聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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ふた月後、セレンティナは女の子を産んだ。

やはり聖力の強い子だった。
 
リリーベルと名付けられた赤子に夢中なのはアリアローズだった。
アリアローズの4歳の誕生日に生まれた妹は、自分へのプレゼントなのだと本気で思っており、お世話をするのは自分の役目なのだと言って周りを困らせたのだ。
 

「赤ちゃんにはね、特別なお世話が必要なの。リリーがアリアと同じものが食べられるようになって、手を繋いで歩けるようになったら、面倒見てあげてね。」

「それはいつなの?」

「そうねぇ。レイくらいになったら、かな?」
 

長男レイノルズは2歳。
4歳のアリアローズがお世話をするのも微妙だが、よく一緒に過ごしているのでこれまでとあまり変わらないともいえる。

納得したのかはわからないが、アリアローズはリリーベルの頭を撫でるだけで、お世話をしたいとは言わなくなった。



更に二年後、セレンティナは男の子を出産した。

名前はエストル。

治癒の聖力を持つ者を広めるのだったら、もう一人作ろうとクローヴィスが言い出したのだ。
聖力のことだけでなく、ただクローヴィスが子供好きであり可愛がりたいからだろう。

裕福なボッティ公爵家は何人子供がいても困らず、賑やかになった。 



聖力の使い方は、アリアローズとレイノルズには教え始めている。

特に、自分を覆う結界については繰り返し教えた。
アリアローズは聖力が多いのですぐに覚えたが、レイノルズは聖力が少ないため盾のような壁を作る程度だった。


「レイノルズは魔力を鍛えるから問題ない。」


クローヴィスはそう言った。

万が一、狙われる状況になれば魔力を使わせる。
魔道具ではなく、自分の魔力で対抗できるようにするらしい。

咄嗟の場合、対人に魔力を使うことは認められているから。
 

 

そして、アリアローズが12歳になる頃、ようやく聖力のことを届け出ることになった。
 
子供たちは12歳、10歳、8歳、6歳となり、なぜ今かと言うと、王太子の子の第一王子の婚約者が決まったからだ。

アリアローズではなく、クレベール公爵家の長女に。
セレンティナの兄の娘で、姪になる。

アリアローズは第一王子との交流で、弟妹に対する”姉バカ”ぶりを存分に発揮した。
弟妹の話ばかりするアリアローズに、王太子の顔は引き攣り気味だったとか。

なので、見事に選ばれず、可愛らしく愛嬌を振りまいた姪が選ばれたという。 


そうしてようやく、聖力があることを届け出るために内密の話があると国王陛下に約束を取り付け、ボッティ公爵とクローヴィス、セレンティナは王城へと向かった。 


 

 
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