やる気が出る3つの DADA

～宣言解除後の日常（４）～

「あ」
　倉橋が声を上げた。
　閑散とした浅草線の座席に座って、中吊り広告を眺めていると、ある案内が目にとまったのだ。

【アート展・ＤＡＤＡの巨匠たち】
　場所は、東京都現代美術館と表記されている。
（ＤＡＤＡか）
　倉橋は、胸がきりきりとしてきた。
　胸の痛みは、ある種の懐かしさから来るものだった。
　
　先ほどまでプレイしていた、ＶＲゲーム（DＡＤＡ✕AVATAR✕WORLD ）の中で出会った登場人物たちに、本当に会えそうな気がしてきたのだ。
　都営線を乗り換えて、菊川駅まで。電車を降りると、東京都現代美術館へ向かった。

　詳しいことは全く調べていないが、「行き当たりばったりの散策も自分らしい」と倉橋は思った。
　何より、晴れた青い空が、自分を祝福してくれているようだった。