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しおりを挟む学園で一人孤立するセレンティアを見ていられなくなったアマディオは、自分が友人として一緒に学園生活を過ごすと言い出した。
「アマディオ、それはセレンティア嬢が浮気しているように思われるぞ?いいとは思えない。」
ロックスの言葉に、クラリーチェも頷いた。
「俺一人ならな。だが、お前らが一緒ならどうだ?俺はな、あのバカ野郎が勘違いしてくれることを望んでいるんだ。わかるか?男が二人、セレンと仲良くし始める。あのバカ野郎は間違いなくセレンを浮気女だとか男好きだとか非難するに違いない。その時に婚約解消の言葉を引き出せたら最高だろ?」
第二王子フレデリックが『あの野郎』から『あのバカ野郎』に変わってる……
まぁ、そこはどうでもいいけれど。
ロックスのブライト伯爵家もアマディオのクラウド侯爵家も、フレデリックの脅しや風評被害にも動じないだろうし、原因がわかって国王陛下から叱責されるのは間違いなくフレデリックだろう。
人前で国王の決めた婚約を解消すると言わせることが出来れば、取り消すのは難しい。
しかも、卒業まであと半年もない今だからこそ動くべきなのかもしれない。
卒業すれば結婚することはほぼ確実になる。……高位貴族令嬢でも孕ませれば別だが。
下位貴族令嬢が孕んでも愛人と庶子となるだけだから。
「念のため聞くが、セレンティア嬢がフレデリック殿下と結婚したくないのは確かなんだよな?あんな男でも王子だから妃になりたいとか思ってないよな?お前、確認したことあるのか?」
ロックスがアマディオに聞くと、アマディオは目を泳がせた。
「ま、まさか妃になりたいだなんて……セレンは言わない、はず。」
「聞いていないのか?……まさかお前、最後に彼女と話をしたのはいつだ?」
「…………セレンの婚約が決まる前が最後だ。」
まさかの2年半前だった。
アマディオの計画を実行に移して問題はないのだろうか。
浮気ではないけれど、男二人と行動を共にし始めれば王子妃に相応しくないと誤解される可能性はある。
セレンティアの心のうちを誰も知らない。
彼女は幼稚で浮気者のフレデリックと結婚してもいいと思っているかもしれないし、フレデリックの婚約者にならなければアマディオと婚約していたのだろうから、アマディオのことを今でも好きと思っているのかもしれないし。
そんなことを考えていたクラリーチェはふと一つの疑問に行き着き、恐る恐る確認した。
「アマディオ様、セレンティア様が殿下との婚約が決まる前までお二人は両想いだったのですよね?」
アマディオは婚約を申し込むつもりだったと言っていた。
なので、セレンティアがフレデリックの婚約者候補から外れることを二人して待ち望んでいたものだとクラリーチェは思っていた。
それは二人が両想いだったからだと思っていたけれど、これって私の思い込みじゃないよね?
「りょ、両想いだと?!セレンが俺のことを?」
いやいや、こっちが聞いているんだけど。そんな顔を真っ赤にして照れてるけど……違うんだ。
「セレンティア様と交流があった頃、お気持ちを確認したことは一度もなかったのですか?」
「……ない。俺の気持ちは筒抜けだったと思うが、セレンは何も言わなかった。」
両想いでもフレデリックの婚約者候補になっている間は応えられなかったせいか、あるいはアマディオを単なる幼馴染と見ていたからなのか。
どっちだろ。
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