転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥

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66.尊い日常

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 夜が明けて朝食を食べながらバアルくん、エリスさん、カーラさんにだけ昨夜の出来事を話した。怪しい奴らがフォレストドラゴンを放っていたらしいこと。そして、その者達の中にデームくんがいたこと。

 最初に聞いた時、三人は目を見開いて驚いていた。第一声は「なんで?」だった。それはそうだ。僕も同じ気持ちだから。

 話を聞いた感じだとお金のために仕方なくあの人たちといるみたいだった。それに、オーウェンから来たんだっけかと言っていた。ということは、この国じゃないところにいるということ。

 そして、この国以外からもその組織の様な所に集まっているということではないだろうか。たしか、担任が人外魔境という組織だと言っていた。

「デームくんはなんでそんなことしてるんだろう?」

 バアルくんが眉間に皺を寄せながらそう話を切り出した。

「僕にはお金のためだって言ってた。沢山のお金を送れているみたいだね」

「人を襲ったりして一体何がしたいんだろうね?」

「超過激派組織、人外魔境。前に担任が言ってたよね。アイツ等は恐らく国外に拠点を置いてる」

「どうしてわかるの?」

「仲間が言ったんだ。デームくんと僕が知り合いだとわかると『オーウェンから来たんだっけ』ってね。その言い方だと国外にいると思わない?」

「うん。たしかに」

「まぁ。どの国にいるかなんてわからないんだけどね」

「担任に言った方がいいんじゃない?」

 それっきり話は終わってしまった。
 朝食を食べ終えて出る準備をする。
 一応担任にも人外魔境のこと、デームくんのことを報告した。

「昨日のフォレストドラゴンのことがあるからなぁ。今回のダイブ見学は中止だぁ。一旦王都へ帰るぞぉ」

 担任がそう宣言する。たしかに、昨日は危険な目にあったし、みんなも疲弊してる。それに、人外魔境がまた狙ってきている。一旦帰った方が良いのはその通りだった。報告してよかったかも。

 僕たちは街道を通って王都へと帰ることになった。今回は課題もわかったし、もっと強くなれた気がした。いいダイブ見学になったんじゃないかな。

 帰りの道中は平和だった。魔物は出てきてもブルーさんが始末してくれたし。一日早く戻ってきてしまったけど、トラブルだらけのダイブ見学だったからかなり長いように感じている。

「これでダイブ見学を終わる。早く戻ってきちまったが、いろんなことがあった。ゆっくりと休むといい。命の危険を感じて疲れただろう。これを機に少し考えてもいいかもなぁ」

 担任は意味深にそんなことを言うと去って行った。
 僕たちに学院を辞めることも考えた方が良いということだろうか。
 たしかに、これで恐くなってやめる人もいるかもしれないもんね。

「オレたちはお疲れ様会でもする?」

「あぁ! ずるいわよ! 私だってやりたい!」

「ふふふっ。慌てなくてもバアルくんなら誘ってくれるって。エリスちゃん」

 カーラさんがエリスさんをなだめている。なんだか日常の一幕でホッとするね。でも、この日常はもしかしたら訪れなかったかもしれない。

 あの襲撃の時に、バアルくんが命を張って守ってくれていなければ、この光景は見ることができなかったんだから。感謝しないといけないよね。

「オレたちの部屋でいいかな?」

「さんせー!」

「ウチらの部屋でやるわけにもいかないものね?」

 この三人の命が今回はなんとか紡がれた。僕はこの三人と一緒に生きていきたい。絶対に死なせたりしない。そう心の中で強く誓うのであった。

「リオンくんがなんか難しい顔してるね」

「ねぇ、何考えてるのぉ?」

「ウチらと違って難しいこと考えてるんだよきっと!」

 今あるこの日常を当たり前だと思ってはいけないよね。もしかしたら崩れるかもしれない。その危機感を持って生活しないといけない。そして、感謝をわすれないように生きないとね。

 そうこう考えているうちに寮の食堂へと来ていた。

「なんで食堂に来たの?」

「何もないのにお疲れ様会できないでしょ?」

「あっ。そっか」

 なにも考えていなかった。

「ふふふっ。リオンくん。難しそうな顔をしていたわりに何も考えてなかったんだねぇ?」

 近くで微笑むエリスさん。
 本当に生きていてよかった。
 僕は、エリスさんがいなくなったら、生きていけないと思うよ。

 バアルくんが何かを頼んでくれている。
 少しして出てきたポテトフライとかジュースを渡され、それを抱えて部屋へと向かった。

 エリスさんとカーラさんが楽しそうにおしゃべりをしている。
 その光景を後ろを歩きながら眺めていた。
 なんだか、すごく尊い光景の様な気がして。

 目にこみ上げてくるものがある。
 両手が塞がっていて拭うことができない。

「リオンくんどうしたの!?」

 バアルくんが慌てている。

「はははっ。なんか、この光景が壊れていたかもしれないって考えてたんだ。そしたら、今あるこの光景ってすごく有難いことで、奇跡なんじゃないかなって思って。なんかこみ上げてくるものが……」

「リオンくん。オレたちはね。リオンくんがいなくなっても同じように思うんだよ? 自己犠牲もほどほどにしてよね? いつも自分ばっかり戦おうとするから」

 そっか。僕ばかりが前に出て戦っているのも心配かけているんだね。

「バアルくん。本当に有難う」

 僕は精一杯の笑顔でお礼を言った。

「うん。リオンくん笑ってるのかな? 見えないんだけど」

 黒襟と髪で僕の表情は見えていなかった。
 精一杯の笑顔をしたのに。
 
 この日常は絶対に守る。
 心に強くそう誓うのであった。
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