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しおりを挟むルシードとの将来を相談していたのにいつの間にか辺境の未来についての重苦しい話を終えた時、衝立の向こうに女性が2人座ったようだった。
温くなってしまったお茶を飲んでいると、隣の会話を自然と耳にしてしまった。
『久しぶりね。本当に引っ越してるんだもの。ルシード様とうまくいってる?』
ルシード?彼と同じ名前ね。まぁ、珍しい名前ではないけど。
『今はね。一度、別れたけど。』
『え?そうなの?他の男と別れて彼に絞ったから引っ越しを決めたんでしょ?』
『そうよ。他の男がまた部屋に来て鉢合わせしたら困るから、ルシードのための部屋をね。』
『他の男がバレたの?』
『そうじゃないの。っていうか、他に男がいたことはルシードは気づいていると思う。
他の男は気づいてなかったと思うけど。
その辺もルシードを選ぼうと思った基準なんだけどね。
あまり愚鈍な男は将来性がなさそうだし、ルシードは有望だし。
それでね、引っ越しを伝えようとしたら向こうから別れを切り出されたの。
一目惚れした女がいるって。その女性と付き合うには、愛人も娼婦もダメなんだって。』
『ええ?まさか、貴族令嬢?』
『そう。それも辺境伯の姪なんだって。』
………それは私のことよね。ということは、この人はルシード様が関係を持っていた女性?
ソラーナが驚いて後ろを振り返ったけど、衝立があるから顔は見えないわ。
それにしても声が大きい。聞こえても問題ない会話だとは思えないんだけど。
平民の女性ってこんな感じ?周りを気にしないのね。
人の目や耳を気にする貴族とは大違いだわ。
『そっかぁ。それで別れたんだぁ。あ、でもうまくいってるって……』
『うん。一度は別れを了承したの。だけどね、考えたの。
辺境伯の姪ってことは、ルシードは魔力持ちの中でも出世が望めるんじゃないかって。
やっぱり辺境伯の身内は目に留まりやすいでしょ?
それに彼がずっと性欲を我慢できるわけがない。
だからね、2週間経って待ち伏せしたの。
会いたくなったって言って。
彼は即、落ちたわ。性欲が溜まってたのね。
新しい部屋に連れて行って、激しく何度も交わったの。やっぱり彼は最高よ。』
『あらあら。令嬢を裏切ってるじゃない。』
『そう。それで、彼に言ったの。内緒で会おうって。
いずれ彼は令嬢と結婚して妊娠させる。その時にやっぱり性欲を受け止めてくれる女が必要だって。
妊娠中の女は、彼の性欲を否定できないわ。戦いで高ぶった体を鎮める必要があるんだもの。
裏切りがバレたとしても、お腹の子供の父親なんだから別れないでしょ?
そうしたら仕方なしに愛人の私が認められるってわけ。
そのうち私も妊娠して、愛人の立場を明確する。養育費を貰って将来は安泰よ。』
『なるほど。彼との結婚を狙って妊娠するつもりだったのに、愛人になることにしたのね。
それに子供ができたらあなたも捨てられないってことか。
いいわね。愛人なら毎日会わないから、適度に他の男とも遊べるし。』
『でしょ?ルシードもその女と付き合い始めた頃は警戒して週に1度だけ来てたの。
だけど、バレないと思ったら今は週に3度は来るわ。』
『信じてる令嬢は気の毒だけど、辺境の騎士なんてそんなものよね。』
『信じる方が愚かなのよ。ルシード、そろそろ結婚を申し込むって言ってた。
私もなるべく早く子供を産んで立場を確立したいわ。』
………いや、愛人にならなくても、あなたが妻になればいいわ。私はもういらないから。
ソラーナが心配そうに私の様子を伺って見ていたけれど、おそらく今は無の表情だと思う。
真剣に結婚を考えていたけれど、ルシードへの気持ちは一気に冷めた。
仕方がないだなんて泣いて納得する気なんてない。
怒りの感情しかないわ。
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