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しおりを挟むクロノスは子供の頃から自分で結婚相手を選べないと理解していた。
遠縁のマーリアにはちょくちょく会う機会があって、可愛い子だと思っていた。
思い返せば、これが初恋だったのだろう。
そのうち決まった婚約者は公爵令嬢メリーザ。
なかなか王子との年齢が合う令嬢に恵まれず、公爵家としては何代も王家と繋がりがない珍しい貴族家だった。
そして5歳差は許容範囲だろうと頼み込まれて婚約することになった。
王族は一夫多妻が認められている。
なので、正妃の前に側妃や愛人がいても受け入れることを了承させた。
ただし、それぞれ一人までと言われた。
正妃が産む男の子が跡継ぎで、側妃の産む男の子は正妃が男の子を産めなかった場合に跡継ぎになると決まった。
メリーザが王太子妃教育を受け始めたのが12歳から。
月に一度だけ、お茶会で会った。
子供すぎて、妹みたいにしか思えなかった。
子供だから我儘で、夢見がちで。
まぁ、12歳だから仕方がないと大目に見ていた。
17歳の自分にはつらかったが、将来の妻だ。仕方がない。
クロノスは少し潔癖なのか、閨教育で女性の秘部に触れたくないと思った。
娼婦という職業を卑下するつもりはないが、女性の中は夫以外が入っていいものではないと思った。
何人もの男が入った中に自分も入れるというのを受け入れられなかったのだ。
なので、触れ方と感じる場所を教わり、別の男との絡みを見せてもらっただけだった。
この閨教育は、学園に入学する前にあったことで、クロノスは令嬢をあまり知らなかった。
知っている顔はマーリア。
クロノスはマーリアを思い浮かべて自慰するようになった。
一年遅れて学園に入学したマーリアは既に見事な体形だった。
すると服の下の姿を想像しながら、マーリアの名を呟きながら、自慰をした。
ミカルディスが婚約者になった時は悔しかった。
だけど、マーリアと会う機会も増えた。
マーリアはミカルディスのものになる。それはわかっているし、自分にも婚約者がいる。
別に好きなわけではない。男ならマーリアの顔と体には誰もが見惚れるだろう。
そう思っていた。
酔った勢いでネリリをミカルディスに託した後で我に返った時、マーリアに申し訳なかった。
自分の婚約者が別の令嬢の体に触れる。そう聞いて怒らない令嬢はいないだろう。
なんで侍医を呼ばなかった?なんで部屋を貸した?なんでミカルディスだった?
部屋だけ提供して自分で自慰させてもよかったんだ。
マーリアが怒りながら乗り込んで来た時、ミカルディスがネリリの純潔まで奪っていたと聞いて殺意が沸いた。
しかも、マーリアはクロノスが部屋を提供したからミカルディスが浮気をしたと言った。
ミカルディスを裏切らせたのはクロノスだから責任を取れ?側妃にしろ?
媚薬なんて飲む必要はなかったのに。喜んで側妃にするよ。
マーリアの体は自慰の時の想像以上に素晴らしかった。
あぁ、私にはマーリアしかいらない。
ようやく、私はマーリアのことをずっと愛していたのだと気づいた。
マーリアに心からの思いを告げるためには婚約者を何とかしないといけない。
婚約者がいる男に愛を囁かれても、口先だけだと思われそうだ。信頼してもらいたい。
悪女になると言ったマーリアに心からの愛を伝えるには側妃ではなく正妃になってもらう。
それを愛の証明としたい。
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