123 / 407
白いアザレアを貴方へ
9
しおりを挟む
「あ、いたいたー!桔平ー!」
後ろから声が聞こえた。振り返ると、楠本さんが手を振りながら駆け寄ってきている。
「ななみんからのLINE、見るの遅くなっちゃってさ。良かったぁ、合流できて」
「かけるん、ひとりで来たの?」
「今日はひとり。夕方バイトあるし、桔平の絵を見たいだけだからさ。明日、友達連れてくるよ」
楠本さんは、ななみんって呼んでいるのね。ななみん、かけるん。知らないところで友情?が育まれていたんだなぁ。
「てか桔平、やっぱり見つけやすいわ。めっちゃピンク!」
そう言って、ひとりで大笑いしている。この人こんな感じだったっけ?もっと真面目そうなイメージだったけれど。
「展示観に行くなら、早く行こうぜ。混むからさ」
楠本さんの言葉をスルーして、桔平くんが言う。米田さんや小林さんのキャラに動じないのは、もしかして楠本さんもそっち系のノリだから?
とりあえず、4人で絵画科の展示をしている校舎へと向かうことにした。
「愛茉ちゃんは久しぶりだよね。覚えてる?俺のこと」
楠本さんがニコニコしながら話しかけてくる。すごく人当たり良さそうな笑顔。
「覚えてますよ、楠本さん」
「やだなぁ、他人行儀で。翔流でいいよ。敬語もナシね」
「じゃあ、翔流くんで」
「いつも桔平が面倒かけてるでしょ。愛茉ちゃんはしっかりしてそうだから、安心して桔平を任せられるよ」
翔流くんの言葉に、桔平くんがフッと鼻で笑う。
……どうせ子供っぽくてワガママですよ。しっかりしているんじゃなくて、私はただ神経質で潔癖なだけ。桔平くんは、ちゃんとそれを分かっている。
子供の頃から身の回りのことは自分でやっていたから、家事力という面ではしっかりしているかもしれないけれど。桔平くんの方が世の中のことをよく分かっているし、頭の回転が速くて判断力もある。ただ生活リズムとか食事が適当すぎるだけ。
「……なんか今、2人でアイコンタクト取らなかった?」
「ダメだよ、かけるん。ラブラブな2人の間に割って入ったら」
桔平くんと私の顔を交互に見比べる翔流くんの腕を、七海が笑顔で引っ張る。やっぱりこの2人って、お似合いな気がするんだけどなぁ。雰囲気とノリが合いそうなんだよね。
後ろから声が聞こえた。振り返ると、楠本さんが手を振りながら駆け寄ってきている。
「ななみんからのLINE、見るの遅くなっちゃってさ。良かったぁ、合流できて」
「かけるん、ひとりで来たの?」
「今日はひとり。夕方バイトあるし、桔平の絵を見たいだけだからさ。明日、友達連れてくるよ」
楠本さんは、ななみんって呼んでいるのね。ななみん、かけるん。知らないところで友情?が育まれていたんだなぁ。
「てか桔平、やっぱり見つけやすいわ。めっちゃピンク!」
そう言って、ひとりで大笑いしている。この人こんな感じだったっけ?もっと真面目そうなイメージだったけれど。
「展示観に行くなら、早く行こうぜ。混むからさ」
楠本さんの言葉をスルーして、桔平くんが言う。米田さんや小林さんのキャラに動じないのは、もしかして楠本さんもそっち系のノリだから?
とりあえず、4人で絵画科の展示をしている校舎へと向かうことにした。
「愛茉ちゃんは久しぶりだよね。覚えてる?俺のこと」
楠本さんがニコニコしながら話しかけてくる。すごく人当たり良さそうな笑顔。
「覚えてますよ、楠本さん」
「やだなぁ、他人行儀で。翔流でいいよ。敬語もナシね」
「じゃあ、翔流くんで」
「いつも桔平が面倒かけてるでしょ。愛茉ちゃんはしっかりしてそうだから、安心して桔平を任せられるよ」
翔流くんの言葉に、桔平くんがフッと鼻で笑う。
……どうせ子供っぽくてワガママですよ。しっかりしているんじゃなくて、私はただ神経質で潔癖なだけ。桔平くんは、ちゃんとそれを分かっている。
子供の頃から身の回りのことは自分でやっていたから、家事力という面ではしっかりしているかもしれないけれど。桔平くんの方が世の中のことをよく分かっているし、頭の回転が速くて判断力もある。ただ生活リズムとか食事が適当すぎるだけ。
「……なんか今、2人でアイコンタクト取らなかった?」
「ダメだよ、かけるん。ラブラブな2人の間に割って入ったら」
桔平くんと私の顔を交互に見比べる翔流くんの腕を、七海が笑顔で引っ張る。やっぱりこの2人って、お似合いな気がするんだけどなぁ。雰囲気とノリが合いそうなんだよね。
0
あなたにおすすめの小説
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
夢見るシンデレラ~溺愛の時間は突然に~
美和優希
恋愛
社長秘書を勤めながら、中瀬琴子は密かに社長に想いを寄せていた。
叶わないだろうと思いながらもあきらめきれずにいた琴子だったが、ある日、社長から告白される。
日頃は紳士的だけど、二人のときは少し意地悪で溺甘な社長にドキドキさせられて──!?
初回公開日*2017.09.13(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.03.10
*表紙イラストは、イラストAC(もちまる様)のイラスト素材を使わせていただいてます。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
先生、わがまま聞いて
香桐れん
恋愛
[11/6完結済。たくさんお読みいただきありがとうございます!]
高校三年生の瑛斗は、若い女性教師「しゅーちゃん」こと三田先生が、妻子持ちのベテラン教師とホテルに入るところを目撃する。
翌日、三田先生を訪ねた瑛斗は、先生が涙するところを目の当たりにしてしまい……。
「不倫が許されるのに、どうして俺は許されないんですか?」
――教師×高校生の「禁断」と呼ばれる純愛の行く末。
※※※
この作品は公序良俗に反する行為に同意・推奨するものではけっしてありません。
ご理解いただける方に楽しんでいただけると嬉しいです。
便宜上レーティング設定していますが、描写は控えめです。
(性描写を目的とした作品ではございません)
該当部分には各ページ上部の節タイトルに「※」をつけています。
苦手な方は避けてお読みください。
過去に非営利目的の同人誌で発表した作品を全面改訂・大幅加筆したものです。
エブリスタにて先行公開済み作品。
---
写真素材:Joanna Kosinska
俺様御曹司は十二歳年上妻に生涯の愛を誓う
ラヴ KAZU
恋愛
藤城美希 三十八歳独身
大学卒業後入社した鏑木建設会社で16年間経理部にて勤めている。
会社では若い女性社員に囲まれて、お局様状態。
彼氏も、結婚を予定している相手もいない。
そんな美希の前に現れたのが、俺様御曹司鏑木蓮
「明日から俺の秘書な、よろしく」
経理部の美希は蓮の秘書を命じられた。
鏑木 蓮 二十六歳独身
鏑木建設会社社長 バイク事故を起こし美希に命を救われる。
親の脛をかじって生きてきた蓮はこの出来事で人生が大きく動き出す。
社長と秘書の関係のはずが、蓮は事あるごとに愛を囁き溺愛が始まる。
蓮の言うことが信じられなかった美希の気持ちに変化が......
望月 楓 二十六歳独身
蓮とは大学の時からの付き合いで、かれこれ八年になる。
密かに美希に惚れていた。
蓮と違い、奨学金で大学へ行き、実家は農家をしており苦労して育った。
蓮を忘れさせる為に麗子に近づいた。
「麗子、俺を好きになれ」
美希への気持ちが冷めぬまま麗子と結婚したが、徐々に麗子への気持ちに変化が現れる。
面倒見の良い頼れる存在である。
藤城美希は三十八歳独身。大学卒業後、入社した会社で十六年間経理部で働いている。
彼氏も、結婚を予定している相手もいない。
そんな時、俺様御曹司鏑木蓮二十六歳が現れた。
社長就任挨拶の日、美希に「明日から俺の秘書なよろしく」と告げた。
社長と秘書の関係のはずが、蓮は美希に愛を囁く
実は蓮と美希は初対面ではない、その事実に美希は気づかなかった。
そして蓮は美希に驚きの事を言う、それは......
Bravissima!
葉月 まい
恋愛
トラウマに悩む天才ピアニストと
俺様キャラの御曹司 かつ若きコンサートマスター
過去を乗り越え 互いに寄り添い
いつしか最高のパートナーとなる
『Bravissima!俺の女神』
゚・*:.。♡。.:*・゜゚・*:.。♡。.:*・゜
過去のトラウマから舞台に立つのが怖い芽衣は如月フィルのコンマス、聖の伴奏ピアニストを務めることに。
互いの音に寄り添い、支え合い、いつしか芽衣は過去を乗り超えていく。
✧♫•・*¨*•.♡。.:登場人物:.。♡.•*¨*・•♫✧
木村 芽衣(22歳) …音大ピアノ科4年生
如月 聖(27歳) …ヴァイオリニスト・如月フィルコンサートマスター
高瀬 公平(27歳) …如月フィル事務局長
イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~
美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。
貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。
そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。
紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。
そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!?
突然始まった秘密のルームシェア。
日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。
初回公開・完結*2017.12.21(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.02.16
*表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる