婚約者を裏切らせた責任を取ってもらいます。

しゃーりん

文字の大きさ
3 / 16

3.

しおりを挟む
 
 
王太子が目を見開いてマーリアを凝視している。

「側妃って言ったか?」

「ええ。言いました。あなたの正妃は婚約者のメリーザ様のままです。」

「なんで側妃に……」

「わかりませんか?ミカルディス様はネリリ様と結婚します。
 このままでは、私は婚約者を奪われた形になるのです。
 今更、侯爵位以上で誰が結婚してくれますか?
 王太子のハトコである私に修道院に行けと?
 見方によると私が婚約者を裏切ったと思われるかもしれない。
 父が出した選択肢は二つです。
 一つはあなたに請われて側妃になる。もう一つは自死です。」

「そんな……」

「部屋を使わせたあなたは、私の婚約者であったミカルディス様を裏切らせたのです。
 なので、あなたにも責任を取ってもらいます。
 ミカルディス様との婚約は円満に解消後、私はあなたに側妃にと望まれる。
 ミカルディス様はその後にネリリ様と恋をした。
 そういう筋書きです。
 ミカルディス様よりも高位の者でないと婚約解消の経緯を怪しまれます。
 ネリリ様が私を見下せない地位にいなければなりません。
 ミカルディス様の不貞は、婚約解消後のため不貞ではないとするのです。」

「お父上の侯爵がそう望まれたということか。」

「ええ。ですので……」

マーリアは持っていた小瓶を飲んだ。

「っちょっと、何を飲んだ?」

「媚薬ですわ。少し強力な、ね。クロノス様、責任取ってくださるでしょう?
 それとも婚約者に裏切られた私を犠牲にする?」

「……私が純潔を奪い今日から側妃になる。そういうことか。」

「ええ。あなたが抱けば私は死なない。抱かなければ恐らく狂い死にかしらね?
 私は自分を犠牲にしないためには悪女にでもなるわ。」

「なら、悩むまでもない。私の部屋に行こう。今日の執務は終わりだ。みんな帰れ。」


王太子は潔く決断してマーリアと共に部屋を出た。
2人共、ミカルディスの方は見なかった。 
 

 


王太子は侍従に、しばらく取り次がないように伝えてマーリアと部屋に入った。

ベッドの前で、体が熱くなってきたマーリアを抱きしめて詫びた。

「ごめん。なんて浅はかなことをしてしまったんだろう。
 ミカルディスを残して夜会に戻った時に、マズいことをしたと思った。
 あの時に部屋に戻るべきだった。まさか、最後までしていただなんて……
 それに、誰に媚薬を飲まされたか調査すら指示しなかった。
 王太子失格だな。
 今回は自作自演だったけど、本当だったら他に被害者がいたかもしれないのに。」

「ええ。父はそのことについても怒っていました。
 最近は誰も彼もが平和ボケしているようだって。
 そんな時にネリリ様のような問題を起こす令嬢や令息が出てくるそうです。」

「ごめんな。酒に飲まれないように気をつける。
 王太子として、次期国王として、今後は気を引き締めるよ。」

マーリアは王太子の腕の中で顔をあげて微笑んだ。
少し上気した顔のマーリアを見た王太子は、マーリアに聞いた。

「口づけてもいいか?」

「ええ。」

もう覚悟はとっくにできている。

ゆっくりと唇を重ねた2人は、ここから情事が始まった。


 

 
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

妾を正妃にするから婚約破棄してくれないかと言われました。

五月ふう
恋愛
妾を正妃にしたいから、婚約破棄してくれないか?王は、身を粉にして王のために働いていたウィリにそう言った。ウィリには、もう帰る場所がないのに。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果

藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」 結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。 アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

処理中です...