10 / 17
10.一年後
しおりを挟む
あれから戦闘の訓練をし始めて、字力の使い方も思考錯誤したりしながら成長して一年が過ぎた。
「シュウイ? 今日はなんの任務?」
そう聞いてきたのはミレイさん。
一年たってもその美貌は何ら変わらない。
何故こんなことを聞くのか。それは早くボクと戦場に出たり、敵領をぶちのめしたいという理由で五級以上になるのを待ってるみたいなんだ。
「んーと、狂狐の討伐だよ」
もうこの頃にはミレイさんより頭一つでていた。
今は店のお爺さんの手伝いで樽を二つ肩に乗せて運んでいる。
「そんなの良く持てるね?」
「これもトレーニングの一環なんだ。お爺さんの為にもなるし、いいこと尽くし」
「ま、そうねぇ。髪も伸びたね?」
「こうして結ってる方がラクでいいよ。寝ぐせとか気にしないですむし」
寝癖直すのとか面倒だしね。
それに関してはミレイさんは寝癖がついていようが、お構いなしだ。それもそれで強いと思う。
「私は気にしないけどねぇ。ねぇ、あと何個で五級にあがる?」
「今回ので上がるよ。外出てこき使うのは勘弁して欲しいなぁ」
「いいじゃん! 強いんだから! 字力使えば兄貴にも勝つでしょ?」
「それはボクの天漢が反則的だから」
反則だから余り身内と戦う時は使わないようにしているんだ。じゃないとボクの訓練にならないからね。
「じゃあ、行ってらっしゃい! 部隊用意しておくから!」
「えっ!? ちょっ!……行っちゃったよ」
部隊を用意しておくってどういうことだ? ボク用の部隊ってことかなぁ。それだとちょっとやだなぁ。知らない人と一緒に任務かぁ。
「別に話せるけどさぁ。ずっと一緒に居なきゃいけないのかな」
少し憂鬱な気分になりながら討伐へと向かった。
今回の狂狐は狂ったように誰彼構わず襲い掛かるらしい。しかもでかいから手こずってるんだって。
「この辺だと思うんだけどなぁ」
町外れから『魔』の領境付近に近いある森。領境辺りで小さい何かがゆれた。
「あー。地下道狭くないか?」
「仕方ないですよぉ」
こちらには気づいていない様子で地下道から出てきた。
即座に『痺』らせて動けなくする。
持っていたロープで腕を縛りあげて転がす。
たまたま狂狐を殺した時のためと持ってきたロープが役に立った。
近くにあったでかい岩を地下道の入口に乗せる。
一年前に作られていた地下道も塞いだと思ったが、また掘られたらしい。
呆れたものだ。
ちょっと放っておいて狂狐の討伐に向かう。
暴れて他の字獣も襲っているところに出くわした。
一瞬で間合いを詰めて決めないと、こちらも危ういかもしれない。
頭の中で字を並べる。
そして、『瞬』時に移動した。
殴り掛かり『打』撃を与える。
怯んだところで『跳』びあがりトドメに『重』い一撃を放つ。
流れるように字力を使い。頭を陥没させて息絶えた狐ができあがった。
こういう文字は集めないと決めている。これは自分を守るためだと思ったからだ。字と言うのは持っているだけでその影響を受けるとボクは考えている。だから、『悪』『狂』『殺』などの悪いイメージのある字は取らないことにしているんだ。
その狂狐を引き連れて途中の捕まえていた隣領の敵も引きずって連れて行く。
街の入り口に置いておき、ギルドへと向かう。
「ランさん。この狐換金お願いします。そして街の入り口に隣領の奴らを捕まえてきてます。返還お願いしていいですか?」
「あら。相変わらず早いわねぇ。街の入口ね。わかったわ。それにしても隣領からの侵略は久しぶりよね?」
「ですねぇ。動きがあるかもしれないです」
それだけ伝えるとギルドを後にして宿舎へと向かうと待っていたのはミレイさんだった。
「そろそろ終わってくる頃だろうと思ってたわ」
「待ってたの。ミレイさん、俺に何させる気?」
「ちょっかいかけてきてる『魔』を沈めるわ。『覇』も怪しい動きをしてるし、忙しくなるわよ?」
「ボク、知らない人と動くの苦手なんだけど」
申し訳ない気持ちになりながらそう伝える。
仕方ないよ。嫌なものは嫌なんだから。
でも、そんなボクの気持ちとは裏腹にミレイさんはニコッと笑った。
「大丈夫よ。私とシュウイの部隊だから」
「二人?」
「そっ。少数精鋭!」
ピースを目の前に突き出して胸を張る。
まさかそうくるとは思ってなくて驚いた。
領の制圧に行くんだよね?
二人でいけるかな。
「心配そうね?」
ボクは気持ちが顔に出やすい。だから嫌だなぁという顔をしていたんだろう。
「ボク達だけで制圧できるかな?」
「ふふふっ。私達だけでは無理よ。ただ、かき回すことはできる」
「そうだね。そういえばさっき地下道掘って出てきたやつら捕まえたよ?」
その言葉を聞くなりミレイさんは邪悪な笑みを浮かべた。
なにか悪いことを考えてそうな笑みだなぁ。
無茶なこと言わなきゃいいんだけど。
「その地下道を使って二人で攻めに行きましょ。ただ、地形を見たりとか街の様子を見に行きましょうか。その為には戦闘服じゃない方がいいわね」
「えぇ⁉ そんなことして大丈夫なの?」
「大丈夫よ。一応兄貴には話してから行くわ。報酬も出すから。ねっ?」
領の役に立つのならいいけど。
でも人を殺したりするのはタイガさんが好まないと思うけど。
どうやってかき回すんだろう。
「いいけど、人は殺さないようにするんでしょ?」
「そうよ。領主の居場所を探るのよ。楽しそうでしょ?」
「はぁ。行くしかなさそうだね」
「わかってるじゃない」
そう言い放ち、タイガさんの元へと向かったのだった。
天下統一へ向けて動き出す。
「シュウイ? 今日はなんの任務?」
そう聞いてきたのはミレイさん。
一年たってもその美貌は何ら変わらない。
何故こんなことを聞くのか。それは早くボクと戦場に出たり、敵領をぶちのめしたいという理由で五級以上になるのを待ってるみたいなんだ。
「んーと、狂狐の討伐だよ」
もうこの頃にはミレイさんより頭一つでていた。
今は店のお爺さんの手伝いで樽を二つ肩に乗せて運んでいる。
「そんなの良く持てるね?」
「これもトレーニングの一環なんだ。お爺さんの為にもなるし、いいこと尽くし」
「ま、そうねぇ。髪も伸びたね?」
「こうして結ってる方がラクでいいよ。寝ぐせとか気にしないですむし」
寝癖直すのとか面倒だしね。
それに関してはミレイさんは寝癖がついていようが、お構いなしだ。それもそれで強いと思う。
「私は気にしないけどねぇ。ねぇ、あと何個で五級にあがる?」
「今回ので上がるよ。外出てこき使うのは勘弁して欲しいなぁ」
「いいじゃん! 強いんだから! 字力使えば兄貴にも勝つでしょ?」
「それはボクの天漢が反則的だから」
反則だから余り身内と戦う時は使わないようにしているんだ。じゃないとボクの訓練にならないからね。
「じゃあ、行ってらっしゃい! 部隊用意しておくから!」
「えっ!? ちょっ!……行っちゃったよ」
部隊を用意しておくってどういうことだ? ボク用の部隊ってことかなぁ。それだとちょっとやだなぁ。知らない人と一緒に任務かぁ。
「別に話せるけどさぁ。ずっと一緒に居なきゃいけないのかな」
少し憂鬱な気分になりながら討伐へと向かった。
今回の狂狐は狂ったように誰彼構わず襲い掛かるらしい。しかもでかいから手こずってるんだって。
「この辺だと思うんだけどなぁ」
町外れから『魔』の領境付近に近いある森。領境辺りで小さい何かがゆれた。
「あー。地下道狭くないか?」
「仕方ないですよぉ」
こちらには気づいていない様子で地下道から出てきた。
即座に『痺』らせて動けなくする。
持っていたロープで腕を縛りあげて転がす。
たまたま狂狐を殺した時のためと持ってきたロープが役に立った。
近くにあったでかい岩を地下道の入口に乗せる。
一年前に作られていた地下道も塞いだと思ったが、また掘られたらしい。
呆れたものだ。
ちょっと放っておいて狂狐の討伐に向かう。
暴れて他の字獣も襲っているところに出くわした。
一瞬で間合いを詰めて決めないと、こちらも危ういかもしれない。
頭の中で字を並べる。
そして、『瞬』時に移動した。
殴り掛かり『打』撃を与える。
怯んだところで『跳』びあがりトドメに『重』い一撃を放つ。
流れるように字力を使い。頭を陥没させて息絶えた狐ができあがった。
こういう文字は集めないと決めている。これは自分を守るためだと思ったからだ。字と言うのは持っているだけでその影響を受けるとボクは考えている。だから、『悪』『狂』『殺』などの悪いイメージのある字は取らないことにしているんだ。
その狂狐を引き連れて途中の捕まえていた隣領の敵も引きずって連れて行く。
街の入り口に置いておき、ギルドへと向かう。
「ランさん。この狐換金お願いします。そして街の入り口に隣領の奴らを捕まえてきてます。返還お願いしていいですか?」
「あら。相変わらず早いわねぇ。街の入口ね。わかったわ。それにしても隣領からの侵略は久しぶりよね?」
「ですねぇ。動きがあるかもしれないです」
それだけ伝えるとギルドを後にして宿舎へと向かうと待っていたのはミレイさんだった。
「そろそろ終わってくる頃だろうと思ってたわ」
「待ってたの。ミレイさん、俺に何させる気?」
「ちょっかいかけてきてる『魔』を沈めるわ。『覇』も怪しい動きをしてるし、忙しくなるわよ?」
「ボク、知らない人と動くの苦手なんだけど」
申し訳ない気持ちになりながらそう伝える。
仕方ないよ。嫌なものは嫌なんだから。
でも、そんなボクの気持ちとは裏腹にミレイさんはニコッと笑った。
「大丈夫よ。私とシュウイの部隊だから」
「二人?」
「そっ。少数精鋭!」
ピースを目の前に突き出して胸を張る。
まさかそうくるとは思ってなくて驚いた。
領の制圧に行くんだよね?
二人でいけるかな。
「心配そうね?」
ボクは気持ちが顔に出やすい。だから嫌だなぁという顔をしていたんだろう。
「ボク達だけで制圧できるかな?」
「ふふふっ。私達だけでは無理よ。ただ、かき回すことはできる」
「そうだね。そういえばさっき地下道掘って出てきたやつら捕まえたよ?」
その言葉を聞くなりミレイさんは邪悪な笑みを浮かべた。
なにか悪いことを考えてそうな笑みだなぁ。
無茶なこと言わなきゃいいんだけど。
「その地下道を使って二人で攻めに行きましょ。ただ、地形を見たりとか街の様子を見に行きましょうか。その為には戦闘服じゃない方がいいわね」
「えぇ⁉ そんなことして大丈夫なの?」
「大丈夫よ。一応兄貴には話してから行くわ。報酬も出すから。ねっ?」
領の役に立つのならいいけど。
でも人を殺したりするのはタイガさんが好まないと思うけど。
どうやってかき回すんだろう。
「いいけど、人は殺さないようにするんでしょ?」
「そうよ。領主の居場所を探るのよ。楽しそうでしょ?」
「はぁ。行くしかなさそうだね」
「わかってるじゃない」
そう言い放ち、タイガさんの元へと向かったのだった。
天下統一へ向けて動き出す。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる