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二人の
(最終話)二人の子供
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作者
最終話です。
長編作品を終わらせるのが初めてなので至らない点があっても許してください。
此処は高地で十月の終わりには一面雪で銀色に光る。
そしてそれは五月の始まり頃に溶け始め膨大な雪解け水を河川を通り海へと注ぐ。
今は二月。冬の厳しさも少し衰えを見せて来た二月。
「ふふっ、萬月みたいになっちゃったね。私のお腹」
僕と僕の妻、フィリアの二人で暮らしている家の中でフィリアが大きく膨らんだお腹を愛おしそうに撫でながらそんな事を言う。
「そうだね。そろそろかな?」
「そうだと思うよ。今日、今からかもしれないね。あっ、中から蹴られちゃった」
「可愛いだろうね、僕とフィリアの子供」
「そうだね。どんな子に育つかな?」
「まだ産まれてないのにこんな事を考えるなんて、僕らは相当親バカかも?」
「ふふっ、それは否定できないね。私も
ヴィレンとか他の兄弟姉妹の世話焼きも嫌いではなかったし」
「唯一の懸念点はフィリアを独り占め出来なくなることかな?」
「ヴィレンは親バカ云々の前に私馬鹿だったね。安心して私は子供が何人できようが私が1番好きな、1番愛してる人はヴィレンだから」
「ありがとう」
「ふふっ・・・んっ!痛い。お腹が」
「大丈夫?」
フィリアが突然お腹を抱えて痛み出した。
「産ま、れるんだと、思う」
フィリアは途切れ途切れに言葉を出す。
「わかった。僕はどうすれば良い?」
「お母、さん、呼んで、来て」
「わかった」
実を言うと先週からフィリアのお母さんのフィーさんが隣にテントを貼って住んでいた。曰く「フィリアが産まれそうになった時に経験者が居ないのは少々危険」との事だ。
僕は家を出てテントまで走りテントの扉を開ける。
「フィーさん!フィリアが、産まれそうです!」
「なっ!今すぐ行くわ!」
フィーさんはテントから飛び出して僕よりも遥かに早くフィリアの元に向かう。
僕がついた頃にはフィリアは布団に寝かされていた。
その姿は苦しそうだった。
「大丈夫ですか!?フィーさん」
「大丈夫よ。それにしても、フィリア、凄いわね。初めてなのに、本当に産まれる途中だったのよ」
「なっ、」
「ヴィ、レン?」
「うん、僕だよ」
「ヴィレン君!フィリアの手繋いであげて。私は子供を取り出す」
「了解です」
そして僕はフィーさんの対面方向に向かうとフィリアの手を掴んで
「大丈夫、大丈夫」
そう言い続けた。
「かなり、遅いわね。まあ、種族の差は致し方ないとはいえ、半分は同じ種なのにかなり違うのね」
「うっ、うっ」
フィリアの顔を見ていると泣いていた。痛いのだろう。
「がまんしなフィリア。あの馬鹿娘と馬鹿息子が結婚は愚か、遊び歩いてるだけだからね。孫の顔を見れるのがフィリアの子が初めてなんだ。だからフィリア、お母さんに孫の顔を見せておくれ」
フィーさんはフィリアの兄と姉が自分のせいで、自分が厳しく育てすぎたせいでロクデナシになったと今でも自分を責めいているらしい。だからこそ全員を、子供全員を甘やかしているそうだ。
「うぅ」
フィリアの泣いている顔を見た事が殆ど無い為新鮮な気持ちだった。
「頑張って!」
僕はそう応援した。
一時間後
結局フィリアが子供を産み落としたのはその30分後だった。フィーさん曰く女の子らしい。
因みにフィーさんはフィリアが産んだ後色々してから帰った。
フィリアは楽しそうに赤ちゃんの事を抱いて居る。
「ふふーん、えへへっ」
一方の赤ちゃんはと言うとすーすーと寝息を立てて寝て居る。
僕もフィリアも赤ちゃんを愛おしく眺めていた。最も重要な事を考えて居なかった事を忘れて。
「はっ!」
「どうかした?」
フィリアは思い出した様に声を上げる。そしてその言葉を、僕が全く持って忘れて居た事を口に出す。
「ヴィレン、この子の名前、どうする?」
「はっ!」
本当に僕は忘れていた。
「うーん、どうする?フィリアは考えてなかったの?」
「私も、考えなかった」
「じゃあ、んー、女の子だしね」
「うん」
「んー、あっ!」
良いの思いついた。
「フィースは?」
「私から取ったでしょ」
「バレたか」
「でも、良いんじゃない?」
「ありがとう」
「うん。私達のフィース。・・・私達三人のの未来に幸が待って居る事を」
「待って居る事を」
そうして僕とフィリアは祈った。
作者
最終話でした。今まで本当に、本ご愛読ありがとうございました。これを書いてしまったのでもはや私を絞っても苦味と渋みとえぐみしか出てこなくてなってしまったので暫くラブコメは書きません。では、また次の作品でお会いしましょう。Auf Wiedersehen。
最終話です。
長編作品を終わらせるのが初めてなので至らない点があっても許してください。
此処は高地で十月の終わりには一面雪で銀色に光る。
そしてそれは五月の始まり頃に溶け始め膨大な雪解け水を河川を通り海へと注ぐ。
今は二月。冬の厳しさも少し衰えを見せて来た二月。
「ふふっ、萬月みたいになっちゃったね。私のお腹」
僕と僕の妻、フィリアの二人で暮らしている家の中でフィリアが大きく膨らんだお腹を愛おしそうに撫でながらそんな事を言う。
「そうだね。そろそろかな?」
「そうだと思うよ。今日、今からかもしれないね。あっ、中から蹴られちゃった」
「可愛いだろうね、僕とフィリアの子供」
「そうだね。どんな子に育つかな?」
「まだ産まれてないのにこんな事を考えるなんて、僕らは相当親バカかも?」
「ふふっ、それは否定できないね。私も
ヴィレンとか他の兄弟姉妹の世話焼きも嫌いではなかったし」
「唯一の懸念点はフィリアを独り占め出来なくなることかな?」
「ヴィレンは親バカ云々の前に私馬鹿だったね。安心して私は子供が何人できようが私が1番好きな、1番愛してる人はヴィレンだから」
「ありがとう」
「ふふっ・・・んっ!痛い。お腹が」
「大丈夫?」
フィリアが突然お腹を抱えて痛み出した。
「産ま、れるんだと、思う」
フィリアは途切れ途切れに言葉を出す。
「わかった。僕はどうすれば良い?」
「お母、さん、呼んで、来て」
「わかった」
実を言うと先週からフィリアのお母さんのフィーさんが隣にテントを貼って住んでいた。曰く「フィリアが産まれそうになった時に経験者が居ないのは少々危険」との事だ。
僕は家を出てテントまで走りテントの扉を開ける。
「フィーさん!フィリアが、産まれそうです!」
「なっ!今すぐ行くわ!」
フィーさんはテントから飛び出して僕よりも遥かに早くフィリアの元に向かう。
僕がついた頃にはフィリアは布団に寝かされていた。
その姿は苦しそうだった。
「大丈夫ですか!?フィーさん」
「大丈夫よ。それにしても、フィリア、凄いわね。初めてなのに、本当に産まれる途中だったのよ」
「なっ、」
「ヴィ、レン?」
「うん、僕だよ」
「ヴィレン君!フィリアの手繋いであげて。私は子供を取り出す」
「了解です」
そして僕はフィーさんの対面方向に向かうとフィリアの手を掴んで
「大丈夫、大丈夫」
そう言い続けた。
「かなり、遅いわね。まあ、種族の差は致し方ないとはいえ、半分は同じ種なのにかなり違うのね」
「うっ、うっ」
フィリアの顔を見ていると泣いていた。痛いのだろう。
「がまんしなフィリア。あの馬鹿娘と馬鹿息子が結婚は愚か、遊び歩いてるだけだからね。孫の顔を見れるのがフィリアの子が初めてなんだ。だからフィリア、お母さんに孫の顔を見せておくれ」
フィーさんはフィリアの兄と姉が自分のせいで、自分が厳しく育てすぎたせいでロクデナシになったと今でも自分を責めいているらしい。だからこそ全員を、子供全員を甘やかしているそうだ。
「うぅ」
フィリアの泣いている顔を見た事が殆ど無い為新鮮な気持ちだった。
「頑張って!」
僕はそう応援した。
一時間後
結局フィリアが子供を産み落としたのはその30分後だった。フィーさん曰く女の子らしい。
因みにフィーさんはフィリアが産んだ後色々してから帰った。
フィリアは楽しそうに赤ちゃんの事を抱いて居る。
「ふふーん、えへへっ」
一方の赤ちゃんはと言うとすーすーと寝息を立てて寝て居る。
僕もフィリアも赤ちゃんを愛おしく眺めていた。最も重要な事を考えて居なかった事を忘れて。
「はっ!」
「どうかした?」
フィリアは思い出した様に声を上げる。そしてその言葉を、僕が全く持って忘れて居た事を口に出す。
「ヴィレン、この子の名前、どうする?」
「はっ!」
本当に僕は忘れていた。
「うーん、どうする?フィリアは考えてなかったの?」
「私も、考えなかった」
「じゃあ、んー、女の子だしね」
「うん」
「んー、あっ!」
良いの思いついた。
「フィースは?」
「私から取ったでしょ」
「バレたか」
「でも、良いんじゃない?」
「ありがとう」
「うん。私達のフィース。・・・私達三人のの未来に幸が待って居る事を」
「待って居る事を」
そうして僕とフィリアは祈った。
作者
最終話でした。今まで本当に、本ご愛読ありがとうございました。これを書いてしまったのでもはや私を絞っても苦味と渋みとえぐみしか出てこなくてなってしまったので暫くラブコメは書きません。では、また次の作品でお会いしましょう。Auf Wiedersehen。
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