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32.みんなの思い
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ジャングルの夜は色々な音が聞こえる闇の空間だった。
明かりは目の前にあるたき火だけ。
そのたき火の煙の香りと炎の揺らぎが心を癒してくれる。
ただ、この暗闇で明かりをともしていればいらない者がやってくる。
「お肉美味しかった。ありがとう。リオンくんと一緒でよかった」
「そう? お昼もお肉だったのにごめんね。僕も果物みたいなのとっておけばよかったんだけど……」
「それは、ウチだってそうだから、何も言えないよ」
「はははっ。そっか」
僕が笑うと、ニコッと笑顔で返してくれるカーラさん。
なんかこの笑顔に癒されるなぁ。
パチパチと弾ける炎を見つめていると暗闇の中から気配が近づいてきた。
複数いる。
「カーラさん。杖構えておいてね?」
「うん?」
「夜のお客さんだ」
「ウホォォォォ!」
林の中から飛び出してきたのは、ランプコング。こいつは群れるゴリラのような魔物。
組んだ拳を振り下ろしながら襲い掛かってきた。
カーラさんが後ろにいる。避けるわけにはいかない。
「ふっ!」
右手で受け止める。
自分のいる地面が砕け散り、クレーターができた。
かなりの衝撃でカーラさんがよろめく。
空いている左手で心臓めがけて突きを放つ。
すると、後ろへと再び飛び、体勢を立て直したのだ。
コイツら知性があるな。
複数で一気に攻めてくる気だ。
そうなるとカーラさんを狙われる確率が高い。
「ウッホォォ!」「ウッホッ!」「ホォォォ!」
僕たちの前に構えていた三体が一気に攻撃をしかけてきた。
上からの振り下ろし。胴へのフック。そして足へのローキックだ。
僕は上からの攻撃だけを受け止め、その他の攻撃は受けた。
体に多少痛みが走る。
「リオンくん!」
「大丈夫」
カーラさんを心配させてしまった。
「ふんっ!」
腕は振り払い、体をのけ反らせて一気に胸を張る。
三体を一気に弾き飛ばす。
後ろに回り込んで一体の胸を一突き。
横へ移動し、頭を地面へと叩きつけ絶命させる。
最後の一体は上段蹴りで頭を粉砕して終わらせた。
「ごめん。意外と音立てちゃった」
「ふふふっ。でもさ、やっぱり強いね?」
「そう……かな?」
「そうだよぉ。ウチらはリオンくんと一緒に闘いたいから辛い修行も耐えられたんだと思うよ?」
そんな話は聞いてなかった。
そんなことを思ってたんだ。
「えっ? 僕と一緒に闘いたい?」
「うん。言ってなかったっけ? 並んで戦いたいんだ」
「そうなんだ。もしかして……」
だからバアルくんはあんなに怒っていたのかな。
「うん。バアルくんはその思いが人一倍強かった。エリスちゃんも同じくらいの思いはあるよ。もちろん。ウチも。でも、結局、今みたいに守られてばっかりで……」
「そんなことないよ。ありがとう。そう思ってくれて。僕はバアルくん、エリスさん、カーラさんに心を支えられているんだ」
「心を?」
「うん。僕は友達がいなかった。だから、皆が友達になってくれて感謝してるんだ。毎日楽しいよ」
「そっか……。それならよかった。それ、バアルくん達にも伝えてあげてね?」
「もちろん。伝えるよ」
息絶えているランプコングの討伐部位である手をマジックバッグへと入れてたき火を再開する。
カーラさんの顔が仄かにオレンジ色に揺れている。
その顔はどこか寂しそうだった。
「カーラさんはさ、なんでダイバーになろうと思ったの? 辛いじゃない? 戦わないといけないしさ、命の危険もあるし……」
「うーん。正直に言うと、ウチの家、お金ないんだぁ。だから稼ぐためかな」
「命の危険をおかしてまで?」
「ウチは大規模魔法を使用できる才能があった。最初から高出力の魔法が使えたから。そしたら、家族は大喜び。ダイバーとして活躍できるって」
みんなそういう事情を抱えているのかな。デームくんもそうだったしね。無事かなデームくん。
「そうなんだ。僕は親が行った方良いっていうから来たんだけど」
「はははっ。リオンくん、あんまりダイバーに興味なさそうだもんね」
「うん。配信とかするの目立つでしょ?」
「そりゃそうだよね。活躍する場を見せるのがダイバーだからね」
ケラケラと笑いながらたき火に枝を放り投げるカーラさん。
炎が僕たちの体を温める。
◇◆◇
その頃、教師達も映像を見ながら夕飯を食べていた。
「なんか黒襟のグループは別れちゃいましたねぇ」
歴史の教師はスープを見ながらそう呟く。
「はんっ。奴らにも事情はあるんだろうけどなぁ。こんな時には仲間割れして欲しくないもんだぜぇ」
「まったくですな。戦力が落ちれば、それだけ他のクラスにやられる確率も高くなる」
「ったくよぉ。他の生徒達の動きもわからねぇだろうから仕方がねぇが……」
「そうですねぇ。まさか黒襟に対抗する為、徒党を組んでいるなんて思わないでしょうからねぇ」
「あれは、卑怯じゃねぇのか? おい」
骨つき肉にかぶりつき肉を頬張る。
「まぁ、あれも作戦だと言われれば、学院は何も言えないでしょう」
「ケッ! まさかアイアン以外で徒党を組むとはなぁ」
「まぁ、アイアンも弱くはないんですけどね」
「落ちこぼれって言われているからな。けど、頭の回転が速い奴はいる」
競技会は怒涛の後半戦へともつれ込んでいく。
明かりは目の前にあるたき火だけ。
そのたき火の煙の香りと炎の揺らぎが心を癒してくれる。
ただ、この暗闇で明かりをともしていればいらない者がやってくる。
「お肉美味しかった。ありがとう。リオンくんと一緒でよかった」
「そう? お昼もお肉だったのにごめんね。僕も果物みたいなのとっておけばよかったんだけど……」
「それは、ウチだってそうだから、何も言えないよ」
「はははっ。そっか」
僕が笑うと、ニコッと笑顔で返してくれるカーラさん。
なんかこの笑顔に癒されるなぁ。
パチパチと弾ける炎を見つめていると暗闇の中から気配が近づいてきた。
複数いる。
「カーラさん。杖構えておいてね?」
「うん?」
「夜のお客さんだ」
「ウホォォォォ!」
林の中から飛び出してきたのは、ランプコング。こいつは群れるゴリラのような魔物。
組んだ拳を振り下ろしながら襲い掛かってきた。
カーラさんが後ろにいる。避けるわけにはいかない。
「ふっ!」
右手で受け止める。
自分のいる地面が砕け散り、クレーターができた。
かなりの衝撃でカーラさんがよろめく。
空いている左手で心臓めがけて突きを放つ。
すると、後ろへと再び飛び、体勢を立て直したのだ。
コイツら知性があるな。
複数で一気に攻めてくる気だ。
そうなるとカーラさんを狙われる確率が高い。
「ウッホォォ!」「ウッホッ!」「ホォォォ!」
僕たちの前に構えていた三体が一気に攻撃をしかけてきた。
上からの振り下ろし。胴へのフック。そして足へのローキックだ。
僕は上からの攻撃だけを受け止め、その他の攻撃は受けた。
体に多少痛みが走る。
「リオンくん!」
「大丈夫」
カーラさんを心配させてしまった。
「ふんっ!」
腕は振り払い、体をのけ反らせて一気に胸を張る。
三体を一気に弾き飛ばす。
後ろに回り込んで一体の胸を一突き。
横へ移動し、頭を地面へと叩きつけ絶命させる。
最後の一体は上段蹴りで頭を粉砕して終わらせた。
「ごめん。意外と音立てちゃった」
「ふふふっ。でもさ、やっぱり強いね?」
「そう……かな?」
「そうだよぉ。ウチらはリオンくんと一緒に闘いたいから辛い修行も耐えられたんだと思うよ?」
そんな話は聞いてなかった。
そんなことを思ってたんだ。
「えっ? 僕と一緒に闘いたい?」
「うん。言ってなかったっけ? 並んで戦いたいんだ」
「そうなんだ。もしかして……」
だからバアルくんはあんなに怒っていたのかな。
「うん。バアルくんはその思いが人一倍強かった。エリスちゃんも同じくらいの思いはあるよ。もちろん。ウチも。でも、結局、今みたいに守られてばっかりで……」
「そんなことないよ。ありがとう。そう思ってくれて。僕はバアルくん、エリスさん、カーラさんに心を支えられているんだ」
「心を?」
「うん。僕は友達がいなかった。だから、皆が友達になってくれて感謝してるんだ。毎日楽しいよ」
「そっか……。それならよかった。それ、バアルくん達にも伝えてあげてね?」
「もちろん。伝えるよ」
息絶えているランプコングの討伐部位である手をマジックバッグへと入れてたき火を再開する。
カーラさんの顔が仄かにオレンジ色に揺れている。
その顔はどこか寂しそうだった。
「カーラさんはさ、なんでダイバーになろうと思ったの? 辛いじゃない? 戦わないといけないしさ、命の危険もあるし……」
「うーん。正直に言うと、ウチの家、お金ないんだぁ。だから稼ぐためかな」
「命の危険をおかしてまで?」
「ウチは大規模魔法を使用できる才能があった。最初から高出力の魔法が使えたから。そしたら、家族は大喜び。ダイバーとして活躍できるって」
みんなそういう事情を抱えているのかな。デームくんもそうだったしね。無事かなデームくん。
「そうなんだ。僕は親が行った方良いっていうから来たんだけど」
「はははっ。リオンくん、あんまりダイバーに興味なさそうだもんね」
「うん。配信とかするの目立つでしょ?」
「そりゃそうだよね。活躍する場を見せるのがダイバーだからね」
ケラケラと笑いながらたき火に枝を放り投げるカーラさん。
炎が僕たちの体を温める。
◇◆◇
その頃、教師達も映像を見ながら夕飯を食べていた。
「なんか黒襟のグループは別れちゃいましたねぇ」
歴史の教師はスープを見ながらそう呟く。
「はんっ。奴らにも事情はあるんだろうけどなぁ。こんな時には仲間割れして欲しくないもんだぜぇ」
「まったくですな。戦力が落ちれば、それだけ他のクラスにやられる確率も高くなる」
「ったくよぉ。他の生徒達の動きもわからねぇだろうから仕方がねぇが……」
「そうですねぇ。まさか黒襟に対抗する為、徒党を組んでいるなんて思わないでしょうからねぇ」
「あれは、卑怯じゃねぇのか? おい」
骨つき肉にかぶりつき肉を頬張る。
「まぁ、あれも作戦だと言われれば、学院は何も言えないでしょう」
「ケッ! まさかアイアン以外で徒党を組むとはなぁ」
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競技会は怒涛の後半戦へともつれ込んでいく。
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