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しおりを挟むメイディアの所在を確認してみると、ルイスと庭に出ているという。
彼女はこの一年、デズモンド侯爵家のことについて学ぶ以外の自分の時間はルイスと共にいる。
ルイスが初めて寝返りをした日、お座りができるようになった日、這うように動いた日、立ち上がった日、歩いた日、そのどれもアイザックよりも先に目にして、アイザックを呼びに来てくれた。
喜ばしいことだ、感動するべきことだと言うようにメイディアはルイスの成長を楽しそうに見守る。
メイディアに呼ばれなければ、ルイスの細々とした成長を目にする機会などなかっただろう。
一日に一目見るか、数分眺めるかくらいで終わっていたはずだ。
赤ん坊となんて会話ができるわけではない。
元気に育っていれば問題ないと貴族の男はあまり関わらないものだから。
もちろん、母親も成長するまではあまり関わらないという貴族もいる。
そのために、乳母を雇い、面倒を見させるのだから。
だが、メイディアと共にルイスの成長を見守る日々は楽しいとアイザックは思った。
自然と、メイディアと一緒にいる時間も増え、彼女の人となりがわかる。
いつも、明るくて楽しそうにしているメイディアと一緒にいると、アイザックは自分の口角が自然と上がっている自覚もあるのだ。
もう、メイディアのいない暮らしには戻れそうにない。
庭に着くと、ルイスがメイディアに手を伸ばしているところだった。
メイディアがルイスを抱き上げてクルッと一回転すると、楽しそうな笑い声が聞こえた。
二人はすっかり母子だった。
「あら。アイザック様。ルイスと遊びに?ルイス、お父様が来てくれたわ。」
ルイスはアイザックに気づくと、今度はアイザックに抱っこしてもらおうとメイディアの腕の中から手を伸ばしていた。
メイディアからルイスを受け取ると、ルイスはよくわからない言葉を発して笑った。
つられてアイザックも笑う。
この一年、どれだけ自分の表情が豊かになっただろうか。
学生時代の友人が見たら驚くこと間違いないだろう。
アイザックはそのまま、メイディアとルイスと三人での時間を過ごした。
そして夜、アイザックはメイディアに時間をもらった。
「メイディア、君と結婚してそろそろ一年が経つ。私は君と本当の夫婦になりたい。だが、君が今のまま形だけの夫婦を望むのであればそれでもいい。私とルイスのそばにいてくれるのであれば、嬉しく思う。君は、どうしたい?」
「私は、……私はアイザック様のことを一人の男性として好きです。なので本当の夫婦になりたい。でも、アイザック様の中にある私への気持ちは家族愛のようなものなのではないですか?それなら、形だけで今までと同じでもいいと思います。」
メイディアの返事に、内心狼狽えた。
家族愛?
違うとも言い切れない。
この一年、メイディアが側にいてくれることが心地よくて、もし、本当の夫婦になることを拒まれてもここに居続けてもらえるよう、嫌われないようにと男としての下心を隠し続けてきたから。
しかし、メイディアは本当の夫婦になるのであれば、アイザックからの愛が欲しいと言っているのだ。
家族愛ではなく、メイディアを一人の女性として愛してくれないのであれば、今のままでいい、と。
アイザックは自分の言葉がズルかったと気づいた。
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