侯爵の愛人だったと誤解された私の結婚は2か月で終わりました

しゃーりん

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ウォルターは執務室に入り、ダッチス様とレベッカが一緒にいる姿を見て悪態をつきたくなった。

ここは執務室であって逢引きする場所ではないし、そもそも仕事中なのだ。
 
レベッカは奥様の側にいないで毎日どこでサボってるんだか。
 

「ダッチス様、資料を取ってきました。」

「あ、ああ。レベッカ、仕事に戻れ。」

「はい。奥様を探すのって大変ですからね。」


そう言って、レベッカは執務室を出て行った。


「ダッチス様、レベッカは何をしにここへ?」

「はぁー……アリーズには困ったものだ。男爵夫人としての予算が少ないと怒っていたらしい。」

「レベッカは奥様がそう言ったとダッチス様に告げ口を?」

「ああ。妻の本性は結局、性悪なのかもしれないな。俺に負い目を感じさせたいのだろう。」
 
「嘘ですよ。」

「ん?」

「嘘。レベッカの嘘です。」

「嘘って……何がだ?」

「今までレベッカが言ったこと、ほとんど全部が嘘。じゃないですかね?」

「…………は?どういうことだ?」

「先ほど、奥様にお会いしました。レベッカから伝言、何一つ受け取っていないそうです。
それに、レベッカは奥様の専属侍女としての仕事もほとんどしていません。今も、奥様を探している様子でしたが、探してもいないでしょう。どこかでサボってると思いますよ。」
 
「俺の伝言をレベッカが伝えていない、と?」

「ええ。朝しかレベッカとは会わないと言っていました。奥様は昼食から夕食まで、リズベスお嬢様の部屋でご一緒にお過ごしになられているそうです。」

「え……?毎日、か?一度食事を一緒にしたとロミーナから聞いたが。」

「毎日みたいですよ。そのことをレベッカは知ってるのかどうかも疑問です。
それなのに、まるで奥様がダッチス様を拒絶したかのような伝言を毎回してくれましたね。」

「嘘だろう……?」

「本当ですよ。ちなみに、専属侍女を外れてくれと奥様が言っても、ダッチス様の指示だと嘘をついて奥様の侍女を続けているそうです。」

「俺の指示?そんなバカな。」

「それから、レベッカと夫婦の寝室を使用する件も、ダッチス様がレベッカを連れ込んだと思っていました。愛人との交わりを妻に聴かせたい性癖でもあるのかと、怖くて部屋を移ったと言っていましたよ。」
 
「アリーズが喜んで部屋を移り、寝室も使ったらいいと言ったとレベッカが……」

「どう考えても非常識でしょう。仮に、本当にそう言ったのだとしても夫婦の寝室を愛人と使うという行為は間違っています。許せても、ダッチス様のベッドですね。それでも妻を気遣えば私室ではしません。」

「……避妊薬が、夫婦の寝室にあったから、別にいいかと。レベッカを寝室に置いて行ったアリーズに腹が立ったという気持ちもあったが。」

「あぁ、寝室にレベッカがいたのは奥様の指示だと思われていたのですか。ダッチス様がレベッカを愛人に選ぶかどうかもわからないのに、自分の侍女を寝室に置いておくわけがないじゃないですか。」

「……そうだな。つまり、全てレベッカが仕組んだってことなんだな。目的は愛人か?金か?」

「それはわかりません。先ほど奥様の予算について口にしたのなら、金もあり得るでしょう。」


ダッチス様はため息をついた。


「つまり、侍女を辞めさせて愛人手当でも渡せばレベッカは満足するのか?」


ダッチス様がここまで愚かだとは。気づかなかった自分も愚かだが、レベッカを切り捨てようと思わないダッチス様はどうしようもないとウォルターは悲しくなった。


 
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