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剣で世界を救いし者
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サラン王国の魔法士達が魔王軍の残党を始末し終える頃。
ブライトは何処かに消えていた。
俺の考察の答え合わせをブライトとしたかったが、それは叶わなくなってしまった。
いつか魔王は再び転生して現れるだろう。その時に向けて修行でもするつもりなのか知らないが。
とにかく致命傷だった筈なので。無事でいてくれる事を願うばかりだ。
俺とルカとベネットの三人は、飛空艇でサラン王国まで連れて行って貰う事になった。
それからは身体を休める為、暫くサラン王国の王都キネスモにて過ごす事にして、一週間以上が過ぎた――――
「私はサラン王国、剣士団!第一部隊のルーベンです!」
「私も同じく第一部隊のアルトと申します!尊敬する【剣神】ルシアン様にお会いでき、光栄であります!」
この世界には合わない、鉄の鎧に身を包む若い兵士二人に敬礼され。俺は苦笑いで軽く挨拶しておいた。
すると嬉しそうに目を輝かせて、再び敬礼してキビキビと去って行くのだ。
サラン王国に剣士団なんて無かったのだが。結成するとか、なんとか前からレイバンが言っていた。
「剣神って……凄いわね。もう神の域なのよ、ルシアン」
「ルシアン様は神様になったのですか?」
「やめろよ二人とも。俺は目立ちたくないんだよ」
俺、ルカ、ベネットの三人は魔王を討伐した事になっていたが、討伐というか自分を刺しただけだし。寧ろ逃がしたから次の魔王もいずれ出てくるだろう。
そしてサラン王国は俺を【剣神】等と勝手に呼び広めた。とにかく身の丈に合わない扱いとなっているのは確かだ。
それに影響されたのか、その前からなのか。この国では剣術に興味を持つ若者が急に増えたようだ。
それで王国も勢いで剣士団なんて、剣を主体にした部隊を作ったのだろう。
バカにされるのは嫌だが、過大評価も勘弁だった。
変な異名が拡がり、キネスモの街中を歩いているだけで人集りが出来る。
前世では一部のマニアが【マジックイーター】の制作者である俺を知っていて。声をかけられる事が度々あったが、それより遥かに多い。
◇◇◇
「――――そう……もう行くのですか。では昨日の話は、やはり無理ですか?」
「すいません。レイバンさん。俺は教えるのは下手なので」
昨日、レイバンに。剣士団の者達に剣術の稽古をつけてやってほしいと言われた。勿論、名誉な申し出だとは思うが、俺はそんな柄じゃない。
それに旅の目的はルカの光魔法だ。まだ俺達の旅は終わっていない。今日は、その出発の挨拶に来たわけだ。
「残念ですね。私に手伝える事はありますか?飛空艇でギルストン帝国まで送りますか?」
「いえ。休んで身体も鈍っているので。身体慣らしがてらに歩いて向かいますよ」
「そうですか。また何かあったら頼ってください。サラン王国はルシアン殿に協力いたします!」
思った以上にサラン王国にとって俺達は、大きな存在になってしまったようだ。
そんなレイバンとの挨拶も終わり。一通りの準備も整った俺達は次の目的地ギルストン帝国に向かう為、街の北門に向かって歩いていた。
すると正面から見たことある三人が歩いて来る。妙に懐かしく感じて俺は声をかけた。
「おう、ずいぶん久し振りじゃないか。冒険者やってるのか?」
「あっ?なんだ、無能じゃねぇか」
それは。マルク、ランバ、ガネットという嘗てセシルを取り巻いていたメンバー三人だ。
それなりの装備を整えている所からも、結構ガッツリ冒険者をしている感じだ。
他に知らないメンバーが三人。全員女の子だ。
(何だ?合コン気分かよ……)
俺も人の事は言えないが、彼等を見てると何故かそう思ってしまう。それよりも、相変わらずの挨拶っぷりだった。
どうやら俺の噂は、過剰には拡がっていない感じで少しホッとした。
「何だ、ルカさんと旅に出てるのか。それに小さい女の子まで連れて……。無能のクセにハーレム気分かよ」
「本当。お前みたいな無能が冒険とかムリだろ」
「ルカさんも、こんな奴と組んでると品位が下がるよ」
相変わらずの言いたい放題だ。
隣でルカとベネットが不機嫌な顔をしている。文句を言い出しそうだったが、俺が手で制した。構っていても仕方ない。
すると、マルクが俺の剣を見て腹を抱えて笑った。
「プッ……ププ。何だよお前、剣持って歩いてるのかよ。
【剣神】の真似事でも始めたのか?プッハハハハ」
剣神という言葉は知っているようだが――――俺は、まさかと思い訊ねた。
「なぁ……お前ら。俺の名前覚えてる?」
「名前?無能の名前なんか、一々覚えてられっかよ。バーカ」
やっぱり俺は名前すら忘れられているようだ。
そして、一応俺の噂はそこそこ拡がっているのだと認識を改める。
ため息を吐く俺を見て、ルカが俺の手を引っ張った。ベネットは俺の背中を押す。
「バッカみたい。もう行こう!ルシアン」
「そうですよ、ルシアン様。関わったらバカが移ります」
「お、おい。お前ら……」
取り巻き三人組はポカンと口を開けていたが、取り巻きの仲間の女の子の一人が俺達を呼び止めた。
「あ、あの!ひょっとして剣神ルシアン様ですか?」
「俺は剣神なんて、そんな大層な……」
「えぇ、そうですよ!ルシアン様は私達を守って、魔王を倒したんだから。
お姉さん達も仲間になる人は選んだ方がいいですよ!」
言葉を濁す俺とは逆に、ベネットは女の子達にハッキリと言い放った。今更のように俺の名前を思い出したのか、取り巻き三人組は相当驚いた顔をしている。
俺はそのまま、ルカとベネットに拐われる様にその場を去る事になったが。一応礼儀として「じゃあまたな」っと挨拶だけはした。
また会うかどうか分からないが、あいつらは二度と俺に会いたくないと思っているに違いない。
そして北門に着くと。門番達が俺に「ルシアン様」っとペコペコして門を通してくれるのだ。
(なーんかここも、歩きにくい街になっちまったなぁ)
そんな事を思いながら、再び俺は冒険へと向かう。
ルカの婚約を阻止するという、不純な動機の冒険を再開するのだ――――
――――――――――――――――――――――――
後書き
これまでを第一章としておきます。
ここまで読んでくれた読者の方々に本当に感謝いたします。
第二章へ続くにあたり、暫く時間を置きます。
ブライトは何処かに消えていた。
俺の考察の答え合わせをブライトとしたかったが、それは叶わなくなってしまった。
いつか魔王は再び転生して現れるだろう。その時に向けて修行でもするつもりなのか知らないが。
とにかく致命傷だった筈なので。無事でいてくれる事を願うばかりだ。
俺とルカとベネットの三人は、飛空艇でサラン王国まで連れて行って貰う事になった。
それからは身体を休める為、暫くサラン王国の王都キネスモにて過ごす事にして、一週間以上が過ぎた――――
「私はサラン王国、剣士団!第一部隊のルーベンです!」
「私も同じく第一部隊のアルトと申します!尊敬する【剣神】ルシアン様にお会いでき、光栄であります!」
この世界には合わない、鉄の鎧に身を包む若い兵士二人に敬礼され。俺は苦笑いで軽く挨拶しておいた。
すると嬉しそうに目を輝かせて、再び敬礼してキビキビと去って行くのだ。
サラン王国に剣士団なんて無かったのだが。結成するとか、なんとか前からレイバンが言っていた。
「剣神って……凄いわね。もう神の域なのよ、ルシアン」
「ルシアン様は神様になったのですか?」
「やめろよ二人とも。俺は目立ちたくないんだよ」
俺、ルカ、ベネットの三人は魔王を討伐した事になっていたが、討伐というか自分を刺しただけだし。寧ろ逃がしたから次の魔王もいずれ出てくるだろう。
そしてサラン王国は俺を【剣神】等と勝手に呼び広めた。とにかく身の丈に合わない扱いとなっているのは確かだ。
それに影響されたのか、その前からなのか。この国では剣術に興味を持つ若者が急に増えたようだ。
それで王国も勢いで剣士団なんて、剣を主体にした部隊を作ったのだろう。
バカにされるのは嫌だが、過大評価も勘弁だった。
変な異名が拡がり、キネスモの街中を歩いているだけで人集りが出来る。
前世では一部のマニアが【マジックイーター】の制作者である俺を知っていて。声をかけられる事が度々あったが、それより遥かに多い。
◇◇◇
「――――そう……もう行くのですか。では昨日の話は、やはり無理ですか?」
「すいません。レイバンさん。俺は教えるのは下手なので」
昨日、レイバンに。剣士団の者達に剣術の稽古をつけてやってほしいと言われた。勿論、名誉な申し出だとは思うが、俺はそんな柄じゃない。
それに旅の目的はルカの光魔法だ。まだ俺達の旅は終わっていない。今日は、その出発の挨拶に来たわけだ。
「残念ですね。私に手伝える事はありますか?飛空艇でギルストン帝国まで送りますか?」
「いえ。休んで身体も鈍っているので。身体慣らしがてらに歩いて向かいますよ」
「そうですか。また何かあったら頼ってください。サラン王国はルシアン殿に協力いたします!」
思った以上にサラン王国にとって俺達は、大きな存在になってしまったようだ。
そんなレイバンとの挨拶も終わり。一通りの準備も整った俺達は次の目的地ギルストン帝国に向かう為、街の北門に向かって歩いていた。
すると正面から見たことある三人が歩いて来る。妙に懐かしく感じて俺は声をかけた。
「おう、ずいぶん久し振りじゃないか。冒険者やってるのか?」
「あっ?なんだ、無能じゃねぇか」
それは。マルク、ランバ、ガネットという嘗てセシルを取り巻いていたメンバー三人だ。
それなりの装備を整えている所からも、結構ガッツリ冒険者をしている感じだ。
他に知らないメンバーが三人。全員女の子だ。
(何だ?合コン気分かよ……)
俺も人の事は言えないが、彼等を見てると何故かそう思ってしまう。それよりも、相変わらずの挨拶っぷりだった。
どうやら俺の噂は、過剰には拡がっていない感じで少しホッとした。
「何だ、ルカさんと旅に出てるのか。それに小さい女の子まで連れて……。無能のクセにハーレム気分かよ」
「本当。お前みたいな無能が冒険とかムリだろ」
「ルカさんも、こんな奴と組んでると品位が下がるよ」
相変わらずの言いたい放題だ。
隣でルカとベネットが不機嫌な顔をしている。文句を言い出しそうだったが、俺が手で制した。構っていても仕方ない。
すると、マルクが俺の剣を見て腹を抱えて笑った。
「プッ……ププ。何だよお前、剣持って歩いてるのかよ。
【剣神】の真似事でも始めたのか?プッハハハハ」
剣神という言葉は知っているようだが――――俺は、まさかと思い訊ねた。
「なぁ……お前ら。俺の名前覚えてる?」
「名前?無能の名前なんか、一々覚えてられっかよ。バーカ」
やっぱり俺は名前すら忘れられているようだ。
そして、一応俺の噂はそこそこ拡がっているのだと認識を改める。
ため息を吐く俺を見て、ルカが俺の手を引っ張った。ベネットは俺の背中を押す。
「バッカみたい。もう行こう!ルシアン」
「そうですよ、ルシアン様。関わったらバカが移ります」
「お、おい。お前ら……」
取り巻き三人組はポカンと口を開けていたが、取り巻きの仲間の女の子の一人が俺達を呼び止めた。
「あ、あの!ひょっとして剣神ルシアン様ですか?」
「俺は剣神なんて、そんな大層な……」
「えぇ、そうですよ!ルシアン様は私達を守って、魔王を倒したんだから。
お姉さん達も仲間になる人は選んだ方がいいですよ!」
言葉を濁す俺とは逆に、ベネットは女の子達にハッキリと言い放った。今更のように俺の名前を思い出したのか、取り巻き三人組は相当驚いた顔をしている。
俺はそのまま、ルカとベネットに拐われる様にその場を去る事になったが。一応礼儀として「じゃあまたな」っと挨拶だけはした。
また会うかどうか分からないが、あいつらは二度と俺に会いたくないと思っているに違いない。
そして北門に着くと。門番達が俺に「ルシアン様」っとペコペコして門を通してくれるのだ。
(なーんかここも、歩きにくい街になっちまったなぁ)
そんな事を思いながら、再び俺は冒険へと向かう。
ルカの婚約を阻止するという、不純な動機の冒険を再開するのだ――――
――――――――――――――――――――――――
後書き
これまでを第一章としておきます。
ここまで読んでくれた読者の方々に本当に感謝いたします。
第二章へ続くにあたり、暫く時間を置きます。
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