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真実に辿りつけるのか
しおりを挟む救急車が到着した事で、寮の部屋からは人が出て来てザワザワとし始める。
「なにかあったんですか?」と口々に尋ねられるが、祐二は「すみません」とだけ言って救急隊を部屋に案内した。多分、祐二の顔面は蒼白だったかもしれない。
一応、事情は簡単に説明したが、すぐに応急処置を済ませると、警察にも連絡を入れられて菅沼は搬送される。水野は菅沼と一緒に救急車に乗り、祐二と美乃利には「病院着いたら連絡するから」と云った。
残った祐二と美乃利は、警官がやって来るのを部屋で待つ。
社員寮の女性たちは、部屋の前に来ると何か話している様だが、祐二たちはそんな言葉も耳に入って来ない程気が動転していた。何処かで、落ち着かなければ、と思うが、心臓の鼓動は激しく脈打つばかり。
「美乃利さん、大丈夫?」
祐二は隣でうずくまる美乃利に声を掛けた。あんな光景を見てしまい、落ち着けという方が無理だと思う。
祐二は、そっと美乃利の肩に手を置くと「僕が説明するから、大丈夫だから」と云った。それしか掛ける言葉がなくて、歯痒いがじっと待つしかなかった。
暫くすると警官がやって来て、菅沼が怪我をした事情を話す事になった。部屋には血の付いた包丁がそのまま残されていて、ふたりのうち一人がそれを写真に収めて、袋に入れると血痕のついた場所を見て周った。
その間に、祐二は菅沼が話の途中で急に自分の胸を刺した事を告げる。どんな話をしていたのかと問われて、一応は簡単に説明したが、肝心の事は云えなかった。
祐二の携帯に水野から電話が入ると、話しは中断して、警官も一緒に病院へ出向く事になった。
そして、警察車両に祐二と美乃利も乗せられると、一行は病院へと向かう。
車の中で同じ事を何度も聞かれるが、祐二も美乃利も状況を伝えるしか出来ずに、ずっとモヤモヤしたまま病院に着いた。
「奥村くん、美乃利ちゃん!」と、入口で待っていた水野が近寄って来る。
「どうですか、様子は」
「直ぐに手術をしてくれてるけど、外で待っているしか出来なくて、中の様子は分かんない。でも、応急処置してくれたから、命に関わる事は無いって。取り敢えず終わるのを待つしかないよ」
水野は、不安げな顔をしながらも、気丈にそう云って祐二たちを見ると頷いた。
「あの、状況はお二人から聞きましたが、自殺を図ったって事ですか?」と、一緒に来た警官が水野に訊ねる。
祐二と美乃利も先程そう云ったのだが、水野にも確認したいようだった。
「そうです、いきなりでビックリしました。でも、彼女がそうした訳を考えると、、、ここで話していいのかどうか」
水野が顔を曇らせて言うと、警官は「余程の事があったんですね」と、覗き込む様に訊ねた。
「本当は、菅沼さんが話せる状態になったら、彼女の口から話して欲しいんですが」
そう言うと、警官は辺りを見ながら、「ちょっと奥に行きましょうか」と祐二たちを促した。
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