シナリオを退場した悪役令嬢は、賢者様をハッピーエンドに導きたい!!

冬野 冷

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第一章 婚約破棄からの逃亡

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 どこからか聞こえてきた鳥の声で目覚めました。
隣にはいまだに気持ちよさそうに眠るレイン様。


皆さんどーもこんにちは。エリシアでございます。


いや、待って、落ち着いて。まだ何もしてないから。石投げないで!

何故隣にレイン様がいるのかって? うむ、説明すると長くなr、あ、待って。冗談、冗談だから殴ろうとしないで。

ゲフンゲフン。お遊びはここまでにして・・・・・・・何故、レイン様の隣で私が寝ているのか、それは、私のベッドがないからです。

・・・・・・。

マジな話なんです。お家がいくら大きかろうが、お庭がついていて立派だろうが、布団がなけりゃ寝ることなんてできないよ。

あの日、お家の中に入ってからお風呂に入らせてもらったんだ。お風呂、すごく気持ちよかった。
しかし、いざ眠ろうって時に、レイン様が「そういえば、ベッド、ないんだった。」とおっしゃいまして。レイン様曰く、来客はあっても泊まっていくやつはいなかったからだそうで。
その後は、私とレイン様でベッドの押し付け合戦が繰り広げられた。
私がそこら辺のソファで寝ると言えば、レイン様は床で寝ると言い・・・一向に譲らないレイン様にキレた私が「じゃあ、一緒のベッドで寝ればいいでしょう!」と言って争いが終わった。
これが結構ヤバイ。何がヤバいって・・・レイン様との距離だよ。
今あるベッドは大人が2人横になって少し余裕があるくらいの広さです。言い換えれば、それくらいの広さしかない。必然的に私とレイン様の距離が近くなるわけです、はい。
そしてここで問題が・・・・・・。

私の格好ですよ。

皆さん、疑問に思いませんでしたか? お前、寝る時の服、持ってんのかと。





持ってません。





え?必要なものは持ってきてるんだろって?
はい、そうです。だから寝間着は持ってきてません。外出時に着る服さえ持っていれば問題ないと思っていてので。
じゃあ、どんな格好なのかって?レイン様にバスローブ借りて、それを着こんでます。なんか、アレだね。バスローブって結構エロイんだね。レイン様は私の姿を見て、さりげなく目をそらしていましたし、耳、赤くなっていましたし。

まあ、寝てしまえば、意識しようにもできないんだけどね。

そして現在、バスローブを見ごとに着崩して、肩とか出しちゃってるんだけどね!結構きわどいんだけど。
唯一の救いは、レイン様がまだ眠っているってことかな。

それにしても、レイン様、すっごい美形なんだけど。なんていうのかな、中性的でかわいらしい感じの・・・愛され系のかわいい美少年?

自分の語彙力のなさにへこむ。このかわいいのにきれいって感じを伝えたいのに伝えることができないもどかしさ。ほら、乙女ゲームでもいるじゃん? かわいいショタ系の攻略対象が。それに近い感じ。6割かわいい、4割きれい、そこに愛らしさと天使が投入されていい感じに混ざり合って、1割くらいかっこいいが生まれて尊さがプラスされたって感じの美形です。

うん、何言っているか分からないけど、とにかく、かわいいイケメンってことが解ればいいよ。しかし、このお顔どこかで見たことあるよーな・・・・・・。

とりあえず身だしなみを整えて・・・よし、レイン様を起こしましょう。

「レイン様、朝です。起きてください。」
「ん・・・おきりゅ」

かっ




か わ い い ! !
なに!おきりゅって、かわいすぎなんですけど!
そんな感じに心の中があらぶっている私の隣で少し眠そうに、目をこすりながら起き上がるレイン様。

「・・・あ、そうか。昨日・・・。」
「目、覚めましたか。レイン様、おはようございます。」
「っっっ!!」

ザザッていう感じの効果音が付きそうな勢いで私から離れる、あっ落ちた。

「な、なんで・・・。」
「どうしたんですか?」
「何でここにいるんだよ!!」

いきなり怒鳴られた。理不尽だ・・・・・・。

「何言っているんですか、昨日あんなに激しく・・・・・」

えっと、なんて言ったらいいのかな。けんかした?そもそも、あれってけんか?

「うぇっ!!ちょっと待て!僕君にナニしたの!!」
「何って・・・けんか?」
「・・・え?」
「?けんか、じゃないんです?じゃあなんていえば・・・・・・。」
「いや、もういいよ・・・・・・」

そういって、床に座り込むレイン様。起きたばかりなのに、疲れたって顔をしている。そしてパジャマ代わりに来ているらしいシャツが少し着崩れてしまっている。・・・・・・な、なんか色気が。いま、起きたばかりで髪を整えていないから、あの天使なお顔が無駄に長い髪で微妙に隠れてないんだよ。

「・・・・・・なんで、顔、隠しているんですか?」

きれいなお顔なのに。もったいない。

「ん?ああ、隠してるつもりはないんだけど」
「じゃあ、何故髪を伸ばしているので?」
「髪切るのがめんどいだけ。」

わーお、まさかのめんどい発言っすか。ビックリです。

「私が切ります!」
「?」
「私がレイン様の髪を切りますよ。」
「でも、そしたら君に迷惑が」
「何言ってるんですか。私はレイン様の弟子になったんですよ?師を支えるのは弟子の役目です。迷惑なんかじゃありません。」

言い切った。
もっともらしいこと言っているけど、ぶっちゃけ、レイン様の髪を触りたいだけです。本音を隠して建前を述べる、これ、貴族社会では重要なスキルです。

「・・・・・・じゃあ、お願いしようかな。」
「!!わあ、本当に!?ありがとうございます!」
「ありがとうはこっちのセリフだと思うんだけど・・・まずは、朝ご飯にしよう。そのあとで僕の髪を切ってもらいたいんだけどいいかな?」
「はい!わかりました。」
「とりあえず、君は着替えてきなよ。ご飯は僕が作るから。」
「わかりました!すぐ着替えてきます!」
「ゆっくりでいいからね。」

私はレイン様の部屋から出て、自分に与えられた部屋に向かった。





++++++




エリシアが部屋から出ていったのを確認してレインは息を吐き、ベッドに倒れる。そこにいつもはない甘い香りを感じ、レインは目を細める。

「・・・・・・ほんと、びっくりした。起きたら隣に女の子がいたんだよ?しかもすごい美少女。昨日のこと覚えてても、びっくりするよね。」

そう言ってため息を吐く。彼からしてみれば、朝起きたら何故か美少女がいてその美少女にやさしく起こされ、そのうえ、一夜の過ちを起こしてしまったかのような言葉を美少女が口にしたのだ。

そう、ここで出てくる美少女というのはエリシアのことである。
エリシアは自分がいわゆる美人の部類であることを自覚している。が、自分がどれだけ美人であるかは自覚していない。

金色の髪はサラサラとしていて揺れるたびにキラキラと光り天使の輪を描く。金の長いまつ毛に縁どられた瞳は青と紫のグラデーションという不思議な色合いで吸い込まれそうになる。白磁の肌はきめが細かく、唇は何も塗っていないにもかかわらず紅い。すらりとした肢体は丸みを帯びており成長期中にもかかわらず出るとこ出て引っ込むところは引っ込んでいる、凹凸の感じられる体。そして、神が作り出した奇跡と言えるほど美しい顔立ち。

エリシアは、絶世の美女なのである。

「・・・・・・とりあえず、朝ご飯だね。」

そう言って、レインは部屋を出ていった。






レインの部屋には、まだ、甘い香りが残っている。
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