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しおりを挟むリリスティーナ様が友人を作らないのは、親しくなった人が先に亡くなってしまうという、どうしようもない事実から逃れられなくなるからだろうとラヴェンナは思った。
友人になりたいなどと、軽率なことを口にしてしまったと反省した。
「ラヴェンナ、気にしないで。これは私が勝手に決めたことなのだから。」
「はい。ついでにと言ったら失礼ですけど、最後の恋はクレッセル様ですか?」
リリスティーナ様はクレシア様の顔で真っ赤になった。
「ど、どうしてそれを。何人かに同じ話をしたけれど、今まで気づいた子なんていなかったわ。」
「元はリリスティーナ様の護衛だったのですよね?」
「ええ、そうよ。殿下の傷を治した日、彼は非番だったの。私が無理やり研究施設に連れて行かれたことだって、自分がいれば違和感を覚えていたかもしれないのにって後悔していたわ。」
王家からは、リリスティーナ様が自ら研究施設で過ごすことを望んだと報告があり、未知の魔力を得たことを両親にも会えないほど恐れているのかとその時は誰もが静観するつもりでいた。
だが後日、侍女や護衛にも一言もなく研究施設に向かったと聞き、クレッセル様はやはりおかしいと公爵夫妻に伝えたらしい。
そこから公爵夫妻は、何度も会わせてくれと研究施設に訴え、研究者からはウォルタス殿下を通してほしいと言われ、会えないままひと月が経ったのだ。
あの日、リリスティーナ様の棺を公爵家まで運んだ一人がクレッセル様だったらしい。
研究者たちを捕らえに向かった騎士の中にもクレッセル様はいたという。
その後は、リリスティーナ様の兄ラッセル様の騎士になっていたけれど、ユリア様の中にいるリリスティーナ様の盾になるために、クレッセル様は聖女の騎士になられたという。
「クレッセルが贖罪として私の側にいたことはわかっていたわ。何度もあなたは悪くないと言ったけど、彼は受け入れなかった。研究施設に押し入って私を探すべきだったと護衛失格なのだと言って。」
そこまで言われたら、側にいることを許してしまうわね。
「彼は強面顔だったけど、とても優しい人だったの。婚約者だった殿下があんな人だったから、もうその優しさと頼りがいがあるクレッセルを好きになってしまったわ。口にしたことはなかったけれど。」
「クレッセル様は気づいておられたのですか?」
「どうかしら?でも、多分そうね。護衛を辞めてからも毎日来てくれたわ。庭の一角に綺麗な花壇を作ってくれたの。私の誕生日にはね、花の種を贈ってくれて一緒に植えたわ。この花を見たら自分を思い出してくれって。ふふ。寂しくならないようにそう言ってくれたのね。」
リリスティーナ様の視線の先には、色とりどりの花が咲いている。
この場所は彼女のお気に入りということらしい。
「……リリスティーナ様?それって、自分以外の男に恋をするなという意味ではないですか?」
自分の死後、460年くらい?精神体でいるリリスティーナ様にずっと思い続けてもらえるように。
リリスティーナ様に対するクレッセル様の気持ちの方が何百倍も重くない?
「あら。そうだったの?ふふ。嬉しいわ。」
嬉しい、のであればクレッセル様の作戦勝ちね。
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