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確証
しおりを挟む美乃利はもう一つのドアの前に立つと、ゆっくり息をしてから「菅沼さん、開けていただけますか?」と声を掛けた。
しばらく待つと、カチャリ、とドアの開く音がして菅沼の顔が隙間から見えた。
「なんですか?もう終わりました?」と、怪訝そうに美乃利を見る菅沼。ドアの隙間から見えた菅沼の部屋は、リビングと違和感のない色合いのインテリアだった。一瞬でおかしいと思う美乃利。
最初にここへ来た時、リビングの派手さに驚いた美乃利たちに、これは岬の趣味だと言った。自分はこういう感覚がないので羨ましいとさえ言っていた。自分の部屋を岬に習って変えてみたのだろうか。
「あ、すみません。えっと、こちらが菅沼さんのお部屋なんですね?すごく素敵、綺麗な色合いのお部屋ですね」と言いながら、一歩部屋の中へと入った。
「ち、ちょっと、何ですか?入っていいなんて言ってませんよ」
菅沼は、自分の身体を美乃利に押し付けるようにして部屋の外へと押しやる。それを見ていた水野が、すぐにやって来ると「ちょっとすみません」と言いながら二人の間を割って入る。水野は菅沼の部屋に入ると、大きな声で「こっちが岬さんの部屋ですね?」と言った。
菅沼は、不意を突かれて目を見開くと眉間に深い皺を寄せた。
「あのカーテン、岬さんのだって分かってるんです。岬さんの部屋だと案内してくれたのは嘘、ですよね?本当はこっちが岬志保さんの部屋で、あちらは菅沼さん、あなたの部屋ですね?どうして嘘をついたんですか」
水野に問い詰められて、菅沼は目を泳がせてしまう。口を閉ざしたまま、それでも気丈に立って腕を組むと重い口を開いた。
「確かに、言われる通りこっちが岬さんの部屋です。でも、だからって、あなたたちも他人じゃないですか。岬さんが居ないのに勝手に部屋や持ち物を調べるような事をしていいんですか?何か持ち出されたら困ると思って、わざと私の部屋に案内したんですよ。それが悪い事?悪くないですよね?」
やけに饒舌に弁明する菅沼に、水野は「そこにあるテディベアのぬいぐるみは菅沼さんの物ですか?」と、ベッドの枕元に半分掛け布団から覗かせているぬいぐるみを指すと訊ねた。
「そ、、、れは、、、」と言ったきり黙ってしまう菅沼。
咄嗟に隠したつもりだったのか、でも、布団から覗いたソレは、確かにあの家で見た物と同じ様に、古びたテディベアの首にピンクのリボンが巻かれている。
水野はベッドのぬいぐるみを手に取ると、足の裏に刺繍されたローマ字を確かめた。
S A O R I
両足に刺繍で書かれた名前。やはり、スガヌマサオリと菅沼は同一人物だった。
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