転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥

文字の大きさ
47 / 88

47.全員リレーの抜け穴

しおりを挟む
 玉入れの勝利から一夜明け、今日は全員リレーの日。
 全員リレーはクラス皆で頑張ろうと昨日誓った。
 絶対にあの先輩たちなんかには負けない。

 朝、競技場に来てみて衝撃を受けた。僕たちアダマンタイトクラスの皆は状況がよく呑み込めていない。

「これは? どういう事ですか?」

「いやー。すまないねぇ。他のメンバーはみんな、何者かに襲撃を受けて、立てる状態じゃなくてねぇ。酷いことする奴らもいるものだよぉ」

 オレンジ髪の魔人族は泣く真似をしているが、後ろにいるモヒカンと他三人はニヤニヤと口角を上げている。

「じゃあ、後日にしますか?」

「いやー。そういう訳に行かないよ。悪いからねぇ。今日やらないと。決闘とはあまり時間を置くものでは無いだろう?」

 この男はよく言う。憎たらしい顔を眺めながら僕は思慮を巡らせる。

 相手は五人しかいない。これで全員リレーをしようと言うのだ。こっちは三十八人だ。これでは勝てるわけがないだろう。

 まさか、仲間を襲撃してまで人数を減らしてくるとは。本当に外道らしい。コイツらはどこまでも腐っている。

「お前たちがやったんだ──」

「バアルくん。言ってもしょうがないよ」

 オレンジ頭とモヒカンはニヤニヤしながらこちらを見つめている。「俺様たちがなんだって?」と言ってこちらに顔を近づけてきた。

 どこまでもこっちをバカにしている。こんなんで決闘に勝ったと言える神経がすごい。何をやっても勝ちは勝ちだと言いたいのだろう。

「はぁ。先輩は先輩らしくして欲しいものですが、そうですか。どうしても、最後の合戦までもっていきたいってことですね? 後悔しますよ?」

「あぁ!? 誰に言ってんだテメェ!? オォォッ!?」

「弱い奴ほど良く吠えるっていいますもんね?」

 僕は腹が立ったので挑発してやった。今回勝っても次は痛い目見るぞと言ってやったのだ。もちろん、正面から全員で当たるわけがない。ルールがどうであれ、叩き潰す。

「ハッハッハッ! 大きく出たねぇ。合戦なら勝てると?」

「逆に聞きますけど、僕たちに勝てるとお思いですか?」

「思っていたら?」

「プッ。力量も測れないような弱い頭なんですね。可哀想に」

 オレンジ頭は顔を赤くしながら目を血走らせて、眉間のシワを深くしている。

 こんな挑発で怒りを露わにするなんて、僕と戦うには千年早いよ。竜人族ってね。寿命が長いんだよ。そういう話じゃないけど。

「ぐぐぐっ。我らを愚弄して生きていられると思うなよ?」

「あっ、一応言っておきます」

 僕はスッと近付いて耳元に顔を近付けた。

「仲間に手を出したら次は命がないと思えよ? 昨日の腕はただの警告だ。お前たちなんぞ、一瞬で塵にできる。わかったか? わざわざ、学生という立場で相手してやっているんだ。身の程を弁えろ」

 オレンジ先輩は赤くした顔を青くしてコクリと頷いた。なんだか頬を滴が流れていっている。少しはわかってくれたかな。

「じゃ、じゃあ始めよう」

「よーっし、みんな頑張ろー!」

 僕はあざと明るく声かけした。クラスメイト達は死んだ目で手を挙げている。

 仲介の先生がルールを説明してくれた。
 
「では、第二弾、全員リレーですが、今日参加する生徒全員でこのトラックを走っていただきます! では、始めましょう!」

 モヒカン先輩は静かに微笑んだ。何かを企んでいるのはわかった。でも、さっき僕はオレンジ先輩に忠告した。

 試させてもらおうか。オレンジ先輩がどのくらい自分の命が大切なのか。

 ウチのクラスのトップバッターがトラックに降り立つ。スタート位置につき、構える。

「よーい…………」

 ──パンッ!

 魔法の合図が上がった。
 トップバッターの女の子は全力疾走している。それに引き換え、先輩の一人はゆっくりとジョギングしている。

 まぁ、余裕だろうからね。女の子がトラックを順調にコーナーを曲がり、一周をしようとした時だった。

 魔力が集まるのを感知した。モヒカン先輩だ。何も知らないからな。あの人。もし撃った場合は相殺させ、アイツらの命はなかったことになる。

 僕が一瞬構えた。それを察知したのだろう。オレンジ先輩が青い顔をしてモヒカン先輩を止めていた。

 それでいいんだよ。命は大事にね。

 さっきのルール説明では、妨害をしてはダメだという説明はしていなかった。だから、妨害してもいいんだと言い張るつもりだったんだろう。

 それは何となくわかっていた。だから、釘を指したんだ。アイツらは僕が竜魔法を使うのを知っている。

 僕が竜人族だと知っているのだ。ただ、側に居なかったから実感がわかなかっただろう。どれ程の強さか。

 それが前回のダンジョンで竜を葬ったことで分かったんだろう。竜を簡単に倒せるほどの強さだということが。

「頑張れー!」

 僕は一生懸命に走るクラスメイトを応援していた。それに答えるように挑発しながら走る先輩たちを横目に一生懸命走る皆。

 僕はこのクラスの一員で良かったと思った。みんな、諦めていなかったのだ。こんなに不利な戦いでも、誰一人最初から諦めていない。

 挑発している先輩たちに一泡吹かせよう。その気持ちが伝わってきた。僕は目頭に熱いものが込み上げてきた。

「いいぞー! 走れー!」

 胸が熱くなった。その頃、先輩たちは先にゴールした。「勝者、二年ゴールドクラス!」そう言われても、みんな走り続けた。

 このクラスが好きだ。そう思えた。あんなクソヤローどもは、次の合戦でボッコボコにしてやろう!

「ゴール!」

 僕たちは三十八人、全員走り終わった。一体感が半端なかった。皆でハイタッチし、お互いを称えあった。

 僕たちは奇しくも先輩たちのおかげで一つになれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...