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お悩み相談所

女性ならでは? 3

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蘆花が個室に入る前こんなお話をしていた。

客の女性が待っていると扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「こんにちは、今日のご用件は恋愛相談でしたね。今回担当させて頂く久遠音紅葉くおんねこうようと言います。よろしくお願いしますね。お名前お聞かせ願えますかね。」
女性の目の前には綺麗なが立っていた。可愛らしいモダン風のアジサイ柄の着物を着た女性と肩に乗っている一本角の同じ柄の着物を着た女の子の鬼。どちらもおしとやかな雰囲気で可愛らしい。
「こんにちは、葛城暁美かつらぎあけみと言います。ええと…」
その女性はクスリと笑い
「別にゆっくりで結構ですよ。そうですね…少し雑談でもしましょうか。その方が楽しいはずですからね。」
暁美は顔を輝かせた。暁美は聞くことと話すことが好きだからだ。
「はい!」
「ふふ、元気がよろしいことで。そうですね、じゃあ私って何歳に見えます?」
暁美はうーんと首をひねり、
「21歳とか…」
と答えた。すると紅葉はふふ、と笑い
「ちょっと惜しいわね、私25なのよ。」
暁美はちょっと意外な顔をした。その反応を見て紅葉は少しばかり間を置き、こう伝えた。
「実は私男なのよ。どう?引いた?」
暁美はあまり信じることができなかった。確かによく見れば男性ということがわかる。でも暁美は引きはしなかった。暁美はかなり人とは違う発想をする人間だと自分で思っているくらい人とは違う発想をする。暁美は死のうと思えば死への算段を考えてしまう人間だ。暁美は共感というものはするものの大体は少数派の意見を持つ傾向がある。そう暁美自身にとって彼でも彼女でもどうでもよかった。暁美にとって久遠音紅葉という人間が目の前にいるという認識だからだ。引きはしなかった。驚きはしたが。
「いいえ、私は別にいいと思います。だってあなたはあなたですし。」
と言うと紅葉はにこりと笑った。
「ならいいわ。もう少し雑談でもしましょうか。」
暁美は少しアワアワとしながら、
「あ、あの、質問があるのですが、妖怪と人間が付き合ったら、どうなることが多いですか?」
ときいた
紅葉はすっと目を細めこう言った。
「別にどうこうっていうことないけど、大体人間の方が早く死ぬから妖怪の方が精神異常をきたして悪鬼になることが多いかしら。」
暁美はゾッとした、なぜかというと暁美は今妖怪の者と付き合っているからだ。自分が好きな人がそうなるのは避けたかった。
暁美が聞きたいのは人間が妖怪になれば付き合っている者は悲しむのかという事だった。
「も、もし付き合っている人間が妖怪になるって言い始めたら、あなたはどうしますか?」
紅葉は少しばかり暗い顔をした。
「全力で止めるわ。だって人間が久遠の時に耐えられるはずはないもの。でも嬉しい気持ちが勝ってしまうかもしれないわね。」
そういうのが恋の気持ちってのかしらね。と苦笑した。
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