記憶が戻ったのは婚約が解消された後でした。

しゃーりん

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33.

 
 
ダイアナは、友人たちだけにこっそりとダニエルに求婚されてそれを受けたことを話した。


「ダニエル様は婚約を破棄されたばかりですし、手続きはまだ先ですけれど。」

「おめでとうございます!とてもお似合いですわ!」


お似合い……


「そうかしら。何だか少し、釣り合っているのかしら?と思ってしまいましたわ。」


ダニエルは非常に美形である。
彼の隣に立って大丈夫なのかとふと不安になった。


「ダイアナ様は失礼ながら申しますと、成長が遅かったのです。以前は確かにまだ子供っぽい印象はありましたが、今ではすっかり大人の女性なのですから、美人同士、お似合いですよ。」

「そう?そう言われて安心しましたわ。」 


ロゼッタは嘘を言っていない。
そう感じたから、素直に受け入れることにした。だけど、美人同士?
 

「お名前で呼び始めたのですね。」

「ええ。口約束でも婚約者ですもの。お名前で呼び合うことになりましたの。」 


ダニエルからは、”ダイアナ”と呼んでもらえることになった。 
異性から名前で呼ばれることが、こんなにくすぐったく感じるなんて。 

父以外では、国王陛下とジルベールにも呼ばれたが、彼らには家名で呼ばれるのと同じような感覚だった。
いい感情がこもっていないからかもしれない、と勝手に判断していた。


「公表はいつ頃に?」

「わたくしの18歳の誕生パーティーでしようということになりましたわ。皆様、来てくださる?」

「「「もちろんです。」」」 


昨年は誕生日が休日だったため、当日にできた。
今年は平日になるため、前日にパーティーをすることになっている。

ダイアナは友人を招くことができて嬉しくなった。



「ケイトリン様、しばらく休んでいましたが、来ていますね。」

「噂では、成績が下がったら退学させられるそうよ。恋人と結婚するなら、最低限、学園は卒業していないと、家庭教師や侍女にもなれなくなってしまうから。」


いつもながら、彼女たちは情報を仕入れるのが早かった。
 

「婚約が破棄になったことで、伯爵が息子と大喧嘩になったらしいわ。余計なことを言うから侯爵家を怒らせてしまったって。」


ポッシュ伯爵家の跡継ぎであるケイトリンの兄はいい迷惑だったに違いない。
格上の侯爵家に盾突いたようなものだから。 

ケイトリンを学園に通わせ続けるのは、今後、彼女がどうなったとしても払うことになった慰謝料分を働いて返させるためではないだろうか。

平民より貴族の方が何をするにも賃金は格段にいいのだから。 

ケイトリンの恋人も、今更別れることなど許されず、共に慰謝料の返済に明け暮れる生活が待っているのかもしれない。

仕方がない。
それが、ダニエルを選んでいれば次期侯爵夫人になれたはずのケイトリンが選んだ道なのだから。
 

 

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