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26.トクラの指導 ゲーム編2

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 後日、また武十館のクランホームでの指導をしてもらいに来ていた。

「今日はのぉ、魔法の使い方を教えようと思うのじゃ。このゲームではイメージが明確で、世界に認められればどんな魔法でも使うことができるのじゃ。まぁ、魔力量にも左右されるんだがの」

 頷きながら二人は話に聞き入っている。
 このゲームに関してこういう風に教えてくれる人はいなかったから。

「だが、イメージが固まっていても、世界に認められず、失敗する場合があるのじゃ」

 思い当たることがあって、手を挙げた。

「俺は、前に試した魔法があるんですけど、イメージは完璧って位だったのに、失敗したんです」

「ふむ。いい例じゃから何をしようとしたのか聞こうかのぉ」

「まず、ガチっとした鎧をイメージしたんです。それを風魔法で実現しようとしたら、失敗しました」

 トクラさんは親身になって頷きながら答えてくれた。

「それはのぉ。風とは本来は気温差で起こるものじゃが、大気が動いて出来るものじゃろう? それを止めて維持しようとするのは世界の理として、無理なのじゃよ」

頷きながら感心するフーマ。

「なるほど、納得しました。そういう事だったんですね。そういう理は破れないようになっているんですね。」

「そうじゃ。それが分かった上で風を流動させながら形成する鎧をイメージしたら、出来るのではないか?」

 なるほどと思い、俺は立ち上がる。
 イメージがさらに鮮明に頭の中に浮かんできた。

 できるぞ! 確かにできる気がする! 凄い!

 興奮してトクラさんに詰め寄った。
 
「トクラさん! やってみていいですか!?」

「よいがの。少し離れてくれんか?わしが思うに、かなりの衝撃が来ると思うでの」

「わかりました!」

 返事をすると駆け出す。
 迷惑をかけないように、庭の真ん中で

 目を瞑りイメージを明確にいていく。大気の動きで形成する鎧。各部位で小さな竜巻を発生させれば行けると思うんだよなぁ。

「よしっ!」

 魔力を体に漲らせる。

 そして、魔法名を叫ぶ。

「風神!」

シュル………………シュル………………
シュル…………シュル………………
シュル……シュル……シュル

体に竜巻が出来ていく。

ゴワァァァァァァァーーーーーーー

 俺の体を中心に台風が発生しているような状態になっている。

 遠くで見ながらトクラさんが何か言っていたが聞こえない。

◇◆◇

 その時トクラは目を見張って震えていた。

「やはり、とんでもない逸材じゃのう。イメージを教えただけで明確にイメージを作り世界に認めさせたのも凄いんじゃが、神の名の付くを魔法を成功させるとは……」

「すげえぇ!! やっぱりフーマはすげぇ!! ははっ!!」

 ガントも興奮して体を震わせていた。

「これこれ、お主もやるんじゃぞ? 何かイメージは無いのかの?」

「火属性魔法だから、ドッカーンといく魔法がいいなぁ」

 フーマの魔法にはしゃぎながら、自分のイメージも固めていくガント。

「よしっ! だいたいイメージできたぞ!」

「では、あのカカシに打ってみるかのぉ。」

「行くぞ! 大爆発!!」

シーーーン

「えっ!?なんで!?」

「自分の魔力を魔法にするのじゃから、届くところから飛ばしたりした方が良いのじゃよ。もしかして、今まで魔法使ってこなかったのかの?」

「はい! いつも失敗するんで、使ってませんでした!!」

 元気に肯定するガントをみてトクラは苦笑いを浮かべる。

「ま、まぁ、さっき言ったイメージであれば、いけるのではないかの?」

「よーっし!」

 イメージを膨らませているようでずっとカカシを見ている。おもむろに手の平を上へ向けた。

 すると、手を振り下ろしながら

「エクスプロージョン!!」

 手から現れた火の玉が飛んでいった。

 
◇◆◇

 
 ヒューーン

 ドッガァァァァァァァン

 パラッ   パラッ

 凄まじい音に魔法を解除すると、俺の頭上にカカシの破片が落ちてきた。
 爆風が顔に熱を送ってくる。

「いぃよぉっしゃぁ! できたできた!」

「ふぉっ。ふぉっ。ふぉっ。すごい威力じゃのぉ。この威力はレアボスにも通用するかものぉ」

「凄いじゃないか! ガント!」

 二人の身になった二日目の指導は終わっていくのであった。
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