聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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ユリアの養父母のことは一先ず置いておき、ユリアの今後のことについて話を聞くことにした。 


「君は自分の結婚の話を知っているか?」
 
「はい。16歳になれば嫁ぐように言われています。」

「相手のことをどう聞いている?」

「40歳過ぎの離婚歴のある方で、身の回りのお世話と介護のようなことがあると聞いています。」


そう聞くとどこか体の弱い男のように思える。
 

「そうか。どう思っている?」

「少し歳が離れていますが、せっかくのご縁ですので精一杯お世話できればと思っています。」 


少しじゃないよ?27歳差は。父親よりも年上でしょう?

 
「たとえそれが、暴力を振るう男であったとしても?」


父の言葉にユリアは驚き、身震いしていた。


「……暴力、ですか?」

「ああ。酒を飲むと人や物にあたるらしい。使用人が何人も代わっているような男だ。」

 
ユリアは静かに涙を零した後、深く瞬きをしてから言った。


「それが私に課せられた罰なのですね。両親と姉は平民に、私はその男の元に。」 

 
相手の男に爵位がないのだから、ユリアも平民になるのと同じことだ。
むしろ、両親や姉よりもつらい生活になる可能性もあるのに、ユリアは姉の仕出かしたことで自分も罰を受けるのは仕方のないことだと受け止めているらしい。

 
「……少し先の話になるが、娘が亡くなった場所に聖堂が建つことになっている。
君は生涯、リリスティーナのために聖堂で暮らすことができるか?結婚もせず子供も産めない。異性との接触を禁じ、リリスティーナの心と共に、聖堂に身を捧げるようなつもりで。」

「え……?聖堂で、ですか?でも私は結婚が決まっていて……?」 

「聖堂のことは結婚以外のもう一つの選択肢と思ってくれ。もし君が罰を受ける覚悟でいるなら聖堂での暮らしも十分に罰と言えよう。結婚か、聖堂か。どちらか選んでほしい。」


結婚する予定の相手の男も、毎日暴力を振るうわけではないだろう。
普段は問題のない男なのかもしれない。
子供も望めるかもしれない。
でも、子供共々、暴力に怯える暮らしは男が死ぬまで続くだろう。

聖堂での暮らしは、毎日でないにしてもリリスティーナに体の主導権を奪われることになる。
純潔でいてもらわなければならないため、異性との接触はあるべきではない。
自分の子供を産むことはできない。


「今、ここで選べないようであれば、返事は後日でも構わない。」

「いえ、許されるのでしたらリリスティーナ様のために祈りを捧げる日々を聖堂で送りたいと思います。」

「自分の意志が伝えられない暮らしになっても?」

「……?以前のような令嬢としての我が儘など言える暮らしではないということでしょうか?それは問題ありません。」


騙し討ちみたいになってしまうけれど、この段階では体を乗っ取るということはまだ話せない。
 
でも、ユリアは結婚よりも聖堂での暮らしを選ぶと決めたようだった。

 


 
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