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岬の行方は
しおりを挟む病院の職員が部屋を用意してくれて、警官に促された祐二たちは、神妙な面持ちで席に着くと、もう一度状況説明をさせられた。
菅沼を傷付けたのが、祐二たちだと疑っているのかもしれない。警官の視線が鋭くて、何となく居心地が悪くなる。
「それで、本人から聞く方がいいというのはどうして?」と、若い方の警官が聞いてくる。
「岬志保さんという女性が行方不明になってるんですが、菅沼さんのルームメイトなんです。それで彼女に確かめたい事があって、あの晩部屋に」
「確かめたい事とは」
「えっと、私は岬さんの後輩で真壁と言います。岬さんは廃墟とかの動画配信をしていて、昔菅沼さん家族の心中事件があった家に行ったんです」
警官の質問に、美乃利は静かにそう答えると続けた。
「菅沼さん家族の、事件の真相を岬さんが掴んで 、本人に問い詰めたと思うんですよ。そこで何かトラブルがあったのでは、と思ったんですが」
「その、岬さんはまだ見つかってないんですね。菅沼さんが自殺を計った理由が、岬さんが行方不明になった事に関連していると、あなた方はそう思っている」
「その通りです。最悪、岬さんは生きていないかも、と考えられませんか?」
警官に、興奮気味に言ったのは水野だった。美乃利に聞かせるのは辛いが、警官にはちゃんと捜査して欲しい。
「取り敢えず、菅沼さんの容態を聞いてからにしましょう。皆さんは此処で少し待っていて下さい」
そう言うと、若い警官はひとりで部屋を出て行った。残された警官と祐二たちは、向かい合ったまま座っている。
美乃利は、水野が放った言葉に動揺していた。自分は、岬が生きているつもりで探しているし、死ぬ理由が分からない。
だが、山里の部屋で水野が言った様に、農薬を入れたのが菅沼本人だったら、と考えれば、話は変わってくる。
静かな部屋に、警官の無線の声が音を放つ。どうやら菅沼の処置が終わった様で、病室に向かうという事だった。
「僕たちは病室に入れますか?」と、祐二が警官に訊ねる。
「ああ、それは無理かな。自殺未遂を起こした訳だし、君等を見たらまた興奮するかもしれない。君等の連絡先は聞いたし、彼女からも話を聞いてみて、こちらから連絡しますよ」
立ち上がった警官に言われ、祐二たちは肩を落とした。
菅沼と岬の間に、何かあった事は間違いないのに、その先に進めないまま帰るしかないのだろうか。
警官について行き、遠くから菅沼が運ばれて行くのを眺めながら、胸の奥はずっとモヤが晴れない状態だった。
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