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しおりを挟む王太子の方はヴィオラの体が気に入ったのか、エレノアを抱けないからか、毎晩のように求めてきた。
その甲斐あってか、ヴィオラはすぐに妊娠した。
(うわー私、母親になるのね。)
(そうよ?あなたの子なんだから。)
公務を控えつつ、産んだのは男の子だった。
(……出産って時間がかかるのね。お疲れさまでした。)
ヴィオラの体ではあるが、痛みを感じるのはリリスティーナである。
中で必死に励ましてくれていたヴィオラも何故か疲れた声になっていた。
(まだ安産な方よ?元のヴィオラの体じゃ、もっと大変だったと思うわ。)
リリスティーナは何度も妊娠出産を繰り返すうちに、体力作りは必須だと学んでいた。
姿勢や歩き方を変えるだけで、鍛えることもできるのだ。
そして一年後、再び妊娠したが女の子のようだった。
(え?わかるのですか?)
(なんとなくね。それでどうする?自分で産む?)
産むまでにリリスティーナが消えることはないが、一人目を妊娠中も王太子はヴィオラの体を求めることはなかったので、今、リリスティーナがヴィオラから出て行っても問題ないはずである。
リリスティーナは、ヴィオラが王太子に触れられたくないが子供は産まなければならないために乗っ取っているのだから。
(リリスティーナ様、もう一人、産んでくれませんか?王子が一人だと不安が……)
それはそうだけど、時間がないの。
(王太子はエレノアを愛人にしないわ。)
ヴィオラが二人産めば、彼は愛人を持つことができるが、エレノアは結婚した。
王太子殿下がエレノアとエバンの関係を調べさせて、おそらく、エバンは責任を取らされたのだろう。
王太子殿下の愛人狙いだったエレノアは不本意な結婚になったが、エバンは喜んでいる気がする。
(ねぇ、ヴィオラ。王太子がこのままあなた一筋だったら彼を受け入れられる?)
結婚後の王太子殿下を見て、ヴィオラはどう思っている?
ヴィオラの夫、オーリス王太子殿下はヴィオラが子供を二人産むまで愛人をつくらない。
確かに結婚前にそう約束したが、浮気する気配すら今までなかったのはリリスティーナが浮気をしないように精神干渉をしたからである。
そのことをヴィオラは知らない。
結婚後、まるでヴィオラ一筋かのように気にかけてくれるようになった夫を見て、ヴィオラの心境は変化しているが、まだ夫に触れられるのは抵抗があるように感じる。
(ねぇ、ヴィオラ。王族の男に閨教育の実践があるのは知っているわよね?初夜で失敗しないために、座学だけではなく実践での経験もする。なのに女性側は純潔でなければ王家に嫁げない。これは500年前から変わっていないわ。)
昔と違い、貴族間は婚約者同士であれば、婚前交渉する者も増えている。
侍女やメイドに誘惑されて関係を持ち、妊娠させて婚約破棄になるくらいなら、結婚前から密かに関係を持ち始めることが多くなっている。
しかし、婚前交渉しておきながら浮気したりすると、多額の慰謝料と責任を取らない男というレッテルを貼られることになるのだ。
ヴィオラが王太子殿下の浮気を目の当たりにしながらも婚約解消して逃げられなかったのは、年齢のつりあう純潔の高位貴族令嬢がいなかったからでもある。
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