身近にいた最愛に気づくまで

しゃーりん

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一方、ジュディの方は前にせり出してきたお腹以外は体形に変わりはなかった。
以前より動き回れる範囲を限定されていても、必要以上に食べたりしないからだ。2人分食べようなどとは考えもしない。

そして毎晩、ヴェントスと一緒に寝ている。ジュディの健康チェックは万全だった。
 


産み月になり、先に陣痛がきたのはジュディだった。
半日ほどかかり、産んだのは男の子。

ヴェントスはもちろん、公爵夫妻も大喜びだった。

2日後、セレスティーナは長時間の陣痛の末、女の子を出産した。

だが、出血が止まらず、そのまま亡くなった。 



モールメント公爵家は、セレスティーナが双子を出産したが出血がひどくそのまま亡くなったと王家に伝えた。

そう、双子とした。

ジュディが産んだ男の子とセレスティーナが産んだ女の子を。



セレスティーナの両親である国王夫妻は驚いてモールメント公爵家へと駆けつけた。
大事な娘が亡くなったと信じられなかったのだ。

しかし、セレスティーナの亡骸を見て、国王夫妻は困惑した。


「……え?これは本当にセレスティーナ、なのか?」


そう言いたくなるのもわからなくはない。ほっそりとした美人の面影はどこにもないのだから。


「でも、このホクロ、あなたに似た眉の形もあの子と同じだわ。」


ヴェントスの母、モールメント公爵夫人が国王夫妻に説明した。


「セレスティーナ様は、何度止めても甘いものと辛いものがやめられなかったのです。医師も危惧して出産時に体の負担になると言いましたし食事に工夫もしていたのですが、直接料理場に足を運んで指示することもあって。
せめて、散歩をと促しましてもヒールが履けないから嫌だとおっしゃって。
体重の増加以外にも浮腫みの症状が出てきたことで、命の危険があると言われていたのですが。
こんなことになってしまい、非常に残念です。」

 
少し前までは貴族夫人の10人に1人は出産時に危険があると言われていた。
だが、近年は食事や体力作りによって死亡率は下がっていたのだ。

過食に運動不足は出産時の危険要因に最もあげられることだった。


「……そう言えばお前も過食でセレスティーナを産んだときに死線を彷徨ったな。体質が似たのか。」


国王陛下は王妃様に向かってそう言い、王妃様は目を逸らした。 
出産に関わることで命を落としても、誰も責めることはできないのだ。


それから、セレスティーナが産んだことにした双子を国王夫妻に会わせた。


「まぁ。先に産まれたのが男の子で後が女の子?女の子の方が大きいのね。この大きな子のためにセレスティーナは命を削って産んだのだわ。ねぇ、この子、連れて帰れないかしら?セレスティーナの生まれ変わりよ?」


王妃様の言葉に誰もが驚いた。国王陛下が王妃様を窘めた。


「何を言っている?この子はモールメント公爵家の娘なんだ。」

「でも、ラインハルトには女の子がいないわ。王女はいないの。」


ラインハルトとはセレスティーナの兄で王太子殿下のことだ。男の子が3人いる。
 

「国民に好かれていたあの子の娘を王女として迎えたいわ。モールメント公爵家には男の子の方が跡継ぎになれるでしょう?それにヴェントスが再婚したら新たな子供もできるわ。いいと思わない?」
 

王妃様は本気で言っているのだ。そう思った。
 

 
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