが言うこと。
托卵である。
種が平民ともなればエリーゼの子は紛れもなく平民である。
貞操観念の薄いエリーゼは、ザッカルドの不在時に不貞をするかもしれない。
そうならないよう、ザッカルドがエリーゼと閨を共にしなければ、子供ができたと言えなくなる。
そう言われ、それもそうだとザッカルドは納得したのだ。
それに、エリーゼのことを純真無垢だと信じていたザッカルドは、エリーゼの過去を知ってから彼女への思いが宙に浮いてしまっていた。
王族は妻が純潔必須であったことから、貴族であればいいのかと聞けば貴族でも純潔は当然だと知った。
国王陛下の命によりエリーゼと結婚してしまったが、これは婚約破棄の責の一つだと思った。
つまり、ザッカルドがエリーゼを抱かないことが罰の一つなのだ。
そうすれば、子はできない。
側近の指示に、ザッカルドは素直に従うことにした。
そして、領地で4日過ごした後、ザッカルドは王都に向けて出発した。
エリーゼは見送りにすら来なかった。
かつて、モンドール伯爵領のことを語って、領地のためにアレコレ考えてキラキラしていたエリーゼはどこへ行ってしまったのだろうか。
自分はザッカルドと結婚したら王太子妃になるので、モンドール伯爵になれなくても大切な領地には変わりないから、腹違いの弟に協力したいと言っていた。
結局、ザッカルドが廃太子になってしまったためにエリーゼは王太子妃になれなかったし、モンドール伯爵になる資格もなかったが、サルエラ伯爵夫人になったのだ。
ザッカルドの不在が多いため、実質上、サルエラ領はエリーゼに任せることになる。
モンドール伯爵になるつもりだったのだから、領地を任されることは喜ぶと思っていた。
それなのに、王都の近くに別邸を買うと言い出したり、伯爵夫人は何もしないと言ったり、エリーゼが何を考えているのかがわからない。
……メーティリアに聞いたら、どういうことかを具体的に教えてくれるのだが。
さすがにメーティリアには聞けないから、国王陛下の側近たちに話してみようと思った。
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