33 / 42
33.
ダイアナは、友人たちだけにこっそりとダニエルに求婚されてそれを受けたことを話した。
「ダニエル様は婚約を破棄されたばかりですし、手続きはまだ先ですけれど。」
「おめでとうございます!とてもお似合いですわ!」
お似合い……
「そうかしら。何だか少し、釣り合っているのかしら?と思ってしまいましたわ。」
ダニエルは非常に美形である。
彼の隣に立って大丈夫なのかとふと不安になった。
「ダイアナ様は失礼ながら申しますと、成長が遅かったのです。以前は確かにまだ子供っぽい印象はありましたが、今ではすっかり大人の女性なのですから、美人同士、お似合いですよ。」
「そう?そう言われて安心しましたわ。」
ロゼッタは嘘を言っていない。
そう感じたから、素直に受け入れることにした。だけど、美人同士?
「お名前で呼び始めたのですね。」
「ええ。口約束でも婚約者ですもの。お名前で呼び合うことになりましたの。」
ダニエルからは、”ダイアナ”と呼んでもらえることになった。
異性から名前で呼ばれることが、こんなにくすぐったく感じるなんて。
父以外では、国王陛下とジルベールにも呼ばれたが、彼らには家名で呼ばれるのと同じような感覚だった。
いい感情がこもっていないからかもしれない、と勝手に判断していた。
「公表はいつ頃に?」
「わたくしの18歳の誕生パーティーでしようということになりましたわ。皆様、来てくださる?」
「「「もちろんです。」」」
昨年は誕生日が休日だったため、当日にできた。
今年は平日になるため、前日にパーティーをすることになっている。
ダイアナは友人を招くことができて嬉しくなった。
「ケイトリン様、しばらく休んでいましたが、来ていますね。」
「噂では、成績が下がったら退学させられるそうよ。恋人と結婚するなら、最低限、学園は卒業していないと、家庭教師や侍女にもなれなくなってしまうから。」
いつもながら、彼女たちは情報を仕入れるのが早かった。
「婚約が破棄になったことで、伯爵が息子と大喧嘩になったらしいわ。余計なことを言うから侯爵家を怒らせてしまったって。」
ポッシュ伯爵家の跡継ぎであるケイトリンの兄はいい迷惑だったに違いない。
格上の侯爵家に盾突いたようなものだから。
ケイトリンを学園に通わせ続けるのは、今後、彼女がどうなったとしても払うことになった慰謝料分を働いて返させるためではないだろうか。
平民より貴族の方が何をするにも賃金は格段にいいのだから。
ケイトリンの恋人も、今更別れることなど許されず、共に慰謝料の返済に明け暮れる生活が待っているのかもしれない。
仕方がない。
それが、ダニエルを選んでいれば次期侯爵夫人になれたはずのケイトリンが選んだ道なのだから。
あなたにおすすめの小説
幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました
ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。
けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。
やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。
――もう、この結婚には見切りをつけよう。
夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。
身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。
一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。
幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
旦那様、離婚してくださいませ!
ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。
まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。
離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。
今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。
夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。
それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。
お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに……
なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!