聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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500年の時を精神体となって生きる。

誰の体も使わないのであれば、あの敷地から出ることもできず、誰にも気づいてもらえず、誰とも話すこともできずに過ごすことになる。

自信を持って言える。そんな暮らし、三日で飽きるわ。
 
だって500年は長すぎる。

 
誰かを乗っ取れば治癒ができるというのは、500年過ごす上で役に立てることであるはず。
今まで発現していない未知の魔力であるし、今後も使える者が出てくるかどうかはわからない。

魔力の質は子供に遺伝しやすいというのに、リリスティーナと婚約解消をしたあのアホバカマヌケな殿下はそんなことを考えもしていなかったのだろう。 

リリスティーナが子供を産んでいれば、治癒を使える子になっていたのだろうか。
 


とりあえず、リリスティーナの今後については各々考えていい案を出そうという話になった。

国王陛下にも聞かれた、誰の体にでも乗っ取れるかということを試さなければならない。
性別・年齢、魔力の多さが偏らないように、信用できる者たちに声をかけることになった。

しかしその前に、母が乗っ取られたいと言い出した。


「どんな感じなのかなって。……不謹慎なことを言っているわね。ごめんなさいね。」

「いえ、これから何人か試すことになるのだから、お母様の体も試してみたいわ。お母様は魔力も多いし、治癒の力の参考にもなると思うの。」


リリスティーナがそう言うと、母は嬉しそうに微笑んだ。 

ならば、私も、と父と兄も言い出した。
義姉も試してみたい様子だったが、万が一、お腹の子に何らかの影響があっても困るので、産まれてからにしようということになった。


馬車に乗り、既に瓦礫もなくなり更地となった研究施設跡地に到着した。
 
敷地内に入ると、落ち着くと言ったら変ではあるが、そんな感じになった。

精神の戻る場所だからだろうか。

リリスティーナはミミに礼を言って、ミミの中から出た。 


「あ、お嬢様……お嬢様が私の体から出られました。」

 
ミミがそう報告した。


「体に異常はないかしら?」


母がそう言うと、ミミは何も問題はないと答えていた。


「じゃあ、リリス。お母様の中に入ってくれる?」


リリスティーナは母の中に入ろうとして……出来なかった。どうして?

父と兄の中にも入ろうとしたが、出来なかった。

理由がわからない。


「リリス?」


待ち構えている母の声がして、申し訳なく思いながらも再びミミの中に戻った。
 

「お母様、リリスです。お母様の中には入れませんでした。お父様もお兄様にも。」

 
三人とも、驚いた顔をした。


「なぜだ?条件があるのか?」


父は、護衛と御者、母の侍女を呼び、リリスティーナは彼らに入れるか試してみたがダメだった。


「どういうこと?」


誰の中にでも入れるわけではなかったらしい。


 
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