やる気が出る3つの DADA

Jack Seisex

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DADAの王国⇔USSRA⇔札幌の地下街

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「雪まつりの会場は、謎めいていた」
 兄貴は言った。
 ホログラムの兄貴の姿が、一瞬ブレたように見えた。何かのバグかもしれない。
「謎?」
 倉橋が聞いた。
「そう、謎だらけだった……」
 兄貴が頷く。
 いつの間にか、二人とも升席に腰を下ろしていた。何度見ても、無人の相撲会場の様子は異様だった。
「あ」 
 倉橋が指差す。
 土俵の上に、フンドシが投げ出してあった。
『どういう理由で、力士は、あのフンドシを置いていったのだろう?』
『フンドシが脱げた力士は、大勢の観客の前で、秘部を露出させることになったのだろうか?』
 などと、疑問が次々と浮かんだ。
 海外の大物が見物する前で、どんな修羅場が展開したのかと、倉橋は異様なほどの恐怖心に駆られた。
「大丈夫だ」
 兄貴が言った。
(大丈夫?)
 どういう意味だろう。
 力士はフンドシが脱げても、問題無いという意味だろうか。
 アンドロイドになった倉橋は、ホログラムの兄貴とともに升席に座り続けている。だが案の定、二人の会話は、あまり噛み合っていない。

 そのうち 
「マジか」倉橋が声を上げた。
 倉橋は、自身の剥き出しの腕を眺めている。剃刀の傷跡だらけだったはずの皮膚の表面が、すっかり綺麗になっていた。ケロイドなども全く無かった。
 アンドロイドは、永遠に「医者いらず」ということか。

 しばらくして、
「実は、雪まつり会場は、ある王国と繫がっていたんだ」兄貴が切り出す。
「ある王国?」
「そう」
「札幌市でしょ? 札幌市の中に、王国なんてあるわけないじゃん」
「否。当時、大通り公園の地下には、全く別の世界が広がっていたんだ」
「どういうこと?」
「当時、ある雪像の中に入ると、エレベーターで地下三階まで降りられるという奇怪な噂があった」
「ほう」
「初めは誰も信じていなかったが、ある日、俺自身が実際に王国を目撃することになる」
「嘘、ホラ吹き」
「本当だよ。こんな嘘つく理由ないだろ」
「じゃあ、王国の名前で、DADAと謳っているのはなぜ?」
「王国には、こんな規則がある」
「規則」
「つまり、DADAの神さま『マルセル・デュシャン』の悪口を言うと、王国追放か、場合によっては、極刑になるという規則だ」
 兄貴が言った。

 こうして『DADAの王国』に遭遇した兄貴の物語が始まった。
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