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32 アルミ箔のオンナ 14
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バーの気怠い空気にも慣れてきた頃、神谷くんは突然立ち上がると俺の肩を掴んだ。
え?っという顔で下から見上げる俺に「 映画、観に行きましょう!ミニシアターで上映中の、ちょっと泣ける映画。あれ観て泣いたらスッキリするかも。 」と、そんな事をいう。
意外な発想に驚きを隠せない俺は、ただ思考が止まってしまった様に返事も出来ないでいた。
神谷くんの中では、俺がフラれて捨てられたって事になっている?
まさか、そんな.....
まだ早いよ。確かに恵は出て行った。
けど、それは暫く、って事でずっとじゃない。戻らないって云われた訳じゃないから.....。
「 あの、神谷くん....。俺、まだフラれてない。恵は帰って来ると思うよ、きっと。 」
大きな声で断言はできないが、俺たちの3年の月日がこんな一瞬で消えてなくなるはずは無い。
きっと今は頭を冷やして考えたいんだろう。俺という存在をもう一度好きになる事はありうる。まあ、キライと云われてもいないし。
「 ならいいんですけど.....。真琴さんが可哀そうになっちゃって。かといっておれが慰める訳にもいかないし。何か力になれる事があれば云ってくださいね。 」
「 ああ、ありがとう。取り敢えず今夜は酒を飲もうよ。 」
俺は神谷くんの気持ちだけ有難く受け取るとそう云った。
こういう時に同じゲイの仲間は有難い存在だ。それに、ノンケの男を好きになっているという共通点もあるし、今夜は神谷くんに色々相談してみたいと思った。
「真琴さんのカレシってどんなタイプです?」
そう聞かれても一言では……
「…そうだな…、好青年、て感じかな。真面目だし優しい。それに男前。」
「はは、それって身内びいきですよね。悪いとこないじゃん。真琴さんにはそう見えてるんだ?!熱いな~」
神谷くんはそう言って笑うとグラスの酒を飲み干した。それから俺の顔を覗き込む。
「真琴さんだって男前ですよね。っていうか美系だ。アッチ界隈じゃモテまくりだったでしょ?どうして一人に落ち着く気になったんです?」
不思議そうな顔をして訊かれると自分でも分からない。何がそうさせたのか……
え?っという顔で下から見上げる俺に「 映画、観に行きましょう!ミニシアターで上映中の、ちょっと泣ける映画。あれ観て泣いたらスッキリするかも。 」と、そんな事をいう。
意外な発想に驚きを隠せない俺は、ただ思考が止まってしまった様に返事も出来ないでいた。
神谷くんの中では、俺がフラれて捨てられたって事になっている?
まさか、そんな.....
まだ早いよ。確かに恵は出て行った。
けど、それは暫く、って事でずっとじゃない。戻らないって云われた訳じゃないから.....。
「 あの、神谷くん....。俺、まだフラれてない。恵は帰って来ると思うよ、きっと。 」
大きな声で断言はできないが、俺たちの3年の月日がこんな一瞬で消えてなくなるはずは無い。
きっと今は頭を冷やして考えたいんだろう。俺という存在をもう一度好きになる事はありうる。まあ、キライと云われてもいないし。
「 ならいいんですけど.....。真琴さんが可哀そうになっちゃって。かといっておれが慰める訳にもいかないし。何か力になれる事があれば云ってくださいね。 」
「 ああ、ありがとう。取り敢えず今夜は酒を飲もうよ。 」
俺は神谷くんの気持ちだけ有難く受け取るとそう云った。
こういう時に同じゲイの仲間は有難い存在だ。それに、ノンケの男を好きになっているという共通点もあるし、今夜は神谷くんに色々相談してみたいと思った。
「真琴さんのカレシってどんなタイプです?」
そう聞かれても一言では……
「…そうだな…、好青年、て感じかな。真面目だし優しい。それに男前。」
「はは、それって身内びいきですよね。悪いとこないじゃん。真琴さんにはそう見えてるんだ?!熱いな~」
神谷くんはそう言って笑うとグラスの酒を飲み干した。それから俺の顔を覗き込む。
「真琴さんだって男前ですよね。っていうか美系だ。アッチ界隈じゃモテまくりだったでしょ?どうして一人に落ち着く気になったんです?」
不思議そうな顔をして訊かれると自分でも分からない。何がそうさせたのか……
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