聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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数か月後に第二王子殿下フェリクスと、長女アリアローズ、次女リリーベルが顔合わせをした。

フェリクス殿下は迷うことなく長女アリアローズを気に入った。

年上だろうと気にしない。
アリアローズが弟レイノルズに接するようにフェリクス殿下にも接したため、フェリクス殿下は甘えてもいい相手だと判断したらしい。

二歳近く離れているが、学年としてはアリアローズと一学年しか違わないということもあり、大人になれば気にするほどでもないかとなった。
 
しばらくフェリクス殿下とアリアローズの二人で交流する期間を設けたが、フェリクス殿下はアリアローズがいいと言うしアリアローズも別に構わないというので、二人の婚約が決まった。
 

長男レイノルズは、ボッティ公爵家の跡継ぎとなる子で、侯爵令嬢との婚約が決まった。

次女リリーベルは、クローヴィスの友人の息子、侯爵令息との婚約が決まった。

次男エストルは、ボッティ家の保有している伯爵位を受け継ぐことになり、侯爵令嬢との婚約が決まった。
 

セレンティナの四人の子供たちは、あっという間に親元から巣立とうとしている。


最初は20歳になったアリアローズの結婚。

フェリクス殿下は婚約二年後にはアリアローズの背を越して美丈夫な青年となった。
アリアローズにだけ甘い表情を見せる腹黒だが、それが可愛いとアリアローズは思っているらしい。
子供を四人産み、聖力は受け継がれていた。

 
次は19歳で一つ下の侯爵令嬢と結婚したレイノルズ。

誰に似たのか、どこででも妻に愛の言葉を囁くような男になっていた。
溺愛する妻との間に子供は三人。聖力は受け継がれていた。


その次は18歳で二つ年上の侯爵令息と結婚したリリーベル。 

夫の愛情が少し重荷だと言いながらも本気で嫌がっているわけではないところがいつまでも可愛い。
子供を三人産み、聖力は受け継がれていた。 


最後に20歳で二つ下の侯爵令嬢と結婚したエストル。 
 
末っ子の彼が一番落ち着きのある子で、妻のおしゃべりに耳を傾ける時間が幸せらしい。
子供は三人。聖力は受け継がれていた。



セレンティナとクローヴィスの孫は13人。
その全員に聖力は受け継がれていたが、バラつきが出た。

女の子でも聖力より魔力が強い子がいたり、男の子でも魔力より聖力が強い子がいたり。
 
やがて、聖力を受け継がない子も出てくるだろう。

この13人が何人ずつ子供を産むかによって、広まり具合は変わっていくことになる。

孫の子が大きくなるまでは、セレンティナは生きてはいない。

次の誰かの体を乗っ取り、新たな人生を生きながらまた同じことを繰り返すのだから。


しかし、その前に。
 
孫の中でも一番最後に産まれた、エストルの末っ子テレサ。

聖力の強い彼女の中に入ろうと思っている。



 
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