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辺境伯次男の正妻ソラーナは将来を憂うように言う。
「もう多妻制度は辞めるべきね。
そうでないと、子供たちは結婚しないし子供を産まないようになるわ。
じゃあ多妻のままの方が子供が増えるんじゃないかって思うでしょ?
それは夫の兄弟たちの時代までよ。
子供たちはそれぞれが自分に子供がいなくてもなんとかなるって思ってる。
兄弟・従兄弟が多すぎるのよ。
父親に妻が2人いるし、部下と娼館に行く意味もわかってる。
後ろめたさも何もないんだもの。
性欲を発散できたら妻じゃなくても満足なんだってことを子供ながらに理解してるわ。
魔力持ち同士のあなたたちが結婚して産まれる子供は高確率で魔力持ちになる。
だから、将来有望よ。
少しずつ、あなたたちのように一夫一妻制に戻して子供を大切にしていかないと。
辺境伯の子供と孫はたくさんいるけれど、今の騎士団の各長になっているのは魔力持ち。
私の夫やその兄弟たちね。
その子供たちにも魔力持ちは多い。でもそこまでなのよ。
その子供たちが結婚して子供を作らないと辺境を守る魔力持ちの騎士が一気に不足するわ。
なのに結婚する気がない。困ったものね。」
「伯父様は、息子たちは妻2人まで、孫たちは妻1人にしていきたいって言っていました。
数十人いる孫それぞれに、おそらく魔力持ちの女性と結婚させるでしょう。
結婚する気がなくても、辺境を守るためには種馬扱いと同じですね。
辺境の風習上、愛人や娼婦に寛容になれる女性も多いと思います。
子供を産むのは妻、愛人には子供を産ませないと納得させて結婚させるしかないですね。」
辺境伯の血筋と言っても、三男の第二夫人の子供、とかなると何番目の孫?といった感じになる。
魔力がなければ、平民騎士と変わらない給金になるだろう。
もちろん、それでも国を守る騎士としてそれなりの額を貰えている。
だが、享楽的に過ごす辺境の男たちは、娼婦を買い、酒を楽しむことが当たり前となり、妻と子育てをという感覚が薄れているため、子供の養育資金がなくなっていく。
ソラーナの息子も従兄弟や異母兄弟を見て、結婚する意味がわからなくなっているのだろう。
せっかく集まってくれている騎士たちも同様なのだ。
騎士たちは自分の腕や正義感を持って魔獣と戦う。
生きて帰れたことに興奮して性欲が高まることもよくあること。
だが、自分の子孫を残すために女性の体の奥に種を植え付けたいという本能が、いつの間にか単なる発散になってしまっている。女性側も愛情もない男の子供を産みたいとは思わず、避妊する。
なのでここ10年、明らかに子供の数が減っているという。
避妊薬の普及も原因の一つだ。
魔力持ちの令嬢も少なくなってきており、辺境にやってくる者も減っていく。
だけど、大勢の孫たちとその令嬢たちを結婚させて、魔力持ちの子供を産んでもらわなければならない。
令嬢たちも、自分以外に夫の子供は産ませないとなれば、性欲の発散にも理解を示すだろう。
行くところのない、今までの令嬢と同様に。多妻よりは私でもマシだと思うから。
ルシードとの将来の話が、なぜか辺境を担う将来の子供たちへの不安の話になってしまった。
娼館を無くす必要はないが、結婚して妻や子供を大切にするといった当たり前の生活を辺境に戻さないといけないと考えているということはわかった。
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