12 / 77
12.まずは、昼食
しおりを挟む
「おっ! 今日は青い髪の綺麗系美少女がいるー!」
「ホントだ!」
昨日、サクヤをナンパしていた冒険者風の二人組はまた来たようだ。
時間的にこの二人で最後だな。
「アオイ。暖簾下げてくれるか?」
「はぁい」
二人の視線をスルーして暖簾を下げに行く。そして、冷静に注文を聞きに行った。
「アンガシャークの味噌煮とトロッタ煮でーす」
「あいよぉ」
醤油とみりん、砂糖、味噌を鍋へと入れ、少し煮立たせる。
少しグツグツさせたら、アンガシャークというサメの魔物なのだが、それの切り身を鍋へと放り込む。
蓋をずらしておき、煮詰める。
隣ではトロッタを煮ている。
味噌の香りと醤油の香ばしい香りが辺りに立ち込める。焦げないように揺らしてアンガシャークもトロッタも煮汁をかけながら様子を見ている。
「君は、バイト終わったら食事とか行ける?」
またあの冒険者たちはナンパしている。本当に懲りない奴らだなぁ。アオイには無理かもしれないな。
煮物の火を弱めてカウンターから出て行こうとしたが。
「私、子供いるので帰らないといけないんですわ」
「えぇ? 君も? 昨日のピンクの髪の子もだったんだけど、君もおやっさんとの子がいるの?」
「内緒ですわ」
「なぁぁぁぁぁぁ」
テーブルに突っ伏す冒険者。
いい加減諦めればいいのに。
そんな風に断られるってことは、一緒に行く気がないんだって。わかってやってくれ。
「アオイー。持ってってちょーだぁーい」
「はーい!」
定食ができたので持って行ってもらう。一つずつお盆をもって優雅な動作でテーブルへと置く。アオイのすごいところは、お盆を置くときに音が鳴らないところ。
そういった技術はサクヤとの接客経験の差なのかもしれない。
お盆を置くと別の席を立った人のお会計の対応をする。
二人とも仕事ができる子達で助かる。こんないい子たちが暴力振るわれたり、身体を触られたりと嫌なことをされたのだと思うと心が痛い。
この店ではそんなことはさせない。そう誓ったんだ。そして、自分たちで好きなものを食べられるようにする。それが、俺の決意だ。
「うまかったよ。またくる」
「ありがとうございやしたぁー」
昨日も来てくれた同い年くらいの男性が礼を言ってくれ、暖簾をくぐっていった。こういうのが嬉しいからやめられないんだよなぁ。
悲しそうな顔をしていた冒険者二人は料理を食べたら表情が明るくなっていた。料理というのは、食べておいしければ、身体も心も幸せになるものだ。
その料理でみんなを幸せにしたい。子供だけじゃない。困っている人がいたら、手を差し伸べてあげたい。俺にできることは飯を作ることだけだ。
「あー。うまかった。おやっさん。こんなに若い奥さんが何人もいていいねぇ。うらやましいよ」
だいぶ誤解しているようだが、まぁ放っておこうか。
「どうもぉ」
軽くあしらって見送る。
嫉妬の視線を受けながらも頭を下げて見送る。
お客さんを見送ると、アオイは全てのテーブルを拭き始めた。
今日はアンガシャークが余っている。味噌煮を二つずつ煮込んでいく。お皿に乗せて食事の準備をしていた。すると、子供たちが現れた。
「リューちゃん、きょうはなぁにぃ?」
「あっ、リツくん。おさかなだってぇ」
ミリアがリツを迎え入れる。目を見開いて驚いている様子のリツ。
「どうしてミリアちゃんがいるの?」
「ミリアの親と話し合いをしてな、俺の子供として育てることにしたんだ」
俺が代わりに答える。
「そうなの? いいなぁ。リューちゃんといっしょ」
「リツには、可愛がってくれるお兄ちゃんも入れば、お姉ちゃんもいるからいいじゃないか」
「……うん。そうだね!」
心配そうな顔をしていたアオイとサクヤがその言葉を聞いて、ようやく微笑んだ。心配するな。アオイとサクヤはすごくいい、育ての親だと思うぞ。自信をもっていいと思う。
リツは席へと着いて、隣にはイワンが座る。
並んで立っているアオイとサクヤへ少し近づき、囁く。
「二人はいい親だと思うぞ。自信持て」
「はぃ。ありがとうございます」
軽く頭を下げるアオイ。
頷きながら、目元を拭うサクヤ。
俺は、厨房へと戻り味噌煮を見つめていく。
いつもより二食多めに作った。
これから来るマルコさんとエリック商会の人を迎えるためだ。
料理を運んでいると、引き戸が開いた。
「さっきは、ありがとさん。エリック商会のガンツさんを連れてきたでぇ」
「話は聞きましたよ。水臭いじゃないですか、リュウさん。話してくれれば、お手伝いできたのに」
ガンツさんが眉間にしわを寄せている。どうしてという気持ちが強いのかもしれない。
「すみません。ガンツさん。さすがに、最初から安くしてくれとは言い辛くて。先代との繋がりもありますし」
「リュウさん。僕にも、手伝わせてください。限界まで価格、頑張りますんで」
「えっ。でも……」
さすがにそんなに安くしてもらうのは忍びなかったのだ。
「リュウさんや。エリック商会もこう言ってくれてるんや。素直にききましょうや」
「お二人とも、有難う御座います。まずは、昼食でもどうですか?」
「ワイはさっき食べたんやけど、この匂いは我慢できん! 食べるでぇ!」
席に着くと、隣にガンツさんが座った。
向かいには俺が座り、ミリアがその隣。リツとイワンの前にはアオイとサクヤが座る。
「食材とこの食材を卸してくれている二つの商会へ感謝を」
祈りを捧げて食べ始めた。
腹ごしらえをしたら、値段の打ち合わせだ。
二人が辛くないようにしたい。
いい落としどころを探ろう。
みんなが幸せになるように。
「ホントだ!」
昨日、サクヤをナンパしていた冒険者風の二人組はまた来たようだ。
時間的にこの二人で最後だな。
「アオイ。暖簾下げてくれるか?」
「はぁい」
二人の視線をスルーして暖簾を下げに行く。そして、冷静に注文を聞きに行った。
「アンガシャークの味噌煮とトロッタ煮でーす」
「あいよぉ」
醤油とみりん、砂糖、味噌を鍋へと入れ、少し煮立たせる。
少しグツグツさせたら、アンガシャークというサメの魔物なのだが、それの切り身を鍋へと放り込む。
蓋をずらしておき、煮詰める。
隣ではトロッタを煮ている。
味噌の香りと醤油の香ばしい香りが辺りに立ち込める。焦げないように揺らしてアンガシャークもトロッタも煮汁をかけながら様子を見ている。
「君は、バイト終わったら食事とか行ける?」
またあの冒険者たちはナンパしている。本当に懲りない奴らだなぁ。アオイには無理かもしれないな。
煮物の火を弱めてカウンターから出て行こうとしたが。
「私、子供いるので帰らないといけないんですわ」
「えぇ? 君も? 昨日のピンクの髪の子もだったんだけど、君もおやっさんとの子がいるの?」
「内緒ですわ」
「なぁぁぁぁぁぁ」
テーブルに突っ伏す冒険者。
いい加減諦めればいいのに。
そんな風に断られるってことは、一緒に行く気がないんだって。わかってやってくれ。
「アオイー。持ってってちょーだぁーい」
「はーい!」
定食ができたので持って行ってもらう。一つずつお盆をもって優雅な動作でテーブルへと置く。アオイのすごいところは、お盆を置くときに音が鳴らないところ。
そういった技術はサクヤとの接客経験の差なのかもしれない。
お盆を置くと別の席を立った人のお会計の対応をする。
二人とも仕事ができる子達で助かる。こんないい子たちが暴力振るわれたり、身体を触られたりと嫌なことをされたのだと思うと心が痛い。
この店ではそんなことはさせない。そう誓ったんだ。そして、自分たちで好きなものを食べられるようにする。それが、俺の決意だ。
「うまかったよ。またくる」
「ありがとうございやしたぁー」
昨日も来てくれた同い年くらいの男性が礼を言ってくれ、暖簾をくぐっていった。こういうのが嬉しいからやめられないんだよなぁ。
悲しそうな顔をしていた冒険者二人は料理を食べたら表情が明るくなっていた。料理というのは、食べておいしければ、身体も心も幸せになるものだ。
その料理でみんなを幸せにしたい。子供だけじゃない。困っている人がいたら、手を差し伸べてあげたい。俺にできることは飯を作ることだけだ。
「あー。うまかった。おやっさん。こんなに若い奥さんが何人もいていいねぇ。うらやましいよ」
だいぶ誤解しているようだが、まぁ放っておこうか。
「どうもぉ」
軽くあしらって見送る。
嫉妬の視線を受けながらも頭を下げて見送る。
お客さんを見送ると、アオイは全てのテーブルを拭き始めた。
今日はアンガシャークが余っている。味噌煮を二つずつ煮込んでいく。お皿に乗せて食事の準備をしていた。すると、子供たちが現れた。
「リューちゃん、きょうはなぁにぃ?」
「あっ、リツくん。おさかなだってぇ」
ミリアがリツを迎え入れる。目を見開いて驚いている様子のリツ。
「どうしてミリアちゃんがいるの?」
「ミリアの親と話し合いをしてな、俺の子供として育てることにしたんだ」
俺が代わりに答える。
「そうなの? いいなぁ。リューちゃんといっしょ」
「リツには、可愛がってくれるお兄ちゃんも入れば、お姉ちゃんもいるからいいじゃないか」
「……うん。そうだね!」
心配そうな顔をしていたアオイとサクヤがその言葉を聞いて、ようやく微笑んだ。心配するな。アオイとサクヤはすごくいい、育ての親だと思うぞ。自信をもっていいと思う。
リツは席へと着いて、隣にはイワンが座る。
並んで立っているアオイとサクヤへ少し近づき、囁く。
「二人はいい親だと思うぞ。自信持て」
「はぃ。ありがとうございます」
軽く頭を下げるアオイ。
頷きながら、目元を拭うサクヤ。
俺は、厨房へと戻り味噌煮を見つめていく。
いつもより二食多めに作った。
これから来るマルコさんとエリック商会の人を迎えるためだ。
料理を運んでいると、引き戸が開いた。
「さっきは、ありがとさん。エリック商会のガンツさんを連れてきたでぇ」
「話は聞きましたよ。水臭いじゃないですか、リュウさん。話してくれれば、お手伝いできたのに」
ガンツさんが眉間にしわを寄せている。どうしてという気持ちが強いのかもしれない。
「すみません。ガンツさん。さすがに、最初から安くしてくれとは言い辛くて。先代との繋がりもありますし」
「リュウさん。僕にも、手伝わせてください。限界まで価格、頑張りますんで」
「えっ。でも……」
さすがにそんなに安くしてもらうのは忍びなかったのだ。
「リュウさんや。エリック商会もこう言ってくれてるんや。素直にききましょうや」
「お二人とも、有難う御座います。まずは、昼食でもどうですか?」
「ワイはさっき食べたんやけど、この匂いは我慢できん! 食べるでぇ!」
席に着くと、隣にガンツさんが座った。
向かいには俺が座り、ミリアがその隣。リツとイワンの前にはアオイとサクヤが座る。
「食材とこの食材を卸してくれている二つの商会へ感謝を」
祈りを捧げて食べ始めた。
腹ごしらえをしたら、値段の打ち合わせだ。
二人が辛くないようにしたい。
いい落としどころを探ろう。
みんなが幸せになるように。
117
あなたにおすすめの小説
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯
☆ほしい
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。
でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。
今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。
なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。
今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。
絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。
それが、いまのレナの“最強スタイル”。
誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。
そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる