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51.久しぶりの休暇3

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「挑発!!」

 スキルを使い、ビッグトレントの気を引くガント。ツルがそこら中に放たれる中、果敢に盾を持って前に出る。

「俺が気を引く! その間に打開策を!」

「ホーリーレイ!」
「ダークレイ!」

 モーニとイブの二人が魔法を放つ。

ジュッ ジュッ

 この渾身の魔法も暴れ回る根っこで受け止められてしまった。
 根っこを攻撃してもHPには影響しないから困ったものだ。

 本体に攻撃しないと意味がないので、根っこをかいくぐって行かないと倒せない。

「あの根っこうざい!」

 モーニとイブのもとにも、根っこの攻撃が伸びている。

ガァン!

 モーニが迫ってきた根っこを弾く。

「弾くのは、弾けるのよね!」

ガァン!

 弾きながら話していると。

 そうか。弾くのは簡単なんだから、弾いて当たらなきゃいいんだもんな。それならできるかも。よし、やってみよう。

 イメージを思い浮かべながら、魔力を体の周りに纏わせる様に回転させる。

「風籠」

 体の周りを風が包み込み、球体の障壁を作る。

ダンッ

 加速してビッグトレントの本体へ向けて突っ込む。根っこが迫る。

バシィッ!

バシィッ!

 俺の予想した通り、この魔法なら根っことツルを弾けるようだ。弾きながら本体に迫る。

 目の前まで来た。
 装備を変更する。

ブォォォォォォォォォーーーー

 拳に風が渦巻く。その風を圧縮して最大火力のアレを放つ。

「風衝」

キィィィィーーーーーン

 風が圧縮される。
 拳を引き絞った。

ダンッ

 飛び上がって勢いをつける。
 その拳を本体に叩きつけた。

ズガァァァァァァァァーーーーーーンン
 
 ビッグトレントは真っ二つになり、光の粒子に変わっていく。

「やったな! フーマ!」

 ガントが喜んで抱きついてくる。

「さすがね。やるじゃない」

「フーマ。強い。」

 モーニとイブも称賛してくれた。

 新しい魔法も成功したし、強くなってるのかなぁ。

「じゃあ、早速サーテアに向かおうぜ!」

 ガントがいいながら、意気揚々と町へ向かう。その背中に続く三人。
 街に着くと、その光景に驚く。

 大きな大木の周りに町が発展しており、大木を削って階段や店が出来ていて自然の綺麗な光景が広がっていた。

「これは凄いなぁ。来てみてよかったよ」

 俺は気を見上げながら呟いた。

「そうだな! こんなに綺麗なとこだとは思わなかったから来てよかったよ」

「そうね。こんなに綺麗なら来たかいがあるわ」

「綺麗。来て。よかった。」

 三人も賛同する。
 街の中へ入る。もっと探索しておきたいところだが、今日はそうもいかない。

「そろそろ時間だ。ログアウトするよ」

「おう! 明日頑張れよ! 応援に行くからな!」

「ちなみに、私達も行く予定よ!」

「行く。応援する。」

 三人が言ったのを聞いて驚いた。
 
「みんな来てくれるのか!? じゃあ、負けられないな。今日はログインしてよかったよ。明日は頑張る。また明日な」

 俺はログアウトして光の粒子に変わる。

――――――
――――
――

 ヘットギアを外すと体を伸ばしたりして体の硬さをとる。

「負けられないな」

パンッ

 両頬を叩き気合を入れる。
 明日から運命の一戦が始まる。
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