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数日後、なぜかジュリエッタの様婚約者であるアレクサンドル第二王子殿下が聖堂にやってきた。
ジュリエッタ様は聖女候補に選ばれたということは知らせたと言っていたので、どこからか婚約者は会いに行けるということを聞いてやってきたのかもしれない。
「ジュリエッタ、聖女になる努力をしているであろうな?」
ラヴェンナは、ジュリエッタ様が想像していた通りのことを殿下が言ったので笑いそうになった。
しかも、挨拶もなしにいきなりそう言ったことに、真面目というよりも冷たい、あるいは合理的な性格なのではないかと感じた。
「アレクサンドル殿下にご挨拶申し上げます。」
そう言って簡略的な礼をとるジュリエッタ様に並び、ラヴェンナも同じようにした。
「質問に答えろ。」
アレクサンドル殿下ってこんな方だったとは知らなかった。
婚約者に接する態度とは思えない。
二人は婚約者になって五年くらい経つのではないかしら?
どう見ても仲がいいとは言えないわ。
「……聖女に選ばれる基準というものはないそうです。ですので、何をどう努力すればいいのかがわかり兼ねますが、毎日ここで決められた時間過ごすということが努力と言って差し支えないのではないかと思っております。」
ジュリエッタ様の返答にアレクサンドル殿下は眉をひそめていた。
「なんだ?それは。午前中は祈りの時間だと耳にした。だが、のんびりとお茶を飲んでいるお前はたった今ここにやってきたといった感じではない。」
まぁ、カップの中のお茶ももう残っていないくらい時間は経っているわね。
もうすぐ昼食の時間だから、追加で飲まなかったし。
「祈りの時間が長ければ、聖女になれるといった決まりはないと聞いております。」
「何を言っている?清い心で祈る時間が長ければ長いほど、聖女に近づくというものではないか!」
いや、それは殿下の思い込みだと思います。
ジュリエッタ様にとって、この殿下と結婚することと聖女になることのどちらが彼女にとって好ましいのだろうとラヴェンナは考えてしまった。
彼女は聖女になる気はないようなので、殿下を選んでいることになる。
でも、殿下がこの調子では、聖女に選ばれなかったジュリエッタ様の結婚生活は決して幸せではない。
これは歩み寄りのない政略結婚の典型的な仮面夫婦になりそうだとジュリエッタ様を気の毒に思った。
近くにいる聖人にも聞こえているはずなのに、彼らは寄ってこない。
たとえ王族でも、聖女候補の婚約者でも、聖人にとっては部外者のようなもので説明責任はないのだと言っているように思えた。
聖堂の聖人は聖女のためにしか動かない。
次期聖女候補が誰になるかがわからないため、通常は候補者を見守るように側にいるだけなのだから。
アレクサンドル王子殿下は『また見に来る』と言って帰って行った。
……もう来ないでほしいわ。
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