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しおりを挟む程なくして王太子殿下ウォルタスが連れてこられた。
父である国王だけでなくクレベール公爵が一緒にいるのを見て、少し首を傾げていた。
「お呼びですか?外出から戻ったばかりで疲れているのですが。」
「勝手に外泊をして周りに面倒をかけた奴が何を言っているっ!
それよりも、お前、リリスティーナ嬢に禁術をかけて研究施設に閉じ込めたのか?」
ウォルタスはクレベール公爵がここにいる意味に納得したらしく、揚々に答えた。
「当然のことでしょう?未知の魔力ですよ、それも治癒。誰かに知られて攫われてしまっては大変です。
あの研究施設から出られなくしておけば、安心ではないですか。」
ウォルタスは誇らしげにそう言った。
外泊をしていた彼は昨日リリスティーナが死んだという報告をまだ受けていないようだ。
いや、研究者たちは殿下に知らせようともしていなかったのかもしれない。
「では、殿下はなぜそれを我々にもリリスティーナ本人にも隠していたのです?」
クレベール公爵が睨むようにそう言うと、ウォルタスは少し目を泳がせた。
「それは、ほら、禁術だから。でも、なぜ罪人を閉じ込めることのできる素晴らしい術が禁術扱いされているのかがわからない。」
「リリスティーナを罪人扱いしないでもらいたいっ!」
「言葉の綾ですよ。それよりも、会いに行ったりして彼女の邪魔にならないようにしてくださいよ?
今、私の指示で研究者たちがリリスティーナの治癒の精度を事細かに確認していますからね。
父上、彼女の治癒は国同士の交渉にも役立ちますよ。あぁ、怪我人や病人をあの施設に連れて行かなければならないのは少し問題もありますね。もっといい術で彼女を縛り付けることができれば……」
「ウォルタスっ!!」
さも名案だというように語っていたウォルタスは国王陛下に怒鳴られて不快そうな顔をした。
「……リリスティーナ嬢は昨日亡くなった。研究者たちに致命傷を負わされ治癒が間に合わなかったようだ。」
ウォルタスは驚いたあと、吐き捨てるように言った。
「チッ!なにやってんだよ。役に立たない奴らだな。」
ウォルタスのその態度を見て、国王陛下は気持ちを固めたらしい。
「ウォルタス、お前を廃太子とし、リリスティーナ嬢を殺害した罪で捕らえる。」
「はああ?殺したのは研究者だろ?」
「指示したのはお前だ。」
「殺せとは言っていないっ!」
「治癒しなければ死ぬような傷を負わせたのはお前だ。」
「じゃあ、自分を治癒できなかったリリスティーナの自業自得だろう?」
何を言っても無駄だと国王陛下は思ったらしく、騎士団長に指示をしてウォルタスを捕らえさせた。
「牢に入れろ。」
「はっ!!」
自室で軟禁ではなく、牢に入れるということは国王陛下は本気でウォルタスを罰するということだ。
クレベール公爵は、リリスティーナの願い通りになりそうだと報告できることにホッとした。
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